足触れる 恋人未満 雪火燵
2月の秋田ともなると、彼女もさすがに厚手のグレーのパンツに青のダウンを着込んでいる。足元はショートブーツだ。いつものスレンダーな雰囲気と違いもっこりしている。時々出る白い息を白い厚手の手袋で包む姿はなんともいじらしい。これはこれでいつもの雰囲気と違ってかわいい。
「こうゆう格好もするんですね。素敵ですよ。」
通常、僕としてはいつもの黒系のスーツのほうが好みなのだが、なぜか純粋にかわいいと思った。
「今日は白黒のパンダじゃありませんよ。」
この時ようやく、以前の鎌倉のときの言葉を気にしてたんだと知った。
「あ、その、し、白黒だからパンダといったわけじゃなくて、最初の格好のほうをパンダっていったんです。」
顔が熱くなる。人間、焦ると本当にどもるし、汗も出るんだ。
「なんだ、やっぱりそっちか。ずっとどっちだか悩んでたんですよ。で、今日は?」
「すいません。例えが悪かったですね。今日は人間です。うーん、違うな。ウミさんです。」
男性恐怖症だって言ってた彼女だけど、腕を組んできた。
「無理しなくていいですよ。」
僕は緊張して、前を向いたまま話す。
「いつまでも父の影に怯えてるのがバカらしくなったんです。でも、どうしたら治るのかわからなくて。こんなことにつき合わせてしまってごめんなさい。」
「僕もたぶん女性恐怖症です。ですから一緒に治しましょう。」
僕たちの関係は男女ではない。たぶん異性だけど友達。街を歩いていると、かまくらの中の火燵から招かれた。




