第六話「薄緑」
多くの作品の中からお選びいただきありがとうございます。
この作品はフィクションです。実在する個人名、団体名、企業名、商品名、刀剣とは関わりございません。
また、都市伝説界隈で聞く秘密結社とも関わりのない事、刀剣擬人化のコンテンツとも関わりない事をご理解の上お楽しみください。
今回もストーリーが進み、シリアスなシーンが続きます。ガス抜きにギャグシーンも入れてますが場違いと叩かず笑って頂ければ幸いです。
―—— 因幡白兎 丙子椒林剣の間 ―——
「丙子椒林剣様、書簡は無事七星剣様にお届け致しました。」
「髭切、ご苦労であった。」
髭切と言われた男は静かに報告を済ます。
「それで、七星剣はどのような手を?」
「はっ。全員を招集。共倒れによる転覆を目論む第三者の存在を示唆し、全員が全員を疑うよう仕向けました。」
「まあ、想定通りだな。」
呼吸を整えることもなく報告を聞く丙子の様子を見て、髭切も落ち着いて報告を続ける。
しかし、伝えなければならぬ事がある。それをいつ言うかで折時を見計らっていた。
「して、八咫烏共の反応は如何に?」
質問の意図は理解している。
任務に忠実に従い、自身で書簡の内容を確認することなく七星剣に丙子の書簡を渡したが、おおよそ内容に予想は付く。こちら側でも北谷に繋がった者を探るが、そちらでも捜査を促すような内容であったのだろう。
だから、七星剣が全員の疑心暗鬼を産み、怪しいものを炙り出す。もしくは動きを制限させる策に対して、怪しい動きをしたものがいるかを確認しているのだ。
しかし、その結果は丙子でも予想出来なかったであろう。
「怪しい動きを見せた者は、いないのですが・・・。」
「・・・どうした。申してみよ。」
「・・・七星剣様の策を覆す者が現れまして。」
『シッ』と丙子が短く強く呼吸を整える音が零れ、髭切は首より下だけにブワッと汗が吹き出すのを感じる。
「どういうことだ。」
平静を装っても、微かに声が震える。
「薬研藤四郎が口上を上げ、それに続くようにその場にいた全員が身の潔白と忠義を示す流れになりました。」
「・・・どうして、そんなことに。」
「私も、その場に終始居合わせていた訳ではないので、聞いた話も含みますが・・・。」
と髭切は、言葉を選びながら事の顛末を伝える。
謎の老人が現れると、何かを言い残しその場を去る。その後、若い二本差しの一人が、大声で七星剣の策に苦言を呈した。それに呼応するように薬研藤四郎も同意する旨を叫ぶ。
その後、藤四郎が仮面を外し、刀を構えると『自分は身を晒した。後ろめたいものが無い者は顔と業物を晒せ』と口上を行い、それに皆が続いていったことを伝えた。
丙子が今まで見せたことのないような、深く、ゆっくりと、息を整える。
(薬研藤四郎は何者なんだ。七星剣の策を覆し、第三者に命を狙われる理由は何だ?代々七星剣を護る守り刀だけではないと言うのか?)
