雨蛙 葦簀の陰の 居候
男として、このまま彼女のところに居候していていいのだろうか。新居は古巣に戻ることになったら迷惑がかかる。ストーカー騒ぎも収まったので、僕が出て行くのが一番いいのかもしれない。会社からもそろそろ引き上げる準備をするように催促されている。
そんなことを考えながら、ふと近所の縁側を見ると、窓に立てかけたよしずの裏に隠れるようにアマガエルが張り付いていた。
「夏の日差しと天敵の鳥の目か身を隠し、一生懸命生きてきるんだ。」
僕は、何から隠れているんだろう。時にはまぶしく、時には冷たい、世間の目からなのだろうか。
「会社からそろそろ戻る準備をしろといわれている。」
僕は彼女に正直に相談した。いつまでも黙っているわけにもいかない。
「で、戻るんですか?」
僕としては戻りたくない。しかし、いくら手を尽くしてもいつまでもこっちにはいられない。
「もどるしかないかもしれない。君にもこれ以上迷惑をかけられないし。」
そうつぶやいた瞬間、彼女は切れた。
「どうして一緒に来て欲しいって言わないんですか。」
「君は家庭にこもってはだめだ。仕事に出る時の君は生き生きしている。僕には、仕事にそれほどの思い入れは無い。」
「だったら、あなたが辞めればいいでしょ。」
確かにそうだが収入が無くなったら暮らしていけない。
「これから仕事を探しても、いつ決まるか。」
「それまで、ここにいればいいじゃないですか。」
「男として、そんなまねはできない。」
それを聞いた彼女は、ついに彼女は立ち上がり最後に一言放った。
「出てってください。」
ついに僕は追い出された。会社の補助で借りてる部屋はあるが、冷たい殺風景な部屋にはもどりたくない。




