食の好み
読みやすさを意識して書き方を変えてみました。
読みやすいかどうか、意見を貰えれば幸いです。
ここ最近、俺がバイトしていることもあってか、友人がよく喫茶店に顔を見せに来る。
柚に坂巻姉妹に委員長に薫と葵。
今日は午後から勢ぞろいだった。
「やっぱよぉ、一番はメイプルシロップじゃねぇか」
「まだまだでござるな、薫氏。やはりバターこそが至高でござろう」
「うーん、私はリンゴジャムかな」
「私も柚さんと一緒ですね」
「あれ、柚ねぇはそっちか。私は断然ザラメだね」
「同じく」
只今絶賛『ワッフルに何かけて食べるのが一番美味しいか』について議論中だった。
正直どちらでも良いのだが、そんな事を言うとこちらに飛び火するので黙っておく。
まぁ、食の好みは自由だし、それぞれの食べ方を楽しんでもらえればそれでいいのだが。
「やはり、食後のコーヒーにも合うし、やっぱりバターが一番でござろう」
「いや、それ言い出したら紅茶とメイプルシロップもいけなくはねえぞ」
「えー、だったら私はザラメに紅茶だなぁ」
「うーん、それだったら私はリンゴジャムにコーヒーかな」
それぞれに拘りがあるようだ。
まぁ、こちらとしてはそれぞれの好みを知れるチャンスでもあるし、客自身が他の食べ方を知ることができるチャンスでもあるので、白熱しない限りはほっといている。
このての話は白熱すると喧嘩につながってしまうので、そうなる前にはストップをかける。
「そう言えば紫月はなにが一番なの?」
お、矛先が俺に向いたようだ。
「俺はそうだな。ワッフルには黒蜜とバターだな。一緒に生姜湯を飲むのが堪らないんだよなぁ」
いくら4月とはいえ、まだまだ寒い日が続く。
ワッフルに黒蜜をかけて、バターをのっけて食べる。
独特な黒蜜の甘さで疲れた体を癒して、冷えた体を生姜湯で温める。
素晴らしく贅沢な時間を満喫することができるのだ。
『......』
ん、皆急に静かになったな。
どうしたんだ?
「あのぉ、紫月氏?私はまだ黒蜜を頂いたことがないのですが」
「ん?いや、葵の至高はバターなんだろ?」
「それはそうなのでありますが」
ん?もしかして黒蜜食べてみたかったのか?
いつもバターが至高だと言ってたから、それで出すようにしているんだが。
「ねぇ、紫月。メニューには生姜湯って書いてないんだけど」
「そりゃまあ、いつも休憩の時にもらってるからな。別にメニューにするつもりもないんじゃないか?」
いつもバイト終わりに賄い出してもらうのだ。
仕事終わりにこれを飲み、ワッフルを食べながら「今日もお疲れ様」と一日を振り返るのだ。
「そんな話を聞かされたら食べないわけにはいかねぇな」
「そうでござるな。紫月氏ばかりずるいでござるよ!」
「そうは言われてもな。んじゃ、二人は追加ってことか?他はいらないか?」
男性陣はワッフルと生姜湯を追加するらしく、他の女性陣はどうするのか聞いてみる。
「うーん、食べてみたくはあるんだけどね」
「カロリー的に大丈夫でしょうか」
どうも柚と委員長はカロリーの心配をしているようだ。
「あたしも紫月にぃと同じのもらおっかな」
「同じく。あんな話聞かされて我慢なんて無理」
茜と千鶴は追加と。
「よし、私も追加で。こうなったら一蓮托生だよ、委員長!」
「はい、柚さん。紫月君、私も追加してください!」
はいはい、柚と委員長も追加ね。
まぁ、そこまでカロリー的に高いわけでもないから気にしなくてもいいとは思うのだが。
***
「おおぅ、これはなかなか!」
「これはこれでありでござるな!」
「あ、本当だ。黒蜜とバターもありだね」
「何個もいけそうです」
「うわぁ、生姜湯もいけるね。温まるよ」
「黒蜜とバターは反則」
追加で出されたワッフルと生姜湯は大人気だった。
俺としてはいつも賄いとして出されていたものだから、メニューとして出していいのか複雑ではあったが、まぁ客が満足してくれるのが一番なのだろう。
それから柚と委員長と茜と千鶴、そろそろ食べる量抑えないと体重計みて泣くことになるぞ。
「てか紫月はこれをいつも賄いで食ってるのかよ」
「そうでござるよ、教えてくれてもいいではござらんか」
「いや、お前ら散々バターが至高だの、メイプルシロップが1番だの言ってたじゃないか」
全く、気をつかったというのに理不尽だ。
因みに女性陣は————
「っていうか紫月にぃってさ、いっつもあのワッフル食べて、自宅に帰ってからも自分で作ったご飯食べてるんだよね......」
「私たちと遊ぶ時は間食もしているよね......」
「全く体型が変わってないように見えるのですが......」
「ギルティ」
————さらに理不尽だった。




