夏果たす 冬の約束のカマクラ
それは、去年の夏に帰省した時の事だ。僕は一人っ子だが、本家なので毎年、盆と正月には親戚が集まってくる。そこで、
「雪のカマクラって素敵よね。」
いとこの話が聞こえた。
「カマクラなら毎年行ってるから詳しいぞ。」
僕は年下のいとこたちにちょっと見栄を張った。
「わたしをカマクラにつれてって。」
近くに住む女子高生のいとこが僕に向かって叫んだ。小さい頃からよく遊んでいたので、彼女は僕のことをお兄と呼ぶ。
「正月に変えるからその時でよければ。」
秋田なら僕の住んでいるところから近い。
ところが、震災で帰れなくなった。当然、約束も果たせていない。
「ごめん。今度の正月には帰るから。」
僕は素直に謝った。
「来年は受験なの。その前に学校も見て起きたいから。それに暇なんでしょ。」
「今は季節はずれだぞ。」
「何言ってんの。これからが、本番じゃない。冬もいいけど夏のほうが海もきれいだし。」
まあ、冬の日本海なんて寒いだけだ。
「じゃあ今度の日曜日。友達のお姉さんも一緒なんだけどいい?」
大人が一緒なら、別に僕が付き添う必要もないだろう。
「あんた、乙女だけで二人旅させるつもり?丘サーファーに狙われたらどうすんの。お兄はガイド兼ボディーガード。詳しいっていったわよね。」
ん?いくら夏でも、秋田にサーファーはおかしい。
「行きたいのは、どこのかまくら?」
「鎌倉っていったら湘南に決まってるでしょ。」




