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つれなくす そのひぐらしの 送り盆

 盆を迎えた被災地では、慰霊祭が各地で催された。戻る家も身寄りもない、その日暮しの老人は、自分の部屋で亡くなった家族のことを偲んでいた。連れ合いに先立たれ、知り合いも散り散りになり一人で孤独な新盆を送っていた。


 僕は地元の慰霊祭に出るとその足で、横浜へ向かった。街の公園ではカナカナとヒグラシが悲しげに鳴いている。セミは成虫になると余命がない。あのヒグラシも連れを亡くして鳴いているのだろうか。そう思って留まっている木に近づくと、音が止み上から水がかかって来た。

「つれないなあ。」

 声もしなくなり、どうやらどこかへ飛んで言ってしまったらしい。


 午後に伺うのは失礼だ。と言って、バスは疲れるので在来線で横浜へ行き、一泊することにした。なにせ宿泊代のほうが新幹線代より安い。時間はたっぷりあるんだ。

「手土産の一つも持っていくもんだよ。」

 実家から念押しの電話が来る。駅の近くで探す。さすがに、なまものというわけにもいくまい。スルメとかおつまみも変だ。海苔とかはお返しとかぶるかもしれない。乾燥ワカメあたりが無難か。贈答用ともなると少々値が張る。


「お昼はコンビニのお弁当でいいや。」

 昔はホームで駅弁を売っていたものだが、最近はやってない。予約をすれば届けてくれるサービスもあるようだが、ネットの見栄えのいい写真はどうも信用ならない。

「横浜までいけばシウマイ弁等があるんだが。」

 それでは夕飯になってしまう。

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