49/97
雑踏に 心はそぞろ 盆の街
お盆の最後ともなると、横浜は家族連れや若者でごった返していた。僕が来ていたころは旅行客の目当ては中華街ぐらいしかなかった。ところが今や、子供から老人までやってくる。僕の住んでいる街と比べて、人の多さにその関係の希薄さを感じ、むなしくなる。
僕は、駅でシウマイ弁当を買ってビジネスホテルの小さな部屋でそれを食べた。懐かしい味だ。来週からはまた仕事に戻る。当分は現場へ出ることなく事務所で過ごすことになるだろうが、やはり不安だ。それは夏休み後の登校日に似ている。そのプレッシャーから逃れたくて遠出をしたのかもしれない。それが何かはまだ解っていなかった。
学生の時、こっちのほうで一ヶ月ほど暮らした。その時は、当時地元では珍しかった色々なハンバーガー屋を渡り歩いた。大人になると、出張で通り過ぎることが増えた。そんな時は東京駅でシウマイ弁当を買うのだった。特別好きというわけではなかったが、冷めても食べやすかったという理由からだ。
そんなことを思い出しながら、ベッドに潜り込んだ。




