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記憶  作者: ミカクニン
第二章 −泡沫の思い出−
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第27話 −模擬戦(2)−

いきてまーす

「第一回戦、開始!」


リュコがそう大きな声で合図を出すと、対戦相手である訓練兵がこちらに向かって走ってくる。


「リオー!頑張って!」


対戦中にもかかわらず、リュコの声がする方へと一瞬目を向けてしまう。


「うわっ!?」


目線を戻すと相手の攻撃が目の前に来る。リオはそれを間一髪で避け、絶え間なく続く攻撃の嵐をギリギリで避け続ける。反撃をすることができずただ避け続けていると、攻撃の一つが臍部さいぶへと直撃する。その瞬間、周りにいる沢山の観衆がよどめく。


「がはっ!げほっげほ、うぅ゙...」


あまりの衝撃に血を吐き、その場にうずくまる。


「ちょっと!さすがにやりすぎ──」


リオの元へ駆け寄ろうとするリュコをレイが腕でさえぎる。


「レイ、なんで...」


「大丈夫だ。リオを信じよう。」


レイは、相変わらず仮面で表情は分からないが、とても真剣な声色でそう言う。


「てめーみたいなガキは俺の相手にすらなれねぇんだよ。雑魚が。」


訓練兵はそう言うときびすを返し、開始時に居た位置へと歩いていく。


「第一回戦、終了!両者準備ができ次第、第二回戦を開始する!」


リュコはまたも大声でそう宣言する。


「げほっげほ...痛っ......」


痛みに耐え、なんとか立ち上がる。


「おいおい、あんな"子供相手"にあいつやりすぎじゃないか?」


「俺たちでもあいつに勝てないのに、あの"子供"に勝てるのか?」


「こんな無謀なことをさせるなんて、リュコも何を考えてるんだ...」


周囲から聞こえてくるのは、憐れみや心配の声ばかり。悔しさと同時に悲しみも込み上げてくる。


どうしたらいいのだろうか。このまま大人しく負けるしかないのか...?


「いいか?ただ避けたり闇雲に攻撃するだけじゃだめだ。」


誰だ...?急に、声が......


突然、頭の中に誰かの声が響く。


「相手の動きをよく見るんだ。」


聞いたことのある声。


「隙を突いて攻撃をするんだ。確実に仕留めたければ急所に当てろ。」


前に聞いた女性の声とは違う...低く、落ち着きのある男性の声だ。


「──、お前ならできる。」


とても優しく、とても懐かしい。


リオはふぅ、と息をつくと、相手を真っ直ぐに見つめる。


「両者、準備ができたみたいだな。それでは、これから第二回戦を開始する!」


相手は先程と変わらずこちらを睨みつける。


「第二回戦、開始!」


開始の合図とともに相手は再びこちらに向かって突っ走ってくる。


「思い出せ。」


そう男性の声が聞こえた瞬間、無意識に構えの姿勢を取っていた。


「今更何かをしようとしたって無駄だ!」


相手はそう言うと、拳を大きく振りかざし、こちらに向かって一直線に殴ってくる。


さっきは全然わからなかったけど、よく見ると隙だらけだな、この人...


「なっ...!?」


相手の攻撃を避け、がら空きになっていたみぞおちに本気の一撃を食らわせる。


「がはっ...!」


攻撃を食らった相手は、その場でがくんと膝を地面に付き荒々しく呼吸をする。


「あれ、勝っ、た...?」


「すごいよリオ!勝った!!」


リュコは興奮気味にそう叫ぶと、今まで静かだった観衆は、歓声を上げ沸き立つ。


「あ、あの、えっと、大丈夫ですか...?」


いくら試合だからとはいえ相手を傷つけてしまったことに違いはない。そういう罪悪感からか、対戦相手に手を差し伸べ声をかける。


「......けるな。」


「え?」


「ふざけるなよ...今のはまぐれだ!」


「うわっ!?」


相手は突然勢いよく立ち上がり、リオの胸ぐらをつかみあげる。身長に差があるためか、足が地面から浮いてしまう。


「たった一度この俺に勝っただけで調子に乗るんじゃねーぞ!」


相手は怒りで顔を歪めながらそう怒鳴りつける。


「次の試合では絶対に負けねぇ。ぶっ潰してやる。」


そう言うと相手はリオの胸ぐらから手を離す。その時、うまく着地できずにリオは尻餅をついてしまう。


「うぅ、苦しかった...」


「おい、リュコ。次の試合は武器ありにしろ。」


相手がそう言った瞬間、周りの観衆がざわざわとしだす。


「はぁ!?なんでそんな急に...」


「俺は良いと思うけどな。」


「レイまでそんなこと言うの!?」


「なんとなく、面白いものが見れそうな気がするんだ。」


「はぁ、わかったよ...じゃあ二人共、好きな武器選んできて。」


リュコは、少々不満げな様子だったが諦めたかのようにそう言った。


ここは、近接格闘術に使用される様々な武器が置いてあり、誰でも使用できるようになっている。リオは武器置き場へと行き、どの武器を使おうか思案していた。


「急に武器を選べって言われてもなー、どれにしよう...」


そんなことを長々と考えていると、対戦相手である訓練兵は一本の剣を手に取り、早々に立ち去ってしまった。


「相手は剣、か。それに勝てるのは...いや、これにしよ。」


リオは選んだ武器を手に取り、元いた場所へと戻る。

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