「薬研藤四郎は、かなりの策士だな。」
「いえ、情報によりますと、勢い任せのようであったとの事です。」
「なんだと!?」
一時は驚いて見せたが、すぐに声に出して大きく笑う。人前で感情を見せることのない丙子を目の当たりにして、髭切は驚きの余り思考を止めてしまう。
「愉快だ!意図的でないとなると、尚更、事を難しくするな。狙う意図が分からない上に、相手も動きが読めないとなると(笑)」
「愉快・・・、ですか。」
丙子は『すぅ』といつもの様子で息を整える。
「髭切よ、取り乱して済まないな。だが、愉快ではないか。七星剣の面食らった顔が容易に想像できるわ。」
そう言うと、丙子はまたクスクスと笑う。
「髭切よ、『変人』を知っておるか。『変わった者』とも言えるが、『変える者』とも呼ばれておる。意図せずとも、場を、為来りを、時代をひっくり返す者・・・。私の知人にも一人おるが、そういう者がいるとこの世は面白くなるぞ。」
「・・・左様でございますか。」
髭切は返事に困り、言葉を濁す。
「さて、北谷の動向も気になるが、薬研も気にしなくてはいけないな。しかし、烏共も薬研を詮索する中、こちらから手を出すのも現状を考えると難しいな・・・。」
髭切は察した。
「それなら私が適任かと。八咫烏としても顔が利きますし、個人的にもこの件は私の任務の障害にもなりますのでお任せください。」
(全く困った人だ。人員も割けない。こちらから人を出せば八咫烏との衝突もあり得る。このまま放置すれば、両方の橋渡し役である私の任務にも差し障るのが分かって、わざと言っているのが透けて見える。しかも、呼吸を整えなかったから途中からその腹積もりでいたはずだ。)
髭切は、丙子の変な腹の探り合いが丙子なりの親近感の表れと知りつつ、それを毒づきながらもほくそ笑んでいた。
「悪いな、髭切。いや、薄緑?はて、膝丸だったか、蜘蛛切だったかな(笑)」
「また、悪い冗談を。他の者に聞かれたら騒ぎでは済みませんよ(笑)」
―—— とある商店街 ―——
「全く、全然近づけねぇ。」
街の外れから様子を伺う北谷の視界には、複数の八咫烏の構成員が一人の少女の様子を伺っている姿が確認される。
「しかも、警護って感じじゃね奴もいるな。一体どうなってるんだ?」
「・・・なあ、ちが兄?」
まるで煙のように気配無く治金丸が姿を現す。
「おかしいな。完全に気配は消してたはずなんだけど(笑)」
「いや、気配は感じなかったよ。でも、この状況で丙子様がオレを放っては無いでしょ?ちが兄なら、そこら辺にいるかなぁって思って。」
「・・・全く、生意気な奴だな。」
「で、ちが兄は何が起こってると思う?」
「俺に分かるわけねえだろ。千代金丸に聞けよ。あいつの方が頭はいいんだからさ!」
「あ、確かに(笑)」
「てめぇっ!」
治金丸は北谷に卍固めを決める。
「いてて。って、あれ?ちが兄?本気で絞めてる!?ちょっと、抜けれないんだけど!?!?」
意地悪ににやける治金丸。
「ちが兄、そのままでいいから聞いてくれよ。」
「なんだよっ。」
治金丸の絞めが一段と強くなる。
「もし、ちが兄が俺の立場で依頼者から情報も渡されず薬研藤四郎を探すように言われたらどうする?」
「そりゃ、八咫烏の奴らの任務を監視して刀を抜く瞬間を確かめるだろ。」
考える一瞬だけ、力が抜けたが北谷が逃げ出しそうなのを察して、答えながら絞める力を籠める。
「いててっ。じゃあ、目標が下級構成員で帯刀を必要としない任務や帯刀を隠した任務が主だったらどうする?」
「そん時ゃ、任務が被ったか対立したフリして小競り合いに持ち込んで刀を・・・って、お前そういう事かよっ!」
北谷は額に脂汗を滲ませながらも『正解』と言わんばかりににやけている。
「チッ、生意気な奴!」
と言うと治金丸は絞める力を一段と上げる。
「んで、お前の依頼者は何で目標の情報もなく依頼してんだよ。おかしいだろ?素人みたいなことしてやがるが、お前に接触できる時点でそれはねえだろっ!」
「はは、それは秘匿義務に関わるから言えねえんだけどな(汗)」
