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gw2日目 2


Gardenにログインすると、席に座って食事をしているマザーとバルムンクとすぃの三人がいた。

マザーは少女体型でバルムンクは鎧を外している。

二人とも、この状態の方が楽らしい。

すぃも椅子に座ってばくばくと皿の料理を平らげている。



「おお、久しいな。いらっしゃい」

「お久しぶりですシズさん、こんにちは」

「ああ、久しぶり」


どうやら八咫は先にイベントに参加していたらしく、現在イベントのフィールドにいるらしい。

一旦ユグドラで合流してから改めてフィールドに行こうということになり、只今八咫からの連絡待ちだ。


「シズは今日はイベントかい?」

「ああ、そのつもりだよ。バルムンクには色々と頼る場面がでてくると思う。今日は大丈夫か?」

「はい、お任せください!」


ツンツン


「ん、おお。すぃも頼むな」


ビシッ


何故に敬礼?

まぁ、やる気はあるようで何よりだ。

1回も一緒に戦闘を経験してないから、すぃの戦い方をあまり知らない。

唯一知ってるとすれば、すぃと出会ったあの湖で、狼を一瞬で噛み千切っていたアレだけで......。

おや、何も心配ないような気がしてきたぞ。


ポーン


「お、来たな」


八咫からのメールだ。

『今戻ったから噴水広場で待っとくぞ』

と来ていた。

こちらからも『今から向かう』と返信して、早速行こうと立ち上がる。


「んじゃ、行ってくるよ」

「おお、楽しんできな」


マザーと挨拶をすませ、噴水広場へと向かう。



***



噴水広場にやってくると、こちらに手を振っている男が。

待ち合わせていた八咫だ。

それはいいのだが、隣に見慣れないトラベラーがいる。

銀の鎧を身につけ、背中に背丈の二倍はある細長い槍を持っている。

フルプレートの鎧なのでどんな顔をしているのか分からない。

黒い槍で、赤い斑点が散っている。

血に見えなくもない物騒な模様の槍を持った人物は八咫の知り合いだろうか?


「よ、シズ。今日はよろしくな」

「ああ、よろしく。誘ってくれてありがとうな」

「いやー、ギルドメンバーがつかまらなくてな。こいつはソロでプレイしているワンダーだ」

「どうも、ワンダーいいマス。今日は先輩から誘われマシタ。よろしくデスヨ」

「あ、どうも。シズです。よろしくお願いします」

「オオ、あなたがシズさんですネ。先輩から聞いてますヨ」

「あ、はい。シズです。はじめまして。先輩?」


ワンダーさんのテンションについていくのがやっとだ。

声からようやく女性であることが分かった。

先輩というのは八咫のことだろう。

話しているのは三人しかいないのだから。


「あー、こいつ大学の後輩でな」

「へぇ。大学生だったんだな」

「まぁな」

「フフン、自他共に認める先輩の忠犬デスヨ」

「たまたま講義が一緒になってな。それ以来の付き合いだ」


八咫が年上であることは予想していたが、大学生だったことは驚きだった。

勝手に社会人だと思っていたな。


「今回はこいつも参加ってことになるんだが、いいか?」

「ああ。こっちはユヅキが不参加だ」

「なんだ、意外だな。いつも一緒だと思ってたぞ」

「そんな訳はない、あっちにも予定があるからな」


まぁ、殆ど一緒にいることは間違いではないんだが。

学校は一緒でクラスも一緒。登下校も殆ど一緒だしバイト中は遊びに来ている。

休みの日も家に遊びに来たり、連れまわされてることの方が多いからな。

だからこそ、今日のように柚が居ないことの方が確かに珍しいのだ。

とはいえ俺としては喜ばしい話でもある。

あの柚が委員長と買い物に出かけたのだ。

ここ最近あの二人は意気投合したらしくよく出掛けていた。


(ま、この機会に練習するか)


どう考えても、リヴィエラでの戦闘経験が不足してるんだよな。

前回のミノタウロス戦でもレベルが上がっていて、新しいスキルも手に入りそうなのだ。

柚と一緒だとゆっくり練習する暇がないからな。

今回のイベントでレベルを上げつつ、スキルの検証なり今後のスキルの取り方なりを考えていくつもりだ。


「んじゃシズ、パーティー申請送るな。さっさと受付するから」

「受付?」

「アッチですヨ」


ワンダーさんが指さした先には


「......」


ジリジリと太陽の光が照す中、汗をダラダラ垂れ流しながら看板を手に不機嫌そうに突っ立っている女の子が一人。

黒いマントを羽織り、右手に鈴、左手には「こちらイベント受付でーす」と書かれた看板を手にしている。


「ぐぅぅぅぅ、なんっで、あたしがこんなことをしないといけないのよっ」


もう、見るからに不機嫌そうなあの子がイベントの受付なのだろうか。


「よ、ヴィーさん。何度も悪いんだが、またお願いしていいか?」

「ん、ハイハイ、あんた達ね。また二人でいーの?」

「いや、今回は3人だな」

「ふーん」


あの受付はヴィーさんというらしい。

八咫が話している最中にワンダーさんに教えてもらった。

イベントの受付は基本的にああやって看板を持っており、受付に話しかけてエントリーすることでイベントエリアに転移されるらしい。


受付のヴィーさんは密かに人気があるらしい。

不機嫌ながらも律儀に仕事をする姿にほっこりするファンがいるのだとか。

話しかけても律儀に返してくれるし、トラベラー毎にセリフも変わるので何度も話しかるトラベラーが急増。

最終的にゴミを見るような目で全く返事してくれなくなったのだとか。


「いやー、最近のNPCは良くできていますヨ」

「凄いですね」


色んな意味で。


それからは愛されるキャラクターとして、どんなトラベラーからも親しまれているそうだ。


「おし、それじゃ行くか」

「ああ、よろしく頼む」

「はい、行きますヨ!」


八咫は話終わったらしい。

なにはともあれ今回はこの3人での冒険だ。

楽しんで行くか。


「じゃあ、頼む」

「ん、それじゃあ、いってらー」


そう言ってこちらを向いて鈴をふる。

涼しげな音が辺りに響く。


「?」


ふと気づくと八咫とワンダーがこちらを向いてニヤニヤと笑っている。


(何だ?何を笑って)


3人の足元に穴が開く。


「は?」


それしか口に出来ない。

俺が想像していたのは魔法による転移か何かによる移動であって、まさかの落下とは夢にも思ってーー


「アアアァァァァァー!?」


何の抵抗もできず、俺達は穴の中に吸い込まれていった。



***


「ま、そりゃそうなるわよね」


何も知らなければ、足元に急に穴が開けば驚くに決まっている。


「楽しみが増えたかな」


くそ暑いなか辛抱して突っ立ってたかいがあった。


「ようし、頑張ろ」


ヴィーは次のトラベラーを待ち続ける。

予想外の収穫に、頬が緩みそうになるのを堪えながら。

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