クリスマス 番外編
クリスマス番外編です。
若干のネタバレを含みます。
「ほい」
「ん」
机にあったみかんを柚に投げる。
それを柚が皮をむいて食べる。
「ねぇ」
「ん?」
さっきからこたつを挟んで二人でテレビを見ている訳だが、どうも機嫌が悪いようだ。
「どうした?」
「今日ってさ、ずっとこのまま家でテレビ見ながらゴロゴロしてるの?」
「ん?なんだよ、どっか行きたい場所でもあるのか」
「いや、そういうんじゃないけどさ・・・・・」
まぁ、何となく分かる。
要するに暇なんだろう。
「とは言っても夜には皆来るんだし、準備もさっき終わったし、ゆっくり待てばいいんじゃないか?」
「うーん、何か勿体ない気がする」
「何が?」
「せっかくのクリスマスなんだよ。何かこう、イベントがあってもいい気がする」
「イベントねぇ」
全く、何を言っているんだか。
ゲームでもないんだからそんな都合よくイベントなんて起きるわけがない。
「あ、そうだ!折角だからさ、皆が来るまで想像してようよ」
「想像って、何を?」
「ほら、この一年である程度カップルが出来ちゃったじゃない」
「カップルって・・・・・・、出来たのは一組だけだぞ」
「いや、他も殆ど出来てるようなものでしょ。そんなカップルたちがこのクリスマスをどう過ごしているのかを想像してみようよ!」
確かにカップルが一組できたことで、結構この一年で俺たちの学校で恋愛ブームが起きていたことは事実だが、なんというか物凄く不毛な気がするんだが。
暇なのか?
暇なんだろうな・・・・・・
「まあ別にいいけど、じゃあ誰からにするんだ?」
「うーん、やっぱり一番は薫君と委員長じゃない」
「いや、その組み合わせは考えるまでもないじゃないか」
「いやいや、でもあの委員長があそこまでグイグイ行くとは思わなかったじゃない」
「焚きつけたのはお前たちだろ」
「仕方ないじゃん。あのままじゃ委員長、薫君をとられるところだったんだから」
そうだろうか?
俺は薫が委員長一択だと思ってたからな。
「紫月は薫君と話してるからそう思ってても、私や委員長は知らなかったんだからしょうがないじゃん」
「まあ、そんなもんかね。むしろ俺は葵たちの方が驚いた」
「え、そう?あんなに分かりやすい反応してたのに」
「それはそうだけど、どちらかというと俺は葵の方が意外だったんだよ」
「そう?」
「葵は面倒見がいいから懐くというのは分かるんだが、葵の好みと真逆だったからさ」
葵の好みは言うまでもなく佳奈美さんだ。
葵自身も「容姿性格共にどストライクでござる」って言ってただけに、その真逆に行くとは思っていなかった。
「そう?結構何だかんだ合ってると思うよ、あの二人。」
「そうか?」
「うん、面倒くさがりな彼を首根っこ捕まえて強引に引っ張て行くところとか」
「あー」
「彼も満更ではないみたいだしね」
「確かに、言われてみればそうだな」
確かに、グイグイ引っ張られながら仕方ないなと苦笑しながらついて行っているのを何度か見かけたが、葵も嫌そうではなかったな。
「最初は一緒に喫茶店に来るとは思ってもみなかったよ」
「そうだね。確かに最初は酷かったけどね」
「ま、悪いのは全部葵だからな。自業自得なんだが」
「あはは、悪気はなかったんだろうけどね」
葵は悪い奴ではないのだ。
ただ面倒くさいだけで。
「じゃあ後はやっぱり佳奈美さんかな」
「いや、一番はそこだろ。今年一番の出来事と言っても過言じゃないぞ」
「うん、まあそうなんだけどさ」
「流石玄さん、男を見せたな」
「まあ身内としては恥ずかしいやら今更かって感覚だったんだけどね」
「まあ本人たちが幸せならそれでいいじゃないか」
「・・・・・・はぁ、そうだね」
そう、一番の出来事は玄さんが佳奈美さんへプロポーズした事だろう。
これが学校の恋愛ブームの発端になったのだから。
まあ仕方のない事でもある。
娯楽の少ないこの田舎だ。
噂が広がるのは早いのだ。
おまけに皆ノリがいいからこういったイベントは嬉々として騒いでいた。
「とはいえ、一年で結構色々あったなぁ」
「そうだねぇ。後はもう正月を残すのみだよ」
「早いなぁ」
「早いねぇ」
こたつに顎を乗っけながら話してると、いつの間にか微睡んでくる。
「ふぁ・・・・・・」
どうやら柚も同じようだ。
それもそうだ。
夜に皆でパーティするために準備や飾りつけを朝からきて手伝ってくれていたのだから。
「どうせ皆が来るまでまだ時間あるんだし、少し寝るか」
「そだね。準備も終わらせちゃったし、朝早かったから、私も、結構限界」
皆が来るまでの束の間、少し仮眠取らせてもらうことにするか。




