特級サポート
「うぅ...痛いよぉ...酷いよぉ...」
腰が抜けたのが未だ治らないムーミュはソファー上で寝転びながら、頭の上に出来たたんこぶを氷袋で冷やしていた。
「はぁ...。たんこぶは、逃げようとしたムーミュ様が頭から落ちたから出来たんじゃないですか。私のせいじゃないですよ。」
「そーだけどぉ...」
「それよりも、ファフニールさん大変迷惑をお掛けしました。私は、アカナと申します。」
そう俺に向かって頭を下げるサブマス...改めアカナ。上がポンコツだもんな。相当苦労してそうだ。
「いや大丈夫だ。...こんなんでこのギルド回ってるって凄いな...」
アカナは「あはは...」と力なく笑った。
「あれでもギルドマスターですからね。ポンコツなのを除けばちゃんとギルドをまとめるだけの力を持ってるんですよ。」
「あー...確かに俺の猫かぶりも直ぐにバレたな。」
「でしょう?...下手に優秀な所もあるから、逆に私の気苦労が絶えないんですけどね。」
っとムーミュへの軽い愚痴がアカナからこぼれ始めたところで、
「私の前で私への愚痴を吐くなー!」
と、ご本人からストップがかかった。
「愚痴を吐かれたくなければ、もっとしっかりしてください。」
「うぐっ...だってぇ」
「だってじゃないです。私の苦労も考えてください。」
俺の前で、部下から小言を言われる上司という凄い絵面がおこっているが、ピリピリしていると言うよりは、手のかかる親友に文句を言うという空気で、信頼しあっているのが感じ取れる。
「はぁ。...このままじゃ話が進みませんね。ファフニールさんとはどこまで話したんです?」
「特級商人にするよーってとこまでかなぁ」
「なるほど。では、欲しいサポート選択からですね。」
そう言ってアカナは1枚の紙を取り出した。
そこには特級サポート一覧表と書かれている。
「サポート?選べるのか?」
「ええ。お選びになったサポートは即日対応させていただきます。」
「全部選んでもいいし、選ばなかったりしてもいいよ。特級商人にもなると人に見られたくないこととか、自分でやれるよってことが増えるだろうから必要なサポートだけ受けれるんだよ。」
「なるほどな。」
内容を見てみると、商売をするために欲しい土地の大きさがどうこうとか、人手は派遣して欲しいか、するならどれくらいかとか、護衛は欲しいかとかなど、様々な項目が書かれている。
かなり項目が豊富なので選ぶのに時間がかかりそうだ。
「項目かなり多いから、ゆっくり選んでね。」
そう言われてゆっくり俺が選んでいると、ムーミュとアカナが何かを喋り始めた。
「ねーねーあかなー。」
「なんですか?」
「のじゃーやっぱりやる。」
「はっ?今それで失敗したばかりじゃないですか!」
「うん。わらわはもう辞めるよ。わしにする。」
「わし?男っぽくないです?...」
「でも、わらわよりはマシだよね?セーフだよ。」
まだ、諦めていなかったのかよ!
予定のなかった新キャラ、アカナ。
名前の由来は五十音を乱数で三回引いたら出た文字の組み合わせです。
適当じゃないかって?特にいい名前が思いつかなくて...orz