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二人連れ いずれが狐 狸かな

 ああ、やっちまった。グラマーな女性を見るとなぜか余計なこと言っちゃうんだ。母親のトラウマなのだろうか。それとも自分の体型へのコンプレックスがあるのか。近づかれると恐怖すら感じる。


「お待たせ。」

 彼女が戻ってきた。

「だ・・・れ・・・。あれ、ウミさん?」

 ショートヘアに凹凸のない体型の黒のパンツスーツ。眉が多少描いてあるぐらいで、化粧っけのない女性が向かいに座った。

「少しは、話易くなりました?」

 僕はさらに混乱した。


「着慣れない服は着るもんじゃありませんね。夏美ちゃんの付き添いとして恥ずかしくないようにと思ったんですけど。」

 彼女は屈託無く笑った。

「僕もあいつに言われてスーツを着てきたんですけど、普段はTシャツなんでよくわかります。」

 先ほどまでの緊張が嘘のようだ。リラックスしたからか頭が冴えてくる。すると、急に背徳感が沸いてきた。


「ごめんなさい。鎌倉は初めてなんです。秋田のかまくらだと思ってたんで。」

 やっと心に引っかかっていた棘が取れた気がした。今更気に入られようなんて虫のいいことは思っていない。彼女には彼氏がいるんだ。


「あれー。お姉さん、ばらしちゃったんだ。」

 夏美が戻ってきた。

「胸の膨らんだ服とかフレアスカートって足元が見づらくて。あと、お化粧も汗が気になるし。」

 ラインでも入ったのだろうか、彼女が携帯を取り出した。

「この待ち受けかわいい。」

 夏美が叫ぶ。

「彼、かわいいでしょ。」

「お兄も見てごらんよ。」

 待ち受けにしている彼氏の写真なんて見たくなかったが、夏美が強引に目の前に突き出した。


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