北谷は段々と締め上げがきつくなり、声を出し辛くなり嫌な汗がよりいっそう滲んでくる。
「くっ・・・。じゃあ、目標と接触出来たとして、表の顔を探るとしたら?」
「そりゃ、下級構成員や若手なら隠密訓練で付いた足音を消す癖を消せてない不自然な奴をまずは見つけて、その中から背格好で更に対象を絞る。声を聞けてたら、自然に声をかけて声まで確認するとかだろ?」
「へえ、ちが兄もちゃんと座学は聞いてたんだな(笑)」
「てめぇ、自分の置かれてる立場分かってねえだろっ!」
苦し紛れに毒づく北谷に治金丸は、遠慮なく力を込めて締め上げる。
「でも、ちが兄。それでもこの街からだけでも、その方法で目標を見つけるのは砂漠から砂粒を見つけるようなもんだろ?」
「まあ、そうだな。一千万人超が住むこの都市から一人を見つけるのはコツを知っていても骨は折れるな。」
「俺は物理で骨が折れる直前だけどな(苦笑)」
その言葉を聞いて、治金丸は力を込め過ぎていたことに気付いて、漸く、少し力を緩める。
北谷は締め上げる力が緩んで、やっと呼吸が出来ると一息ついて続ける。
「八咫烏の奴らに何があったか知らねえけど、警護している者もいれば、様子を伺ってる奴もいる。少数だが身内のはずの薬研藤四郎を疑いの目で監視してる奴らもいる。」
「お前が引っ搔き回してるから、あいつらも薬研をどう見ていいか分からねえんじゃねえか?」
治金丸が適当に答えたと分かっているが、意外とそれが真理を掴んでいるようで北谷は少し感心を覚える。
「まあ、お陰であいつらの視線の中心を探るだけで、薬研らしい人物を見つける事は出来たんだから、ここは感謝だな。」
と答えると、
ゴキッ
と関節が外れる音がする。治金丸は、つい力を入れ過ぎたかと一瞬焦ったが、それは北谷が自ら関節を外して卍固めから抜け出すためであった。
「ちが兄だったら、次はどうする?」
と言うと、北谷は懐から北谷菜切を取り出すと治金丸に投げて渡す。
「ちょっと待て!この監視の数の中動くのはヤバすぎる!!!」
治金丸の制止も聞かず、北谷は、治金丸が北谷菜切を受け止めようとしたその一瞬の隙を狙って、その場から姿を消したのだった。
―—― 同じく商店街 遊歩道 ―—―
「今日の水心もヤバかったね~。」
「え~、何が~?」
「あんたのふざけた言葉を聞いて、真に受けた生徒会長が『校則変わるかも』って。これで本当に校則変わったら、水心のあだ名がまた一つ増えるね。『裏生徒会長』って(笑)」
「えへへへぇ、あれか~。まさか後ろに、たまたま生徒会長がいるとは思わなかったよね~(笑)」
今日も学校からの帰路を取り留めのない会話をしながら歩く水心といちごの姿がある。
「えへへへぇ。でも、『裏生徒会長』かぁ~。ちょっとカッコイイかも。」
「あはははっ。水心、またキモイ顔になってる(笑)」
「あーーー!また、『キモイ』って言った~!何気に傷つくんだぞ。」
「あはは。ごめんてっ!」
と謝る姿に誠意は感じられない。
「でも、水心って次の生徒会選挙で推薦しようって動きあるの知ってる?」
「えっ!?何で?頭の良さで言ったらいちごの方じゃない!?」
「水心は、なんか知らないけど人の心を掴むのが上手いし、何気ない一言が周りを変える不思議な力があるじゃない?」
「え~~~。全然自覚ないけど、そうかなぁ?そんなんで推薦されるの?」
「まあ、その推薦人の一人がわたしだからね(笑)」
「えーーー!!!」
困惑する水心に対して、いちごは満足げに笑う。
「只でさえ、稽古だけでも死にそうなのに生徒会なんかになったら本当に死んじゃう(汗)」
「あははっ。水心が生徒会長になった時は、わたしが副会長になってあげる!ちゃんと骨は拾ってあげるから!」
「死ぬの前提かよっ!」
「あはははっ。」
「えへへっ!」
水心も公園での出来事以来、普通に生活出来ていた。そして、昨日の口上後はこうして色んな思惑は感じるが、監視の目が増えたことで北谷も簡単には動けないだろうという思いから安心感が生まれて、今日は心からいちごと笑い合えているのを自覚していた。
