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泥の柊 道隔て消ゆ隣家

 見覚えがある。隣の家の柊だ。建屋は流されてしまったらしい。土台だけが土をかぶって残っていた。ならば、道を隔てた向かいが僕の家ということになる。ポストはなくなり、表札も一緒に流されたのだろう。僕の家だと確信できるものは何も見えない。避難する時、鍵はかけなかった。このあたりでは昔からの常識である。津波につかれば塩水や泥で鍵が開かなくなる。泥棒なら窓を割ってでも入ってくる。


 浸水しているのは間違いないが、道一つ隔てただけで、建物が無事なのは奇跡だ。裏へ回って理由がわかった。倒れた電柱に建物が引っかかって直接家に瓦礫が当たるのを防いでいた。もしこの電柱がなかったら、我が家も流されてきた家の直撃を受けて消え去ってしまったことだろう。


 ふと、先ほど合ったお地蔵様を思い出した。石仏に過去を変えるほどの力があると信じているわけではないが、あの時出会っていなかったらこの家も流されていたのだろうか。


 恐る恐るドアを開けて家に入る。ブレーカが落ちているのを確かめる。ガス漏れもない。急いで電気が着ているか確かめたいが、漏電火災が怖いので、うかつにブレーカーを入れるわけにもいかない。平屋の借家のため、家具はほぼ水に浸かってしまったようだ。

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