秋の暮れ 我が家に灯る 窓明かり
会社の手前、部屋は借りたままにしてある。当然、彼女と同じ部屋にいることも話してない。
彼女の部屋に居候をはじめた時に、
「仕切りはどうします。」
と尋ねた。すると、ビニールテープを出してきて部屋の中央に一本貼った。
「仕切りました。」
ずさんだ。
「これだけですか?」
「見えるでしょ。」
こんなの誰か来たら絶対同棲だと思うだろう。
「弟以外、誰も来ませんから。」
いざとなると女性はたくましい。
「完全に仕切ったら誰かが忍び込んでいても気付かないでしょ。」
反論できない。
「僕は危険じゃないんですか?」
そう言った途端、彼女は床のテープを剥がした。やばい、出て行けということか。
「もういいです。そんなに気になるなら仕切りは無しです。無ければ気にしなくて済むでしょ。」
切れると怖い。これも初めて知った。これが素なのだろう。毎日顔を合わせていると気を使ってなんかいられない。ぶりっ子されるよりはいいや。
彼女はよほど僕のことを信用しているんだろう。絶対手なんか出せない。2つもベッドがあると狭いので僕は寝袋で床に寝る。寝袋も避難生活で慣れたもののひとつだ。初日は意識して寝付けなかったが、元来、寝つきのいい二人だ。翌日には横になったとたんに朝まで爆睡した。
こんな、無頓着な二人だが、一緒にいていいこともあった。それは、遅く帰ってきたとき外から部屋の明かりが見えることだ。誰かが待っていてくれる。それだけでウキウキしてくる。そして、彼女にもそれを味わってもらいたくて、僕も早く帰ってくるようになった。




