表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶  作者: ミカクニン
第一章 −喪失−
17/34

第17話 −二人のいない街−

頑張りました。

「───そうか、そんなことが...」


リオとヨウは、教会から少し離れた場所にある人気のないところに来ていた。リオはそこで、教会で何があったのか、自分の知っている限りのことを全てヨウに説明した。


「ところで、おじさんはなんでこの街にいたの?」


「あぁ、そうそう。それについて言い忘れてたことがあってだな...」


ヨウは頭をきながら少し申し訳無さそうに言う。


「実は俺たちもこの街に来る予定だったんだ。前の町の処理が終わったら、この街の調査をしろと言われてて...」


「調査って、どんなことするの?」


「まぁ、具体的に言えば治安ちあんのことだとか、兵士たちの護衛ごえいの様子だとかだな。そんなこんなで、ここに来てみたらあの有様ありさまだったってわけだ。」


「そうだったんだ...」


リオがそう言うと、ヨウはとても気まずそうな顔をする。


「おじさん、どうしたの?」


「あぁ、えーっとだな、その...」


ヨウは、何かとても言いにくそうな顔をしながら


「...すまなかった。」


と、謝罪の言葉を少しの間を開けて放った。その言葉に、リオはキョトンとする。


「俺が、嬢ちゃんたちにこの街に行くことを勧めたから、こんなことになっちまったんだ...」


ヨウは、今回起きたこの騒動そうどうのことを自分のせいだと、ひどく自分を責めていた。


「本当に、すまなかった...」


「...ちがうよ。」


酷く責められると思っていたが、それとは真逆の返答に、ヨウは驚きを隠せなかった。


「こんなことが起きるなんて、誰も分からなかった。誰のせいでもないんだから、謝らないで。」


「っはは、そんなこと言われるだなんてな。正直、責められると思ってたよ。」


ヨウは、思わず本音をこぼす。


「そんなことはしないよ。だって、分からなかったでしょ?こんなことになるなんて。」


「そりゃあな。」


「責めたって仕方ないじゃん。」


「そうかもな。ほんと、すごいな。嬢ちゃんは。俺の考えてたことの裏をかいてくる。」


「そう?」


「あぁ、初めて会ったときもそうだったな。」


「あれはおじさんの勘違いでしょ。僕は何もしてないよ。」


確かに、と言いながらヨウは笑う。張り詰めた空気が和んでいく。


「そうだ、嬢ちゃん。これからどーすんだ?」


「え?えーっと...」


突然の質問に口ごもってしまう。だが、これからどうすれば良いかは、はっきりしていた。


「...二人を、助けに行く。」


「そうか...なぁ、嬢ちゃん。二人を助けに行く前に、少し遠いんだが来てほしいところがあるんだ。」


「来てほしいところ?」


「あぁ。今すぐ二人を助けに行くってなっても嬢ちゃん一人じゃ、すぐ死んじまうだろうからな。そもそも、どこに連れ去られたかもわからないんだろ?」


「うん...」


「よし、じゃあ決まりだな。ここでウジウジ考えてるよりも、なにか行動してみた方が良いだろ?」


おじさんの言葉を聞いて、ホッとしたような気持ちになった。


「そう..だね。ありがとう、おじさん。僕一人じゃどうしようもなかったよ。」


「良いってことよ!さぁ、行こう!と言いたいところなんだが...」


「どうかしたの?」


「今この街を出ると、途中で夜になって危険なんだ。だから今日はこの街で泊まることにしようと思う。」


今まで全く気にしていなかったが、空を見上げるると、もう日が暮れ始めていた。


「あ、宿のことは心配するな。この街には何度か来たことがあってだな、場所はわかってる。それと、金は俺が出すから。」


「いいの?」


「あぁ。だって嬢ちゃん、金持ってねーだろ?」


「そうだね...」


「ん、どうした?浮かない顔して。」


「あ、いや、その...いつも誰かに助けてもらってばかりだから...」


「何だ、そんなことか。」


おじさんはそう言うと、一笑いっしょうする。自分にとっては笑い事ではないのだが。


「子供のうちはいろんなヤツに頼っとけ。」


「この年で子供扱いされるのはちょっと...」


「なんだ?嫌だったか?」


「そりゃあね。」


そう言うとおじさんはまた笑う。それに対して顔をしかめると、


「いやー、すまんすまん。つい面白くてだな。」


それに気が付いたのか、思ってもいないであろうことを言う。


「行こう。もう日が落ちちゃうよ。」


「っはは、そうだな。」


二人はそう言うとその場をあとにし、宿へと向かう。


「ところで、おじさんが言ってた来てほしいところってどこなの?」


「ん?あぁ、それはだな...“グラジオラス王国”だ。」


「グラジオラス、王国...変わった名前だね。」


「そうか?まぁ、かなりでかいとこだぞ。人も沢山いるし、この街とは比べ物にならないくらい広い。」


「そりゃ王国って言ってるからね。」


「そこに行って情報を集めれば、これからどうすれば良いか少しはわかるかもな。」


しばらく歩いていると、とある建物の前に着く。


「ここが、俺たちがこの街に来たときにいつも泊まってる宿だ。嬢ちゃんはここで一晩過ごしてくれ。」


「おじさんは?」


「俺はこの街の警備を他の兵士たちと一緒にやらなきゃだからな。」


「そっか...」


「心配すんなって。俺はまだ死ぬ気はねぇよ。」


ヨウは、頭を荒々しくでる。


「ほら、これ持って行け。」


おじさんは、小さな皮の袋から丸い金属のようなものを取り出し、こちらに手渡てわたす。


「日が完全にのぼりきったら迎えに行く。」


「わかった。おじさん、気を付けてね。」


「言われなくてもわかってるよ。それじゃあな。」


おじさんはそう言うと、走り去って行った。


リオは、宿の中に入ると受付うけつけでお金を払う。すると、受付人に部屋の番号が書かれたふだと一緒に服を渡される。


「寝る際は、この"寝間着ねまき"をご使用ください。この宿を出ていかれる際は、寝間着は番号札ばんごうふだと一緒に受付へとお持ちください。」


そう説明を受け、寝間着と番号札を受け取り、部屋へと向かう。

書くことがありませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