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記憶  作者: ミカクニン
第二章 −泡沫の思い出−
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第28話 −予想外−

おひさしぶりです。

「おいおい、あんな武器であいつに勝とうってのか...?」


「それはさすがに無理だろ...だって、"ナイフ"だぜ?」


周りの観衆、もとい訓練兵たちはリオの武器を見ると、呆れたようにぶつぶつと会話をする。


「てめぇ...ナメてんのか?」


対戦相手も同様に、武器を見て怒りをあらわにし、震えた声でそう言う。


「僕はちゃんと選んだよ。ナイフもれっきとした武器だ!僕はこれであんたに勝つ!」


ナイフの切っ先を相手に向け、大きな声でそう宣言する。


「あ゙?頭わいてんのかてめぇ。そんなんで俺に勝てるわけねぇだろうが」


相手はそう言うと、こちらに剣の切っ先を向ける。


「ぶっ殺してやる」


相手は先程よりも殺気を放ち、獲物を狩るかのような目でリオを睨みつける。


「リオ、本当にそれでいいの?」


リュコはとても心配そうにしている。レイは傍らで腕を組みこちらを見ている。


「大丈夫だよ。僕を信じて」


「そっか...わかった。最後の試合は少し変わって、どちらかが武器から手を離したら試合終了。両者とも準備ができてるみたいだから、最後の試合を始める。」


リュコの一言でその場の空気が一変する。二人の間に冷たい空気が流れる。


「第三回戦、開始!」


開始の合図が聞こえた瞬間、相手は今までにないスピードで向かってくる。


「死ねぇ!!」


相手はそう言うと、リオに向かって剣を縦に大きく振りかぶる。


「リオ!避けて!」


リュコがそう呼びかけてもリオが動く気配はない。


「心配しなくても大丈夫だと思うぞ」


「え?」


リオは相手からの攻撃を華麗に避け、"男"の弱点に思い切り蹴りを食らわせる。


「ぅ゙お、あ゙......」


対戦相手はあまりの衝撃に武器を落とし、地面に倒れうずくまってしまう。


「うわぁ...あれってそんなに痛いの?」


「計り知れないほどにね...」


レイは苦笑いをしながらそう言う。


「と、とりあえず武器を落としたので、第三回戦はリオの勝ち!」


「やった!勝った!!」


リオはとても喜んでいたが、観衆は皆引いていた。


「っていうかリオ、一回もナイフ使わなかったな...」


「たしかに...あ、そういえばレイ」


「ん?」


「三回戦が始まる前に面白いものが見れそうって言ってたけど、こうなることわかってたの?」


「いや、まぁ、リオが勝つとは思ってたけどまさかあんな感じで勝つとは思ってなくて...」


レイも若干引いてる、気がする...それほどのことなのだろうな。あの行為は。


「とりあえず、あいつ医務室に連れてくわ」


リュコはそう言うと、うずくまっている訓練兵の元へと駆け寄り、軽々と担ぎ上げると医務室のある方へと走り去っていった。


「レイ!どうだった?」


初めての模擬戦で、輝かしい結果を残してきたリオは、とてもわくわくした表情でこちらに駆け寄ってくる。


(この表情は...なるほど)


「すごく良かったよ。でも次からは武器もちゃんと使ったほうがいいと思うな」


そう言いながらリオの頭を優しく撫でると、とても驚いたような、悲しそうな顔でこちらを見ると、


「おと、う、さん?」


と今にも泣き出しそうな声でそう呟く。


「え?」


「あ、え?」


突然のことで素っ頓狂な声を出してしまう。リオは、なにが起きたのか理解できていないようだった。


「なに、今の...誰?」


右手で頭を抑え、まるでなにかに怯えるようにぶつぶつとそう呟く。


「リオ、大丈夫か?」


「う、ん...大丈夫。ごめん、急に変なこと言って」


恐怖を押し殺し、相手を心配させまいと無理やり笑顔を作り、謝ってくるその姿は、見ていると胸を締め付けられるような感覚がする。


「リオ、とりあえず今日はもう休もうか」


「え、どうして?僕元気だよ?」


リオはそう言うと、大げさに手を回したりその場でジャンプをしてみせる。


「どうしてもだ。今から部屋に案内するからついてきて」


リオは少し不満げな顔をしていたが、気づかないふりをして歩き出す。今は一人にしてやったほうがいいと直感的にそう思ったのだ。


「もしかして、寮に行くの?」


戦闘訓練場内にある木製の廊下を二人で歩きながら、リオは期待混じりの声でそう聞いてくる。


「いや、今は空きがないからリオには別の部屋を使ってもらう」


「そっか〜...新しい友達できると思ったのになぁ」


新しい友達...か


「......ここだ」


とある部屋の扉の前で歩みを止め、場所を示す。


「わぁ、すごい!」


部屋の扉を開けると、そこには広々とした空間に大きめのベッドが一つ、壁には大小様々な絵が飾られている。天井には豪華な照明器具が設置されており、来訪者達を快く迎え入れている。


「ここほんとに使っていいの!?」


目をきらきらと輝かせ、子供のようにはしゃぎながら部屋の中を見ていく。


「あぁ、許可はもらっているから。自由に使っていいよ」


「やったー!!ありがとう、レイ!」


とても無邪気な笑顔でお礼を言うその姿はまるで、先程の恐怖に怯えているものがなかったかのような、そんなものを感じさせる。


「ご飯はここに持ってくる。風呂はまた案内するから、思う存分ゆっくりしてて。それじゃあね」


「わかった!ばいば〜い!」

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