表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/97

亡き人を 偲ぶ旅路の 枯並木

 長い階段を上り、いつもの山寺へ向かった。参道にはすっかり葉の落ちた木立が並ぶ。

「ここを一緒に上られたのですね。」

「ええ、でも夢中だったのでよくは覚えてないんです。」

 僕はかねてからの疑問を聞いてみることにした。

「どうして、おじい様は僕の事を四つ目って書いたんでしょ。普通、それって眼鏡のことですよね。」

「あの時、自分はつまずきながらも祖父の足元をずっと照らしてくれていたと伺っています。ご自分の足元を照らしてくださいという祖父に、自分は人の倍よく見えます。四つ目ですから。と言って掌を見せたのことです。」

 本当にそんな会話をしたのだろうか。でも、自分から言わない限りわからないのももっともだ。


「実は直接会ってご相談したい事があって。できれば、仕事を手伝ってもらえたらと。」

 彼女の話では、店長が退職するため女性スタッフだけになってしまう。男性スタッフを募集しても集まらなくて困っているという。

「虫のいい話ですよね。場所も横浜だし、知らない仕事だし。」

 僕は返事に困った。土地にも仕事にも特別愛着があるわけじゃない。かといって、ほいほいと付いて行くほど尻軽とも思われたくない。


 無言のまま本堂の前までくると、住職が出迎えてくれた。

「岡崎です。ご挨拶が遅くなりました。。祖父が大変お世話になり、ありがとうございました。」

 住職はしばらく考えていたが、僕の顔を見て納得したようだった。

「いえ、ここはそのためにあるようなものですから。」


「そうですか、ご冥福をお祈りいたします。」

 老人が亡くなったことを伝えられた住職は穏やかな口調で言葉を返した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