アズキを洗う
3日目。
「私が? アズキを? 洗っていいんですか?」
「そろそろ任せて大丈夫だと思うの」
奥様に、そこまで信頼されたらやるしかない。
だけど、多くのネコは水嫌いだ。大丈夫かな?
お風呂場に連れて行った。
でも、逃げる気配はない。
案外、苦手じゃないのかな。
アズキの体温とシャワーのお湯を交互に確かめる。
熱すぎず、冷たすぎないように温度を調節する。
ここのシャワーはガス湯沸かし器だ。
途中で止めると、温度が変わることがあるから、流しっぱなしでいこう。
ネコ用シャンプーは……
これか。
無言だと、アズキも心配だろう。
声をかけながら、安心させていこう。
「冷たくないですかぁ~」
「ニャ~」
「シャンプーつけますよぉ~」
「ニャ~」
「かゆいとこありませんかぁ~」
「ニャ~」
シャンプーを終えると用意されてたバスタオルで……
んん?
なんじゃ!?
何、このタオル?
めちゃめちゃふかふかなんだけど。
確か、ゴシゴシせずに、
押さえるようにして水分を吸わせるんだったな。
うわ、軽く押さえるだけでグングン水を吸う。
肌ざわりめちゃくちゃ気持ちいい~。
いかん、いかん。
今はアズキから水を吸い取らないと……。
次はドライヤー。
弱風、低温。
近づけすぎないように、常に動かしながらやさしく乾かしていく。
うわ。
このドライヤーも、音静かだな。
背中から脇腹、お腹、足へと、順番に乾かしていく。
「おぉ、キレイになったねぇ」
「ニャ~」
「さぁ、ネコ部屋行こうか」
「ニャ~」
お風呂場を出ると、奥様と目が合った。
心配して近くで待機してたみたい。
もしかして、掛け声も聞かれてたのかな?
ちょっと恥ずかしくなった。
「明日から、アズキのシャンプーお願いね」
どうやら、シャンプー係としては合格らしい。
ネコ部屋に着くと、アズキはスルリと私の手を離れ、おもちゃのはいったかごに向かっていった。
1本のねこじゃらしをくわえると、私の前に持ってきた。
「これがいいのね」
「ニャ~」
かなり長いネコじゃらしだな。
さすがに、この高さは……
ここまで飛ぶんか。
「おぉ、すごいすごい」
アズキは得意げな顔で、こちらを見る。
「これに、反応できるかなぁ~?」
「おぉ~」
ついてくるねぇ。
ネコが飛んでるのを見るの、何かカッコいいよね。
もっと鳥っぽい感じで動かしてみようか。
地べただと、すぐ捕まるな。
飛ばさないと無理か。
1歳くらいって言ってたから、遊びたい盛りかな?
さすがに私の方が先にバテた。
「ごめんよ。一旦休憩で」
私は、ねこじゃらしをおもちゃの入ったかごに戻した。
アズキはキャットタワーをトントントンと昇ると、そこから繋がるキャットウォークに飛び乗った。
この部屋の天井には、キャットウォークがたくさん張り巡らされている。
立体交差になっている場所もある。
部屋の端から中央付近まで、縦横無尽に走っている。
そこを全力疾走だ。
だから、この部屋で横になっていると、時々、天井付近のキャットウォークからドスンと降りてくる。
今日は、お腹のあたりに降りられて、グホッと声を出してしまった。
そういえば、1日目みたいに何か落としたり倒したりしてこなくなったな。
あれは、もしかしてわざとだった?。
気を引こうとしてたとか?
どうなんだろう。
ただの気まぐれかもしれないし。
ネコだしなぁ……。
お読みいただき、ありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけましたら、
★や【ブックマーク】で応援していただけると、
今後の創作活動の励みになります。




