表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/97

激昂の君に追われて 秋の野良

 彼女の部屋を出てからというもの、仕事も手につかない。なので戻るのを期に退職した。どうせ戻ってもすでに自分の居場所はない。退職金と失業保険でしばらくは暮らせるだろう。もう三ヶ月。あれから彼女とは互いに連絡もとらなくなった。


「いつまで、仕事もしないで遊んでんのよ。」

 毎日のように母親が電話で怒鳴る。

「まったく、こんなバカだとは思わなかったわ。今からでもいいから彼女に土下座でも何でもして謝っておいで。」

 そんなこと言われても、僕にも僅かだがプライドがある。無職のままでは会えない。


 都会にはバイトやパートならいくらでもある。しかし、正社員となると何らかのスキルが求められる。僕に残っているのは、せいぜい現場で知り合った仲間たちだ。だが、彼らとて僕を雇うほどの余裕は無い。

「退職された。それで迷いは消えましたかな。」

 後日、退職後の事務手続きを終えたその足で、僕は住職に別れを告げに行った。

「いえ。あの時は迷いは無かったんですが、今はまた迷ってます。」

「迷いというのは、生きている限り沸いてきます。沸騰し続けるお湯からいつまでも泡が出続けるようなものです。迷いの元はすべて己の心の中にあります。火を止めれば、泡も止まります。焦っていては何も解決できません。心を落ち着け、自分が本当は何がしたいのかよく考えることです。」

 住職の例えはいつもわかりやすい。


 僕の願いはひとつだ。ウミさんと一緒にいたい。できるなら結婚したい。そのためには主夫という道もなくはないが、それでは彼女の負担になる。彼女が横浜という都会で安心して働けるには、僕にもそれなりの収入が必要だ。


 横浜では家賃もバカにならない。寒くなってきたので節約のため実家に戻って、春に向けての就職情報を集めるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