「お嬢さんたち、楽しそうだね。ちょっと道を聞きたいんだけど、いいかな?」
二人に声を掛けたのは、長髪で緩いパーマの掛かった爽やかそうな好青年だった。
「はい。いいですよ。」
と警戒心もなく、快く返事をする水心。
「ちょっと、ナンパなら止めてください。こんな一本道で道を尋ねるのは怪しいですよ!」
と警戒心全開で拒否の姿勢を示すいちご。
「ちょっと、いちご。話を聞く前にそんなこと言ったら失礼だよ。」
「いや、その子の言う通り(笑)二人がかわいいから声掛けてみたんだ。」
「えっ?」
「お兄さん、大学生ですか?知ってますか?16歳未満の子に5歳以上歳の離れた異性は、例え同意の上の恋愛であっても違法だってこと!」
「へえ、君は賢いんだね。その話興味あるから、この後ゆっくり聞かせてよ。」
「なっ!人の話聞いてます!?これ以上関わるなら防犯ブザー鳴らしますよ!」
「ちょ、ちょっといちご!ナンパなら無視するのが一番だよ。相手しちゃダメだって!」
「あはは。そっちの子はそっちの子で痛いところ突いてくるなぁ。」
「もう、行こうよ。」
と水心はいちごの手を引くと今来た道を引き返す。今にも噛み付きそうな勢いだったいちごも、普段とは逆の立場になって諭してくれた水心を見て冷静さを取り戻し、水心に合わせて足早にその場を去った。
駅前まで走って逃げてくると、いちごは息を切らしながら水心の両肩を掴む。
「水心?次、あいつを見かけたら声を掛けられる前に逃げて!あいつ、絶対怪しい!ナンパも嘘だ!」
「えっ?どういうこと!?」
「ナンパする奴ってメンタル化け物だから、簡単にはあきらめない!逃げても執拗く付き纏う奴がほとんどなんだよ。だから、あんなあっさり見過ごしたりしない!あいつは怪しい!だから、気を付けて!!!」
いつになく必死の形相に水心も怖気づく。
「あははぁ、いちごはすごく可愛いからナンパされ慣れてるのかなぁ・・・。」
「冗談言ってる場合じゃないって!水心、お願いだから次あいつを見かけたら逃げて!」
ついに気圧されて『うん』と返事をすることしかできなくなる。
なんとかいちごの気を鎮めると、念のため駅前に留まっているタクシーの一つを拾って帰ることにした。
いちごとの帰り道が別れるところで、タクシーを降りようとする水心をいちごは引き止めたが、居合刀を見せて、
「抜くことは出来ないけど、身を守る事くらいは出来るから安心して。」
と言ってここまでのタクシー代を置いて車を降りる。過ぎ去るタクシーが見えなくなるまで水心は手を振っていた。
水心はタクシーに乗ったいちごを見送ると、自分の進むべき道を振り返り、居合刀の入った袋の紐を肩から外し、左手に握る。
しばらく歩くと案の定先ほどの青年が前から歩いてくる。左手に力が入る。
「薬研藤四郎。やっと見つけたよ。見ての通り丸腰だから、ちょっと顔を貸してくれないかな?」
(何かがおかしい。これ程の監視の中誰も動かない。)
その違和感に注意を払うと北谷の声と唇が一致していないことに気付く。すぐさま記憶を呼び起こしてその唇を読む。
『やあ、また会ったね。これって運命だよね。ちょっとあっちで話さないかい。』
(なるほど。これでは監視の目が強くなるだけで動くまでとはならないか・・・。
しかも、御誂え向きと言わんばかりに死角が多い。わたしの唇は読める者も少ない。どうしたらいい?)
水心は胸の前位に居合刀を握り締めると、思考を巡らせる。いい案が思い浮かばず、まずは時間を稼ぎ、相手の思惑を探ることしか出来なかった。
「さっきのナンパ男!これから帰るところなので、そこをどいて下さい。」
『北谷菜切!わたしはあなたに用事はない。』
誰かが気付いてくれることを期待して、水心も声と唇の動きを別にする。それも、北谷の唇と声に対する返事が逆になるように。
(会話の違和感に誰か気付いてくれ!)
「俺の目的は君の保護だ。抵抗しなければ悪いようにはしない。」
『つれないなぁ。本当に少し話すだけだって。変なことしないからさぁ。』
(ふざけてるの?まるで冗談に付き合うように両方の会話を逆にして合わせて来てる!?)
