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石地蔵 雪泥に流され 笑むか

 住宅地に入ると風景が一変し、瓦礫だらけでどこが自分の家へ続く道だったのかわからない。ここまで津波が来ていたんだ。平屋の集合住宅なので区別がつかない。いつも駅から戻る時には、町内の入り口で小さな祠に立つ石の地蔵が出迎えてくれる。しかし、赤い鳥居も祠どころか、肝心の地蔵も見当たらない。

「あんな重いものが消えるか?」


 周囲を歩いていると、泥の中に横たわる地蔵を見つけた。元あった場所から百メートル近く海のほうへ動いているだろうか。このままでは不憫なので、せめて起こそうと思ったがぬかるんだ泥がまとわりついて立ち上がらない。しかたがないので、これ以上沈まないようにと背に板を差し込み、顔の泥を手ぬぐいで拭う。その顔はいつもと同じく微笑んでいた。


「さて、次の目標を探さなければ。」

 各家の庭木はなぎ倒されて目印になりそうもない。うろうろしていると泥に埋もれた柊を見つけた。

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