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災害を 想定外と 息白し

 恐る恐る海岸を通る。気のせいか海は濁っているように感じた。ふと、大津波の映像が蘇る。どうやら僕の車も流されてしまったらしい。逃げ遅れた人もいたはずだ。歩を止めて、海に向かって手を合わせる。


 ふと自分が、避難路の案内板をしきりに探していることに気付いた。本能的に逃げ場を確保しようとしているのだろう。穂の出と共に、街には廃墟となった我が家を片付けるために人々が出てきた。


「政府は今回の津波が想定を上回るものだったとして被害の全容解明に当たるとしています。」

 軒先につるしたラジオからニュースが流れる。

「中央の連中は何かあるといつも想定外だ。それで困るのはこっちなんだよ。」

 板で泥を掻き出す老人が愚痴をこぼす。

「まあ、源さん。しかたねえよ。」

「秋刀魚が来ないのも想定外。赤潮も想定外。やつらの想定が当たった事があるのかね。」

 そえでも、口にタオルを巻き、せっせと泥を掻き出している。


 ボランティアはまだ集まらない。自分たちで家に入り込んだ泥を掻き出すしかない。若者がいるところでは濡れて重たくなった畳を外に出していた。泥が乾くとやっかいだ。早く自宅の状態を確認したい。はやる気持ちを抑えながら、慎重に歩を進める。


 普段なら一時間ほどの道程を半日かけてようやく戻ってきた。

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