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転生したら美少女だったオレ  作者: ウルティ
第一章 なにもない場所

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第十八話 ヴァリス

「たっけぇ」

 その壁は石で作られ、上が見えないほどに高かった。

「アイリス、ついたニャ」

 俺は外に顔を覗かせる。

 そこには巨大な都市があった。

 石造の街並みが広がり、鉱石や木材を積んだ荷が行き交い、人と獣人が混じる活気が溢れていた。

 門番がいる門を抜けると、たくさんの音が聞こえてくる。

 客を呼び込む声、道行く人たちの会話、それに色んな獣人も人間もいる。

「すごい......こんなにいろんな人がいるんだ......あれ?耳が長い」

「ハハハ、なんだか子どもみたいだニャ。あれはエルフだニャ。ちなみにドワーフもいるニャ」

「......エルフも、ドワーフまでいるんだ」

「アイリスはほんとに変な人ニャ。そんなヒュームは会ったことがないニャ」

 普通の人間の事はヒュームって呼ぶのか。

「もう少しで屋敷に着くニャ」

 マオが指差す方には城とも言えるほど大きな屋敷が見えている。

 待て待て待て、あれがローゼリアの家なのか?!

 どんだけお嬢様だよ。

 ってか、お姫様かなんかなのか?

「え、あれがローゼリアの家なの?」

「なんだ、知らないのかニャ?ヴァルンハート家のお嬢様だニャ。王家の次って言われる家だニャ」

「......そう、なんだ」

 な、なんだと?!

 

 ちょ、ちょっと待て。

 じゃあそもそもなんでローゼリアは川から流れて来たんだ?

 貴族。

 行方不明。

 お嬢様。

 騎士。

 なんか急にきな臭くないか。

「ローゼリアはなんであんなとこいたの?」

「...私もよく知らないニャ。行方不明だったお嬢様が見つかったとだけ聞いて呼ばれたニャ」

「へ、へぇ、そうなんだね」

 と、とにかく、今はローゼリアを家に送り届けることに集中しよう。

 **

「ローゼリア様が戻られたぞ!!」

 外から大きな声が聞こえる。

 目の前には先ほど見た大きな屋敷。

 門番の兵が慌ただしく動いているのが見えた。

 そして、門を超え、獣車が止まる。

 大きな扉の前には四人とその後ろに何人かの従者の様な人たちが立っていた。

「ローゼリア!!」

 赤い髪の毛の美しい女性が獣車から支えられて降りてくるローゼリアに駆け寄る。

「お母様!」

 ローゼリアの母親。

 すごく良く似ている。

 二人とも涙を流しながら抱き合っている。

 ローゼリア...本当によかった。

 強気なローゼリアの目から溢れる涙が、年相応の少女にさせる。

 少し遅れて、黒に近い深緑の短髪のいかにもという厳格そうな見た目の男がローゼリアに近づいてくる。

「ローゼリア。怪我は大丈夫か?」

 心配そうにはしているが、厳格さを失わない。

「お父様、ご心配をおかけし申し訳ありません」

「そんなことはよい。お前が無事ならそれでよいのだ」

 遅れて、栗色がかった明るい髪の綺麗な女性と男の子が近寄ってくる。

「ローゼリア様、ご心配しておりましたわ。でもどうやってここまで?」

「ベアトリスさん、この方に助けて貰ったの」

 ローゼリアは俺の方に視線を向けてくる。

「申し遅れました。アイリスと申します」

 俺は軽く頭を下げた。

 この世界の格式はわからないが、ここは下からいっておこう。

「そうなのですね」

 ベアトリスは俺に穏やかに微笑みかけてきた。

「貴殿がローゼリアを助けてくれたのか。父として感謝する」

「わたくしからも感謝を申し上げます。我が子ローゼリアをありがとうございました」

 ローゼリアが愛されてることは、この会話だけでも充分に伝わってくる。

「とんでもないです。私は当然のことをしただけです」

 俺はしっかりとローゼリアの父親の目を見て答えた。

「ほう、面白い目をしておる。私はレオニード・ヴァルンハートだ」

「わたくしはエレノア・ヴァルンハートと申します」

「改めまして、アイリスと申します」

 もう一度頭を下げる。

「旦那様、ローゼリア様もまだ怪我がありますので、中に入られてはいかがでしょうか」

 従者の内の執事のような人がレオニードにそういうと、レオニードもそうだと言うように中に入ることになった。

 中は豪華絢爛の作りだった。

 美術館みたいだな。

 大きなテーブルのある部屋に通され、各々席に着く。

 ローゼリアは自室でまだ休みに行った。

「改めて、私はレオニード・ヴァルンハート。この領を預かる者だ。恩人であることは疑わないが、身元が不明な以上、こちらも最低限の警戒はさせて貰う。悪く思わないでくれ」

「わたくしは妻のエレノア・ヴァルンハートです」

「私は第二婦人のベアトリス・ヴァルンハートよ」

「...僕は...ルシアン・ヴァルンハート...です」

「申し訳ありません。私は直近の記憶を失っており、お答え出来ないこともあります。警戒は当然だと思います」

「そうか、助かる。私たちは今は情報が必要なのだ。経緯を聞きたい」

 レオニードが少し強い視線を向けてくる。

 だが、この程度の視線で怯むほど、前の世界で甘やかされてはいない。

「わかりました。順を追って話すと、初めにローゼリアを見たのは町の東側にある川の上流でした。そこでローゼリアが溺れながら流れて来たので、私が助けました。その後は一旦上流へ向かい、町を見つけ、二人で向かいました。向かっている途中で魔獣に襲われたのですが、なんとか振り切って、ローゼリア様の助けも借りながらなんとか街へ着きました。そこから先はおそらく、騎士の方から報告を受けていると思います」

「ふむ、なるほど。魔法も持たぬ少女二人があの森を生き抜いたのには、感服するが、無謀とも言える。ここまで辿り着いたのは、奇跡に近いな」

「今同じことをしろと言われてもできると思えません」

「そうか、君がどんな人生を歩んできたのかわからないが、年相応には見えない落ち着きだな。娘と変わらない年頃だろ」

「私はローゼリア様に会う前には数日ですが、一人であの森を生きていました。冷静さを無くせば死に直結する状況だったので」

「なるほどな。君はこれからどうするのだ?行く当てはあるのか?」

「いえ、行く当てはないですが、少し街を見てみようかと思います。学院にも興味がありますし」

「学院か、学院の今期の募集は一ヶ月後だ。見に行ってみるといい。一ヶ月の生活費くらいは工面しよう。ローゼリアを救ってくれたのだ、それくらいの礼はさせてくれ」

「ありがたく頂戴いたします。感謝いたします」

 お金の入った革袋を執事の人が渡してくる。

「よし、今日は客間で泊まって行きなさい。部屋に風呂もついてる。洋服もいくつか見繕わせよう」

「助かります。ありがたく頂戴いたします」

「セバス、部屋まで案内を」

「かしこまりました。では、お手を失礼」

 執事は一礼し、俺に手を差し伸べてくる。

 レディとして扱われているのがむず痒かったが、手を取り、客間へ向かった。



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