間に合えと 寒風裂きて 君が元
「相手います。ご予定は?」
返事が来たのは、その日の夕方だった。断られるのは予想していたが、こうもはっきりと言われると清々しい。しかし、こっちの予定を尋ねるとは、やはり友達程度の存在ということか。
「ありません。土曜で仕事も休みです。では、楽しいイブを。」
ぼくは、送り終わると携帯を置き、夕飯も食べずに布団にもぐりこんだ。その後、何度も着信があったが、どうせ広告だろうとそのまま寝てしまった。
ドンドン。
仮設の玄関を叩く音で目が覚めた。すでに日は昇っている。昨日のショックで随分長く眠っていたようだ。
「ふぁーい。」
寝ぼけながらパジャマのまま玄関の鍵を開けた。
「ごめんなさい。」
いきなり目の前にウミさんが飛び込んできた。僕は夢なのかと思った。次に、ドッキリではとカメラを探した。
「いくら送っても未読のままなので。」
僕は、急いで携帯を取りに戻った。昨夜から何件ものメッセージが届いている。
「あいています。空いています。誤変換です!(;゜Д゜)」
同様のメッセージが並んでいる。
「ごめんなさい。」
彼女は何度も頭を下げる。
「いえ、見なかった僕が悪いんです。」
既読にならないので、彼女はタクシーと夜行バスを乗り継いでやってきた。
「そんな、無理しなくても。」
「ご迷惑でしたか。そうですよね。せっかくお休みのところを。」
外へ出ようとする彼女に慌てた。
「そんなに気を使ってもらって嬉しいです。とりあえず上がって暖まってください。」
コタツを入れ、着替える場所も無いのでパジャマの上からダウンを羽織る。
「すいません。コタツぬるいでしょ。ブレーカーがすぐ落ちるので。警報器ついてないんでストーブ禁止なんです。以前中毒騒ぎがあって。」
「いえ、寒いのは仕事がら慣れてますから。それより、本当にごめんなさい。研修中でLINE見てなかったので、お返事が遅くなって。」




