第22話 −自己紹介−
失踪予備軍
「おじさん、まだかなぁ...」
リオは、訓練場のとある一室で椅子に座り、天井を見上げながらそう呟いた。
(ここで待ってろって言ってかれこれ20分近く経ってる...暇だな。)
そんなことを考えていると、不意に目の前をとても美しい蝶のようなものが現れる。
(蝶々だ。綺麗だな......ん?蝶?)
あまりの美しさに見惚れてしまったが、ハッと我にかえり、周囲を見回すが、先程の蝶はどこにもいなかった。
(気の所為、なのか...?)
そう自分を納得させようとしたが、どうしても気になる。
(一応、探してみるか...)
リオは椅子から立ち上がると、部屋中をくまなく探した。だが、いくら探しても先程の蝶は見当たらない。
「やっぱり、気の所為だったのか...?」
蝶について思案していると、後方から扉の開く音がした。その音につられて振り返ると、そこにはおじさんと、先程の大男、そして青髪の男と獣の耳と尻尾を生やした女性が居た。
「すまねぇ嬢ちゃん、待たせちまったな。」
「全然大丈夫だよ。とりあえず座って話そう。」
「そうだな。3人共、ここに座ってくれ。」
ヨウは目の前にある椅子に座るよう促し、机を挟んで反対側への椅子へ座る。リオはヨウの隣の椅子に座る。
「そうだな、まずはお互いの自己紹介をしようか。まずは、アキラから。」
「わかった。」
大男はそう言うと、腕を組んだままこちらを見やり、
「アキラだ。この訓練場の教官を務めている。」
と、単調な口調で言う。
「じゃあ次は──」
「はいはい!!次は私が良い!」
女性は一際明るい声でそう言う。
「じゃあ好きなように自己紹介してくれ。」
「わかった!!私の名前はリュコ!見ての通り、私は獣人族だよ!」
「獣人族...?」
「獣人族っていうのはね、神使と言われていた動物と人間が混ざり合って生まれた種族だって言われてるの!」
「へぇ、すごい...」
「そうでしょ?ちなみに私は狼と人間の混血だよ。」
"混血" 白は同じことを言われていたな...
「それじゃ、最後は...」
「俺だな。」
青髪の男は、待ってましたと言わんばかりにそう言う。
「俺の名前はレイ。これからよろしく。」
青髪男、もといレイはそう自己紹介をする。だが、先二人と比べて情報量が圧倒的に少なかった。
「よろしく。」
「よし、最後は嬢ちゃんだな。」
三人の視線が一気にこちらへと集まる。
「僕の名前はリオ......これ以外のことは何も覚えてない。」
「覚えていない...?それはどういうことだ?」
アキラが、険しい顔をさらに険しくして聞いてくる。
「僕もよくわからない...多分記憶喪失なんだと思う。だから今は記憶を取り戻すための旅をしているの。」
「え?でも、ヨウは新しい訓練兵だって......」
リュコは頭の上に「?」を浮かべている。
「あぁ、それは嘘だ。」
ヨウは、まるでなんでもないかのようにそう言う。
「えぇ、嘘だったの!?新しい友達ができると思ったのに...」
「自分の生まれ故郷も覚えていないのか?」
アキラは腕を組んだままそう質問してくる。
「本当に何も覚えていないよ。ただ、少し不思議だったことがあって...」
「不思議だったこと?」
「実は、目が覚めたら少し遠くにある森の中にある古い建物に居たってことがあって...そこで自分が記憶喪失だってことに気がついたりして...」
「古い建物...?」
リュコは首をかしげながら言う。
「もしかして、"封印の神殿"のことじゃないか?」
レイも首を少しかしげてそう言う。
「なにそれ?」
「封印の神殿は、過去におきた大戦争で、世界に大きな厄災をもたらした魔物が封印されていると言われているところだ。」
「へぇ、そんなものがあるんだ...」
「封印の神殿は世界各地に存在している。そのうちのひとつがあの森の神殿だったんだろう。」
「やけに詳しいね、レイ。」
「...歴史書にそう書いてあったからな。」
「うわ、レイそんなもの見てるの!?歴史書なんて難しい本読むくらいなら鍛錬したほうがずっと良いよ!!」
「そうかそうか、それなら次からはもっと厳しく鍛えてやろう。」
アキラはいたずらっぽくリュコにそう言う。
「ちょ、ちょっと!それとこれとは話が別でしょ!!」
「まぁまぁ、落ち着いて...」
頬を膨らませ、尻尾を振るリュコをレイは冷静に落ち着かせる。
「よし、自己紹介も終わったところだし、本題に入るぞ。」
今までずっと黙って話を聞いていたヨウおじさんは、皆の会話の終わり頃にそう言う。
「そんな急に改まってどうしちゃったんだよ。」
リュコは少し心配そうに聞く。
「これからする話はかなり大事なことだからだ。」
いつもとは雰囲気が違うヨウの姿に、その場に居る全員が静かになる。
「アキラ。」
「なんだ。」
「リュコとレイをリオの旅に同行させたいんだ。」
〜キャラ紹介〜
名)アキラ 身長)約213cm 体重)約97kg
年齢)40代くらい
好きなこと)体を鍛えること
苦手なこと)子供と接すること
(姿を見ただけで子供に大泣きされる。)
その他)作品中でもあった通り、アキラとヨウは親友で、子供の頃から仲が良かったそうです。よく2人でやんちゃをしていたり、遊んでいたりしてました。訓練兵になってからもよく楽しそうにお話している姿が目撃されています。ちなみに、立場的にはヨウのほうが偉いです。




