春来れば がさつな母に 生娘も
朝起きると、隅にきれいに畳んだ布団の上に、彼女が着た僕の替えのパジャマを丁寧に畳んで置いてあった。
彼女は台所で朝ごはんの支度をしている。仕事のある朝は食べない僕も、休みの日には欠かさず食べる。仕事は週明けから横浜だ。
「どうせ同じ方向に行くんだから一緒に帰ればいいでしょ。」
口うるさい母は、せっかちでもある。
「私は、母から料理を習ってないので、お母様に色々教えてもらいました。」
うーん。何だか余計なことを吹き込んでる気がするが、怖くてこれ以上聞けない。
「気立てはいいし、料理もできるし、気が利くし。ウミちゃんの旦那さんになる人は幸せよね。」
母は、僕のほうを見ながらわざとらしく話す。
「男性恐怖症なので結婚なんて到底・・・。」
僕は、時計屋の弟から父親の事を聞いていたので推測はついていたが、母にとっては驚きだったらしい。
「まあ。でも、男なんて単純でバカよ。ちょっとおだてて、軽く玉を握るだけでイチコロ。で、危なくなったら股間を蹴り上げてやりゃあ逃げてくわよ。」
クソババア、なんて事を言うんだ。R-18指定になったらどうすんだよ。僕は母親を睨みつけたが、さっさと立ち上がると、空になった食器を持って台所へと去っていった。
子育てに女を捨てたのかもしれないが、彼女も母親になったら、あんな風になってしまうのだろうか。




