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ネコ・シッター石川結望の業務日誌:9話完結:毎日更新(昼12時)  作者: 秋月心文


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6/9

浮気は許さない

5日目。


「なんだこれ? ありすぎなんだけど」

 ブラッシングをしようと思ったら、ブラシが多すぎて困った。

 きっと爪切りのときみたいに、全部買っちゃったんだろうな。

「いつも、どれ使ってるのぉ?」


 見比べていると、ネコの毛がついているのを見かけた。

 これと、これか?

 手袋みたいなのとシャワーヘッドみたいなのに、ほんのりネコの毛がついていた。


 シャワーヘッドから試してみるか。

 え?

 水入れるの?

 充電式?

 USB?


 気がつくと作業部屋には、USBのコンセントも備わっていた。

 いたれりつくせりだな。

 充電してみると、すぐに緑になったので充電済みのようだ。


 水を入れる。

 スイッチを入れる。

 なんか出た。

 箱にはスチームと書いてあった。

 恐る恐る触れてみる。

 熱くない。常温だ。

 ミストじゃん。


 さっそく、ネコ部屋に持ち込んだ。

「アズキ~。ちょっと来て~」

「ニャ」

 タタっと向かってきて、ポンと膝の上に乗った。

 何をするのかわかってるらしい。

 まぁ、ブラシ持ってるしな。


 さぁ、ブラッシングだ。

 わ! 結構とれるな。

 ちょっと大きいので、ブラッシングできる範囲が限られそうだ。

 でも、乾燥しやすい冬とかに良さそうかな。


 せっかくだし、手袋の方も試してみるか。

 あ、こっちの方が使いやすいな。

 細かいとこまでなでなでできる。

 あごとか顔の周りは、こっちの方が使いやすいな。

 個人的には、次から、これ一択かなぁ。

 こっちも結構とれるな。


 ブラッシングでとった毛を球のように丸めた。

 それを眺めてニヤニヤしていた。

 そしたら、アズキが、その抜け毛玉を奪おうとしてきた。

「ちょっ……」

 飲み込まれたら困る。

「わかった、わかったから」

 アズキがいるときは、アズキを眺めてニヤニヤしてろってことらしい。

 浮気するなということかな。


 抜け毛玉は、作業部屋に置いてきた。

 アズキも、それで納得してくれたようだ。


 毛玉と言えば、この部屋にも、ところどころネコの毛が落ちている。


 キャットウォークは、時々奥様が脚立で掃除されているらしい。

 ほぼ天井近くにあるので、大変そうだ。

 そのうち、その仕事もまわってきそうな気がするが、それまでは、気づかぬふりをしていよう。掃除はあんまり得意ではない。


 このネコ部屋には、全自動掃除機が走り回っていて、床に落ちた毛はそいつが回収している。

 アズキはその音にも特に抵抗がないらしく、たまにそいつの上に乗っていたりする。


 今のところ、ゴミ出しも私の仕事だ。

 といっても、紙パックを入れ替えるだけなので、さほど手間ではない。

 時々、回転ブラシに絡みついたネコの毛を取るのが大変なくらいだ。


=ニャ~、ニャ~、ニャ~=

 掃除機が鳴いている。

 ここの家の掃除機は特注品らしく、電子音の代わりにネコの鳴き声が流れる。

 紙パックがいっぱいになったから、換えろという合図らしい。

 仕事内容はカンタンだ。

 紙パックを換えるだけだ。

 しかし、アズキが主張してくるのだ。

 浮気は許さないと。


「わかった。わかったから、アズキ」

 最近は、紙パックの交換の危険度が上昇中だ。

 お読みいただき、ありがとうございます!


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