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知らぬ場所 本を信じて 夏の汗
鎌倉なんて来たことが無い。とにかく夏美に悟られないようにしなくては。
「まずは、小町通にいきましょうか。」
女性は軽くうなづいた。とりあえず、食べ物系の店は外せない。
「こっちは、いとこのお兄で、タケル。友達のエミのお姉さんのウミ。」
「すいません。こいつのわがままのせいで。」
僕は保護者として謝った。
「わたしのほうこそ便乗してしまって。」
僕は、店を見落とさないようにとキョロキョロしていた。いや、極力ウミのほうを見ないようにしていた。果たして夏の日差しのせいなのか、大粒の汗が噴出す。
「鎌倉といえば、鎌倉揚げですかね。」
「女性に勧めならスイーツでしょ。出来の悪いお兄でごめんなさいね。」
夏美の一言で面目丸つぶれだ。これではどっちが保護者かわからない。
「それはこれからなんだよ。和菓子とかソフトクリームとか。」
「食べ物意外に何があるのさ。」
数件の店に入ったところで、夏美がふてくされた。しまった。食べ物屋しか覚えてないぞ。
「んー、傘。」
カラフルな傘を広げている傘屋が目に留まった。
「隣の店なんて面白そうじゃない。」
ウミが傘屋の隣の小さな雑貨屋を指差した。僕は店の前でめぼしい店を見つけようと看板を眺めながら待つ。
時間もなくなり八幡宮へ向かう。中に入ると結婚式をしていた。




