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夏お化け 正体見たり 興信所

 その後、ストーカーの件は、葬儀上で彼女を気にいった遺族が、彼氏がいないと聞いて息子の嫁にと身辺調査を行なっていたことがわかった。

「彼氏がいるならそういってくれればいいのに。」

 と、後で言われたそうである。

「ご迷惑でしょうけど、タケルさんの写真を見せることにします。」

「ご迷惑なんて。いくらでも使ってください。」


 ストーカー騒ぎのお陰で、仲直りすることができた。僕たちのボッチーナ症候群は少しは治ってきているのだろうか。


 しばらくすると、また足音がし始めたという。また興信所のやつか。僕たちは帰りに待ち合わせをして、恋人を装うことにした。最近彼女を意識し始めたからなのか、足が思うように進まない。

「自然にしてください。」

 彼女に注意されるが、こればっかりはどうしようもない。なるべく明るい通りを選ぶが、どうしても影のところは出来てしまう。


 しばらくすると、足音が消えた。諦めたのか。僕たちは、近道をしようと公園を突っ切ることにした。

「彼女から離れろー!」

 突然背後から激しい足音とともに声がした。僕はしつこい興信所だと思い、振り向きざまに右手に持っていた黒い大きな鞄を後ろへと振った。


 ドン。


 鞄越しに重たい衝撃が走る。僕は彼女を体で隠す。

「いいかげんにして下さい。」

 倒れている相手に向かって威圧するように叫んだ。相手は、腰をついたまま後ずさりしたのち、立ち上がると逃げるように走りさった。

「最近の興信所ってこんなことするんだ。」

 彼女を見ると、なにやら指差しながら震えている。

「大丈夫ですよ。もう逃げましたから。」

 僕は安心させようと笑顔で語りかけたが、彼女は僕の右手のほうをじっと見ている。様子がおかしい。


 ゆっくりと鞄を持ち上げると、黒い棒のようなものがついていた。そこから公園のライトで怪しく銀色に光る板状のものが鞄のほうに向かって伸びていた。

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