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ネコ・シッター石川結望の業務日誌:9話完結:毎日更新(昼12時)  作者: 秋月心文


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アズキを洗う

3日目。


「私が? アズキを? 洗っていいんですか?」

「そろそろ任せて大丈夫だと思うの」

 奥様に、そこまで信頼されたらやるしかない。

 だけど、多くのネコは水嫌いだ。大丈夫かな?


 お風呂場に連れて行った。

 でも、逃げる気配はない。

 案外、苦手じゃないのかな。


 アズキの体温とシャワーのお湯を交互に確かめる。

 熱すぎず、冷たすぎないように温度を調節する。

 ここのシャワーはガス湯沸かし器だ。

 途中で止めると、温度が変わることがあるから、流しっぱなしでいこう。


 ネコ用シャンプーは……

 これか。

 無言だと、アズキも心配だろう。

 声をかけながら、安心させていこう。


「冷たくないですかぁ~」

「ニャ~」

「シャンプーつけますよぉ~」

「ニャ~」

「かゆいとこありませんかぁ~」

「ニャ~」


 シャンプーを終えると用意されてたバスタオルで……

 んん?

 なんじゃ!?

 何、このタオル?

 めちゃめちゃふかふかなんだけど。


 確か、ゴシゴシせずに、

 押さえるようにして水分を吸わせるんだったな。

 うわ、軽く押さえるだけでグングン水を吸う。

 肌ざわりめちゃくちゃ気持ちいい~。

 いかん、いかん。

 今はアズキから水を吸い取らないと……。


 次はドライヤー。

 弱風、低温。

 近づけすぎないように、常に動かしながらやさしく乾かしていく。

 うわ。

 このドライヤーも、音静かだな。

 背中から脇腹、お腹、足へと、順番に乾かしていく。


「おぉ、キレイになったねぇ」

「ニャ~」

「さぁ、ネコ部屋行こうか」

「ニャ~」


 お風呂場を出ると、奥様と目が合った。

 心配して近くで待機してたみたい。

 もしかして、掛け声も聞かれてたのかな?

 ちょっと恥ずかしくなった。


「明日から、アズキのシャンプーお願いね」

 どうやら、シャンプー係としては合格らしい。


 ネコ部屋に着くと、アズキはスルリと私の手を離れ、おもちゃのはいったかごに向かっていった。

 1本のねこじゃらしをくわえると、私の前に持ってきた。


「これがいいのね」

「ニャ~」


 かなり長いネコじゃらしだな。

 さすがに、この高さは……

 ここまで飛ぶんか。

「おぉ、すごいすごい」

 アズキは得意げな顔で、こちらを見る。


「これに、反応できるかなぁ~?」

「おぉ~」

 ついてくるねぇ。


 ネコが飛んでるのを見るの、何かカッコいいよね。

 もっと鳥っぽい感じで動かしてみようか。

 地べただと、すぐ捕まるな。

 飛ばさないと無理か。


 1歳くらいって言ってたから、遊びたい盛りかな?


 さすがに私の方が先にバテた。

「ごめんよ。一旦休憩で」

 私は、ねこじゃらしをおもちゃの入ったかごに戻した。


 アズキはキャットタワーをトントントンと昇ると、そこから繋がるキャットウォークに飛び乗った。

 この部屋の天井には、キャットウォークがたくさん張り巡らされている。

 立体交差になっている場所もある。

 部屋の端から中央付近まで、縦横無尽に走っている。


 そこを全力疾走だ。

 だから、この部屋で横になっていると、時々、天井付近のキャットウォークからドスンと降りてくる。

 今日は、お腹のあたりに降りられて、グホッと声を出してしまった。


 そういえば、1日目みたいに何か落としたり倒したりしてこなくなったな。


 あれは、もしかしてわざとだった?。

 気を引こうとしてたとか?


 どうなんだろう。

 ただの気まぐれかもしれないし。


 ネコだしなぁ……。

 お読みいただき、ありがとうございます!


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