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ふと浮かぶ景色


「さて、旅とは言ってもな」


「シズは何処か行ってみたい場所とかある?」


「そもそも、リヴィエラの観光スポット自体、何も知らないからなぁ」


「それもそっか、じゃあ何か見てみたい景色とかは?」


「そうだなぁ」



急に言われても中々出てこないものだ。


欲を言えば珍しい景色であったり、感動するような何かがあれば理想的ではあるが。



(旅ねぇ......)



その時ふと頭に映像が浮かぶ。


それは生い茂る木に囲まれた湖。


水は透き通っていて、のぞき込めば色鮮やかな魚が気持ちよさそうに泳いでいる。


丁度いい切り株が4つあり、そこに座って釣りをすればどんなに......



(ん、あれ?)



ふと頭に浮かびはしたが、何で一瞬胸が痛くなったのか。



「・・・・・・湖」


「え?」



おっと、口に出ていたらしい。


まぁ、別にいいか。


湖を眺めながら釣りを楽しみ、釣った魚で腹を満たす。


うん、考えれば考えるほど、良い気がしてきた。



「いや、湖で景色を楽しみながら釣りをするのもいいなと思ってさ」


「湖で釣かぁ」


「ああ、ここ最近戦ってばっかりだったし、たまにはゆっくりとするのもいいんじゃないか?」


「うん、じゃあそうしよっか」


「いいのか?ユズキは何かしたい事とか行きたい場所はないのか?」


「うーん、今は特にないかな」


「そっか、んじゃ湖で釣をするってことでいいんだな?」


「うん。とは言っても場所を探さないとね」



確かに、それはそうだ。


まだ俺たちはリヴィエラの地理に関して明るくはないのだから。


何で近場に都合よく、頭に出てきた森の湖がある気がしていたんだろうか。



「それじゃあ情報収集に出かけようか」


「そうするか。ユグドラを見て回るのにも丁度いいしな」


「そうだね」



そうと決まれば早速出かけるとするか。



「じゃあバルムンク、マザー、少し出かけてくるよ」


「うむ、ゆっくり見て回ってくるといい」


「はい、行ってらっしゃい」


「うん、行ってきます」



バルムンクとマザーに出掛けることを伝え、情報収集に向かった。



***



「教えなくて良かったんですか?」


「別にいいではないか」



二人が出ていくのを見送りマザーに尋ねる。


マザーは自分で淹れたアップルティーをのんびりと飲みながらこちらの疑問に答えてくれる。



「折角自分たちで情報を集めようとしていたのだ。私が場所を教えてしまっては台無しではないか」


「でも、それでは......」


「バルムンク」



私の言葉を遮る。


こちらを見る彼女は何処か嬉しそうで、穏やかで、寂しそうだ。



「心配せんでも、近場で釣の出来る湖は一か所しかない」


「それはそうですけど」


「何も心配はいらんよ、バルムンク。何もな」


「マザー......」




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