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いい加減、旅をしよう


「あ、シズさんユズキさん、こんにちは」


「ああ、こんにちは」


「こんにちは、バルムンク。うわぁ、いい香り!アップルティー?」


「ええ、今キッチンでマザーが淹れてくれています。一緒にどうですか?」


「うん、いただきます」



今日はバイトが終わった後、自宅に柚が遊びに来ていたので、一緒にリヴィエラへログインした。


Gaedenで迎えてくれたのは私服姿のバルムンク。



「今日は皆さん来られないのですか?」


「うん、今日は皆忙しいみたい」



坂巻姉妹は道場の用事があるらしく、委員長も家の用事があり、葵も他のゲームのイベントらしい。



「ふふ、皆さん元気なようで何よりです」


「まぁな。一人元気すぎな気もするけどな」


「葵君ね。ああ、バルムンクにはカンパネルラの方が分かるか。転校生が来たし、これから騒がしくなるんじゃない」


「しかも女子だからな。きっとテンション高いぞ」



まぁこれは別に葵に限った話ではないだろう。


田舎の学校に転校生が来るのだから。


男子であれ女子であれ浮かれるであろうことは容易に想像できる。



「でも今日の葵君はそこまでアタックしなかったよね。意外だったなぁ」


「そうか?」


「だってほら、いつも「ロリは至高でござる」って言ってるからさ」


「......」



言ってたか?


.......あ、言ってたわ。



「い、いや、あいつのあれは冗談だから」


「そうなの?正直あまり関わりないから知らないんだよね」


「あ、ああ、それもそうか。まぁいつもの冗談だよ。本気で言っている訳ではないと思う」


「へぇ、そうなんだ」


「まぁ「ロリ至高」発言は本当かもしれないけどな。でもあいつ、女性の好みは年上派だからなぁ」


「え、そうなの?」


「ああ。まぁ普段言ってる事とは反対だな」



全く、なんで俺が葵の弁解せにゃならんのだ......



「ふぅん、そっか。でもそうなると、......え、葵君って熟女が好きなの?」


「待て待て待て!何でそうなるんだ!!」



慌てて止める。


全く、急に何を言い出すんだ、こいつは!


死ぬ気か!



「年上が好きだからと言って、何も熟女という訳ではないだろ!年上好きなんだよきっと!!年上以上熟女未満だ!」


「......何でそんなに必死なの?」



お前がとんでもない地雷を踏もうとしてるからだよ!


これは俺と薫しか知らないことだが、葵の初恋の人は佳奈美さんだ。


たとえあと1年で30歳になるからと言って、「熟女」とはならないはずだ。


万が一佳奈美さんに熟女なんて言ってみろ。


......うん、これ以上考えるのはやめよう。


きっと碌なことにならない。



「ほい、淹れたぞ。賑やかなことだ」


「お、待ってました。ありがとう、マザー」


「おお、今日は二人か。いらっしゃい」



丁度良くマザーがアップルティーを持ってきた。......少女の姿で。



「え、マザー?......この娘が?」



あぁ、そうだった。


ユズキはまだ、マザーが少女であることを知らないんだった。



***



「もぉ、シズ。知ってたなら教えてよ」


「すまん、バルムンクの正体を明かした時に一緒に紹介すればよかったんだがな」



ぶっちゃけ忘れてました。



「ま、まぁ、紹介出来てよかったよ」


「よろしく頼むぞ、ユズキよ」


「あ、うん。私も、よろしくね。マザー」



珍しくユズキがぎこちないな。


婆さんだと思っていた人物が実は少女だと知ったら、そりゃ驚くか。


俺ももう少し早く紹介できてれば良かったんだろうけどな。



「それで、今日はお二人はどう過ごされるのですか?狩りに出かけるのでしたら準備しますが」



空気を読んでバルムンクが俺たちの予定を聞いてきてくれる。


鎧を持ってこようとしているが、申し訳ない事に今日は戦いに行く予定はないのだ。



「ああ、今日はいいよ。これからちょっと話し合いするから」


「話し合いですか?」


「ああ」



そう、これからユズキと話し合うことになっていたのだ。


とは言っても俺は何を話し合うのかを聞いていない。


柚がいきなり家に来てリヴィエラの今後の活動について話し合おうと言い出したのだ。



「それで、ユズキ。結局何を話し合うんだ?」


「うん。あのさ、最初にリヴィエラに誘った時、私がなんて誘ったか覚えてる?」


「ええと、確か......ああ、「ちょっと旅に出ない?」だったか?」


「うん、正解」



最初にこれを聞いた時は何の冗談だと思ったものだが。


結局ゲームをすることになって、旅の事はすっかり忘れていた。



「つまり、いい加減どこかに行ってみないかって事か?」


「そう、大正解」



まぁ、そろそろ言い出すだろうとは思っていた。


当初の目的は旅に出る事だったのだ。


まぁ楽しくなって狩りやら買い物やらに夢中になってはいたのだが。


やはり最初の目的である旅は外せないって事だろう。



「つっても、リヴィエラにログインした時点で十分旅気分味わったとは思うんだが」


「それはそうだけどさ。そもそもユグドラの観光すらまだじゃん!」



そういえばまだだったか。


普段は買い物に中央の噴水広場に行くか、町の門から出て狩りに出かけるくらいしか移動しない。


後は基本的にGardenでのんびりしてるからなぁ。



「それで、どこ行くか決まってるのか?」


「全然」


「......」



成る程、それを今から話し合うわけですね......。


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