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節分の鬼 鉢合わせに ドッキリ
2月3日。節分に家にいるのは何年ぶりだろう。久々にあいつを驚かせてやろう。僕は赤いジャージに着替え家を出た。買い物を済ませ、その足で夏美の家に向かった。買ってきたお面をかぶり、ドアをたたく。夏美は不用意にドアを開けない。必ずドアの横の風呂場の窓を空けて訪問者をそっと背後から確認する。
僕は、窓の下に身をかがめその時を待った。
「はーい。」
夏美ともおばさんとも違う女性の声がした。
ガチャ。
チェーンロックがかかったままドアが少し開く。僕は窓の下にしゃがんだまま振り向いた。ドアから憤怒の表情をした赤鬼がこちらを睨んでいる。
「おにー。」
しりもちをつきながら叫ぶと、頭の上から
「おにい。」
という声がした。
「驚いた。」
僕はお面を外し、部屋に上がった。そこには黒スーツの赤鬼が仁王立ちしていた。
「驚いたのはこっちです。」
もう一人の鬼がお面を外す。




