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どらどら  作者: 山吹 てまり
1章、拾われたどらどら
24/42

24、視点変更:ヒリン

 炎の勇者一行に力を貸してほしいと言われた時、正直、乗り気ではなかった。

 植物の国・フランツェの場所を知りたいという話を聞いてからは、顔だけ見てバルバラ組合長への義理を果たして、立ち去るつもりだった。


「あいつをそこらの普人族と一緒にしないほうがいいよ」


 バルバラ組合長の言葉を聞き流し、いかにうまく断るかに思考が傾いていた、のだが……。


「まさか、『炎の』勇者がこういうタイプだとは」


 楽しそうに談笑する一行の背後を、彼らを眺めながら歩き、独り言ちる。


 私は普人族が好きではない。故郷の同族の方が、おそらく普人族に対して好意的だろう。

 ……私は知ってしまったから。現代における普人族、特に炎の国・フランメ帝国の者達の価値観の歪さを。




 この世界には、多くの種族が生きている。

 彼等、否、私達の『今』は、血に塗れた争いの末にようやく訪れた『今』だ。


 歴史的にざっくりと言ってしまえば、大体の種族は過去にやらかしている。今はそれが普人族である、というだけの話で。

 もっとも、過去に世界を恐怖のどん底に落とした獣人族や魔人族達と違い、普人族の至上主義は炎の国・フランメ帝国内で収まっているようなので、まだましなのかもしれなかった。


 しかし『まだまし』という評価は、過去のそれはそれは酷いやらかしをリアルタイムで見ていた森人族のような、いわば超長命種だからこそ言える評価であって、今しか生きていない私からすれば、普人族に苦手意識を持ってしまうのも致し方ない話であろう。


 ……ああ、そうだった。私が今語るべきなのは、今代の炎の勇者一行の事だろう。


 まずは肝心の炎の勇者。炎の勇者である事を表す緋色の髪が特徴的な、一見平凡な青年である。

 しかし彼は、曲者揃いの一行を自然体で束ねることが出来ているのだから、決して平凡ではない。多種族混合のパーティの難しさは有名だが、上手くいっているのは彼がリーダーだからなのだろう。


 炎の勇者一行は、長命種が3人も加わっている非常に珍しいパーティである。しかも、普通は関係が微妙であるはずの、魔人族と森人族が特にわだかまりもなく一緒にいるのだ。


 魔人族というのはやや特殊な亜人種で、どの種族とも異なる、いわば『その他』の種族が纏めて魔人族と呼ばれている。

 一般的に想像される魔人族とは、耳が普人族と森人族の間程度に尖っていて、魔力を豊富に持ち、肉体が強靭である。

 しかし、魔人族の高位貴族は、一族によって異なる特徴を有している。聞いた話だと、寿命すら一族ごとに違ってくるらしい。


 例を挙げると、魔人族と鬼人族の国である闇の国・ドゥンケル魔王国の三大公爵家だが、鬼人族である日比谷(ひびや)は置いておいて、魔人族といわれている不知火(しらぬい)羽衣石(ういし)の者達は通常の魔人族と明らかに違う種族だ。


 不知火公爵家の血が流れている者は、白に近い髪と赤系の瞳、普人族よりも発達した牙、森人族に迫る寿命の長さ、生命維持に人族の血が必要、等々特徴が多い。炎の勇者一行の一員である万里乃という女性は恐らく、不知火の血を引いているのだろう。

 不知火の血が薄い者は何故か日光が苦手になる中で、日光を然程疎んじていなかったので、もしかしたら直系かもしれない。


 羽衣石公爵家は女系一族だ。髪に魔力を通して自在に操ることが出来、何より彼女らの恐ろしい点は、見た生き物を石のように固めることが出来る魔眼の持ち主だというところだ。

 羽衣石の血が濃い程、魔眼も強力であり、公爵家の名に恥じぬ力を持っていると言えよう。


 それでは王族はどんな強力な一族なのかと思えば、一般的に言われる魔人族の特徴そのままなので、かの国の事はよく分からない。


 森人族の青年(といっても2000歳は超えているだろうが)エリア氏は、目立つことを嫌う森人族が炎の勇者一行の一員となっているのだから、よほどの変わり者なのかと思いきや、ごく一般的な森人族であった。

 彼等はその長すぎる寿命故に周りへの興味が薄く、冷たいと思われがちである。もっとも、炎の勇者一行達にはその辺りの誤解などなさそうだが。


 岩人族であるギャリック氏も、人が好く、酒好きな、これまた普通の岩人族だ。

 岩人族という種族はこだわりが強く、職人になると頑固で偏屈ともいわれがちだが、根は氏のようなタイプであることが多い。彼等にひとたび受け入れられれば、とても温かいその人柄に触れることが出来るだろう。


 興味深いのが猫人族の少女、イドラだ。魔術の得意な獣人族とは非常に珍しい存在であると言えよう。

 ホ家の者が、「獣人族の肉体強度を考えれば、彼等は魔力そのものは豊富である可能性がある」という研究をしていた筈なので、少女の存在を教えてやらねば。




 本当は、エステレラと名付けられた古代竜の事こそ語り倒したいのだが、あまりに長くなってしまうので、それはまたの機会に。


 何にせよ、彼等に植物の国・フランツェについて教えるか否かは、私に一任されているのだから、まだしばらくは観察を続けよう。

 それにしてもこの見た目だとどうしても、語り口調で驚かれやすいのはどうにか出来ないだろうか。全く困った問題だ。

読んでくださりありがとうございます。


小人族は見た目が永遠の少年少女ですが、基本的に学者肌なので語らせると少し面倒だったり。笑

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