「それ以上近づくなら、人を呼びますよ!」
『これ以上近づくなら、これを抜く!』
水心は右手を鞄に伸ばして、防犯ブザーを握る。左手はすぐにでも水心子正秀を抜けるように構える。
「ほら、本当に丸腰だ。だから、落ち着いて話を聞いてくれ。」
『いい体してるだろ?今まで後悔させた事はないからさぁ。』
北谷はシャツを引っ張り、ボタンを飛ばしながらもその胴部を曝け出す。
「ふざけるな!北谷!!!!」
『キャー!変態!!!』
唇に合わせて、防犯ブザーを引っ張り、鞄と紐で繋がっていたピンから引き抜く。けたたましい警報音が鳴り、それを北谷に投げつける。
北谷はそれを掴むと、握りつぶして音を止める。
「悪い。ふざけ過ぎた。ちゃんと話をしよう。」
これが本音だと言いたげに、やっと、北谷の声と唇が一致する。
(気持ち悪い。何を考えている分からない。殺意も感じない。隙だらけのはずなのに隙が無い。何だ?この底の知れない不気味さは!?)
そんな思考が判断を惑わせた。刀を抜く瞬間が一瞬遅れた。
「北谷!これ以上この子に関わるな!両組織にとって危険なことくらい分かるだろ!!!」
突然現れたスーツ姿の男性は、すでに抜刀し、水心を庇うかのように北谷の前に立ち塞がる。
(薄緑さんだ!油断してたから助かった。)
「髭切!?なんであんたがそっち側に立つんだよ!?」
(髭切!?北谷は薄緑さんを知ってる?しかし、銘が違う。どういう事?)
「内通者がいるとは思っていたが、髭切!お前だったのか!?」
突然煙のように現れては、感情をむき出しにして叫び、抜刀する男。
(あの刀は治金丸。この状況はヤバイ。誰が敵で誰が味方かも分からない!)
「薬研藤四郎!君も刀を抜け。一人で護りきれるとも思えん!」
薄緑が叫ぶ。
バリッ
乾いた音が響く。居合刀を包んでいた袋は、口紐で幾重にも巻いてすぐには現せないようにしてある。銃刀法に準じた移送方法だ。だが、それは見せかけで、実はすぐに抜刀できるよう縫い目のところがマジックテープで止めてあるだけであった。乾いた音は抜刀のためにマジックテープが剥がれる音だった。
目下の危険に対処するためにも、水心は水心子正秀を抜いた。戦いの緊張が高まる。
「お前も構えろ!」
治金丸は預かっていた北谷菜切を北谷に投げ返すと、髭切に切りかかる。
しかし、北谷はそれを抜かない。
「治金丸!髭切!俺の邪魔をするな!」
薄緑は治金丸の一の太刀を退けると距離を取る。水心子正秀の方も刀を構えてこちらを睨んでいる。
「みんな、刀を納めろ!ふざけ過ぎた俺が悪かった!お願いだから、話を聞いてくれ!!!」
しかし、その言葉は容易く裏切られる。
「薬研藤四郎、助太刀致す。」
多分、一番近くで監視していたであろうへし切長谷部が現れ、抜刀する。
へし切長谷部を筆頭に、こちらに向かって来ている気配が一陣、また一陣と近づく。
「流石に分が悪いな。北谷!一旦下がるぞ!!!」
「あ”あーーー!なんでこうなった!!!」
北谷はそう叫ぶと治金丸の後を追ってその場を立ち去った。
薄緑、水心子、へし切も刀を納める。
「さて、私についても説明が必要ですよね。」
薄緑は顔色を悪くして、呟く。
「ただ、多くの者に聞かれるのも私の任務に障りがあるので、お二人にだけ説明します。まずは場所を変えましょう。」
薄緑はそう言うと自身の刀を特大のアジャスターケースに仕舞い、如何にも見た目は建築会社のサラリーマンと言った風貌に戻るのであった。
それに続くように、水心子正秀もへし切長谷部も各々刀を仕舞い、日常に溶け込むと薄緑の後を追う。
ご覧いただきありがとうございます。
感想やこのキャラが好きなどありましたら教えていただければ、今後の制作の励みにもなりますのでよろしくお願いします。
ザラリとした読了感ですよね。次回以降、これまでのポップな部分が無くなってより話も重くなるので、他の作品も書いているのでそれを読んで笑って頂ければ幸いです。




