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記憶  作者: ミカクニン
第二章 −泡沫の思い出−
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第29話 −悪夢−

お久しぶりです。すみません

「...!」


真っ暗な視界の中、どこからか何かが聞こえてくる。声のようにも聞こえるそれは、何度も頭の中で木霊する。


「───!」


再び聞こえてくるそれは、何かに囚われているかのような、重苦しい意識が浮上するとともに、少しだけ鮮明になる。


(...?)


目を開けると、朧気おぼろげではっきりは分からないが、そこには先程まで自分が居た部屋の景色はなく、どこか知らない場所にいた。ふと、目の前に意識を向けると誰かが居るように見える。


(何か、言ってる...?)


時間が経つにつれてはっきりした視界には、こちらに向かって何かを言っている様子が見えた。

そのまま食い入るように目の前の人物を見ていると、今までにないほど大きな声で


「やめろぉぉぉ!!」


と叫んだ。


「──!!?」


直接脳に響くようなその悲痛な叫びに思わず目を覚ます。あたりを見回すと、はっきりとした視界の中にレイから案内された部屋が映る。


「さっきのは...夢...?」


まるで実際にその光景を"見たことがある"かのような、夢とは思えないものだった。


「今何時だろ...」


部屋に置かれているおしゃれな時計を見てみると、長い針が"2"を指していた。


「まだ2時か...どうしよう」


寝たい。という気持ちはあるが、夢のこともあってか寝れる気がしない。


「そうだ、外に行こう。」


こういうときは外に出て自然と触れ合うことで気持ちが落ち着く。はずだ。


「よし、早速行こう!」


ベッド脇にある自分の靴を履き、ランタンの中にある蝋燭ろうそくに火をつけ、それを持ち部屋から出る。


「わぁ、真っ暗...」


昼時とは違い、訓練兵たちが行き交う長い廊下は静寂に包まれ、明かりは窓から差し込まれる月の光とリオの持っているランタンの灯りだけだった。


「確かこっちから外に出れるはず...」


レイに案内してもらったときの記憶を頼りに、木製の廊下を静かに歩いていく。


「こんな夜遅くに何してるの?」


突然背後から声をかけられ、思わずビクッと肩が跳ねる。


「なんだ〜、リュコか」


「なんだとはなんだ」


振り返ると、そこには腕を組んで先程の発言からか少し不服そうな顔をしたリュコがいた。


「ちょっと眠れなくて。リュコは何してるの?」


「私は物音がしたから様子を見に来ただけ。侵入者とかじゃなくて安心したよ」


「...もしかして僕のせい?」


できるだけ物音は立てないようにはしていたつもりだったんだけど...


「あー違う違う!私が物音とかに敏感なだけだからさ、リオのせいじゃないよ!」


「本当に?それなら良いんだけど...」


「そんなことよりもさ、ここで立ち話してるのもなんだし、中庭に行こ!」


なんだか少し慌てた様子でこちらの腕を掴み、中庭のある方へと引っ張っていく。


「ほら、ここが中庭。いいとこでしょ?」


そこには、戦闘訓練場という名に似つかわしくないような空間が広がっていた。


「無理やり連れてきてごめんね。こっちのほうが話しやすいかなって思ってさ、ほらこっちに座って」


リュコは中庭に設置されている木製の長椅子に座り、その隣へ来るよう手招きをする。


「模擬戦のときのリオ、凄かったよ!」


「そうかな、」


「そうそう!あいつと戦ってるとこ、すごくかっこよかった!」


「ありがとう...」


とても素直に褒められ、少し照れくさくなる。


「そういえば、医務室に運んだ人って大丈夫?」


「凄く痛そうにしてたけど、しばらくしたら治ったみたいで訓練に戻ってたよ」


「そっか、良かったぁ...」


急所で狙ったとはいえ怪我をさせるつもりもなかったので、痛みだけですんで良かったと一安心する。


「あ、そうだ。実はこの前アキラが...」


「あはは!以外!」


「でしょ!他にも〜...」


他愛もない日常話をしていると、だんだんと眠気がやってくる。必死に抗おうとするが、その努力も虚しく寝落ちてしまった。

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