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転生したら美少女だったオレ  作者: ウルティ
第一章 なにもない場所

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第四話 生きる

 俺は渇ききった喉を潤すために、洞窟を進む前に仕掛けた雨を貯めるための木の実の殻へ向かう。

 まだ足にきちんと力が伝わりきらない。


「よかった。ちゃんと貯まってた」


 殻の中には綺麗な水が貯まっていた。

 この状況での得体の知れない水は飲めない。

 感染症のリスクもある。

 この殻に貯めた水はその対策だ。

 可能な限り安全な水を作ることが命を繋げることになる。

 俺は良く医療系の海外ドラマを観ていた。

 でもそんなのがこんな所で役に立つとは思ってもみなかった。


「人生ってわかんねーもんだな」


 そうして、貴重な水を一口飲む前に一瞬考える。

 いくら取りたての雨水と言えどノーリスクとはいかない。

 だが、飲まなきゃそれこそ終わりだ。

 俺は意を決してひとくち口に含んだ。


 ゴク、ゴク


 喉を鳴らし冷たい水が体に染み渡っていく。

 生きている感覚をこんなにも実感したことはない。

 気がついたら辺りは少し薄暗くなり始めていた。

 まだ向こうのほうでは雨が降っているようだった。

 なぜここだけ、局所的に雲が無く、雨が止んだのかは知る由もないが。


「今日は早めに休むか」


 俺はこの体の体力をなんとなく認識した。


「じゃあ、とりあえずベッド作りだな」


 まだかろうじて陽があるうちに寝床の確保を急いだ。

 比較的安全にするため、地面からは離れた場所を作りたい。

 俺はハンモック型の寝床を作ることにした。

 太めの枝を六本ほどと、細く柔らかめのツル、太く硬めのツルを用意した。


「完全に想像でしか作れねーけど、なんとかなるだろ」


 思うようにやってみた。

 石包丁を使い、ツルの長さを調整しながら、まずは足場を作っていく。

 結びが甘く、解けたりを繰り返しながらやっと一つ出来上がった。

 三脚にする事で安定感が増す。


「初めからできるとは思ってねーけど、やっぱなかなか大変だな」


 同じ要領でもう一つ作る。

 今度は一回で成功した。

 だんだんと握力が無くなってくる。


「指が細いからやりやすいけど、力が弱い...」


 次はハンモックになる部分だ。

 硬いツルを縁にして、中を柔らかいツルで格子状に編み込んでいく。

 感覚的には160センチちょっとの身長なので、170センチを目処に作っていく。


「これはなかなかめんどくさい作業だな」


 そう溢しながらも、俺は黙々と作っていく。


「よし!とりあえず完成だ!」


 俺は耐久性を確認するために手頃な岩を探した。


「お、あったあった」


 持ち上げようと手を添える。


「ふんっ!」


「え?」


 持ち上がらない...

 俺はもう一度力を入れた。


「ちょっと待て」


「この岩たぶん二十キロくらいしかないのに...」


 自分の腕力を疑いたくなるが、この細く綺麗な腕じゃ上がらないのも納得だ。


「はぁ...仕方ない。自分で試すか」


 俺は岩で試すのを諦めて自重で試すことに切り替える。

 洞窟の中に設置して、ハンモックに寝そべってみる。


「おぉー、いけそうだな」


 少しの達成感を味わう。


「よし、じゃあ後は網を作ろう」


 さすがにそのままハンモックだけで寝てしまうとなにかが来た時に無防備になってしまう。

 俺は洞窟の入り口と少し進んだポイントにツルで作った網を張ることにした。

 面積こそある程度あるが、目は粗くても問題ない為比較的簡単に作れた。

 それを枝と組み合わせて設置した。


「これでとりあえず仮眠は可能だな」


 すべて終わった頃には辺りは暗くなり森も静かになり、少し不気味さを醸し出していた。

 静けさが増したことで、小さな音が聞こえ始める。

 葉っぱが風で擦れてざわつく音。

 虫の鳴き声。

 俺は昼間に取った木の実を食べて、水をふた口飲む。

 すると...


「こ、これは...」


 少し安心したからなのか、この体になって初めての体験。

 尿意だ。


「ちょっと待ってくれ。拭くものなんてないぞ。こんな時ってどうすれば」


 かといってそのままにしてて、病気になっても嫌だし...


「あ、そうだ!」


 俺は水を貯めていた木の実の殻を一個持っていく。

 洞窟の外に出て、テキトーな場所でしゃがみ込み用をたす。


「あー、なんというか。これは複雑な気持ちだ...」


 そして、拭くものがないので、水で流した。


「なんとかなってよかったよマジで」


 俺はハンモックに横になった。


「まだまだ完全に安全とはいかねぇけど、とりあえずは、これで休めるかな」


 こうして、難を乗り越え俺は女の体になって初めての眠りについたのだった。


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