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記憶  作者: ミカクニン
第一章 −喪失−
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第16話 −弱い自分−

生きてます

リオは、開いたままになっている扉から教会の中へと入る。教会の中は、大きなステンドグラスから差し込まれる陽光によって仄暗(ほのぐら)く照らされている。中へと歩を進めると、床からパキパキと音がする。ふと自分の足元に目をやると、寸刻前の大きな、何かが割れる音の正体であろうガラスの破片が、あちらこちらに散らばっている。


(なんだこれ、ガラスじゃなくて、鏡...?)


よく見ると、粉々になっている破片に自分が反射している。


「おや、先程の。」


突然、誰かの声が聞こえた。声が聞こえた方を見ると、こちらを見つめながらたたずんでいるものがいた。もはや人ともわからない者は、ステンドグラスからの光を背に、こちらを見つめ続ける。


「...。」


それに対して、扉から漏れる光を背に、小さい人の子は無言を返す。


「まだ生きていたんですね。外に悪魔を数体送ったはずなのに...」


眼の前の男は腕を組み、興味深そうな目でこちらを見る。


(...何かがおかしい。)


少し前から、もしれぬ違和感いわかんがリオの感性を

くすぐる。辺りを見回すと、その違和感の正体はすぐに出てきた。


白とダネスが、どこにもいない...。


どこかに隠れているのだろうか...?いや、二人はそんなことはしないはず。そもそもこの教会に隠れられる場所はほとんどない。じゃあ一体どこに?


「...もしかして、あの二人を探しているのですか?」


静かにこちらの様子を見ていた神父が、そう言う。


「そうなのであれば、もうここには居ませんよ。」


もうここには居ない...?


「お二人は今、魔界に居ますよ。」


魔界に?この教会からどうやって...


「よぉ...さっきは良くもやってくれたな...?」


不意に後ろから声が聞こえる。咄嗟とっさに振り向くと、先程の悪魔たちがいた。


「結構痛かったんだからな...?」


悪魔は、怒り混じりの笑みを浮かべる。リオは、ナイフを取り出そうとするが、どこにもない。


「お前には死んでもらわないと、俺の気がすまねぇんだよ...」


そう言いながら、こちらへにじり寄ってくる。リオは、それに対して少しずつ後退りをする。


(前に悪魔、後ろにも悪魔...この状況、どうしたらいいんだ...)


そんなことを考えていると、後ろから銃声が聞こえる。悪魔は、撃たれた衝撃しょうげきで後ろへ倒れる。


「子供相手にそんなムキになって...本当、最近の悪魔は情けない。」


撃たれた悪魔の後ろにいた他の悪魔たちは、恐怖で顔が青ざめていた。


「私はその辺の悪魔たちと違って、武器を持っていない“子供”をいじめる気はないのでね。」


その言葉を聞いた悪魔たちは、ピクリと少しだけ反応する。


「それに、目的も達成できたことですし、ここに居る意味はもうないので、帰らせていただきますね。お前たちも、さっさと帰るぞ。」


神父はそう言うと、鏡を後ろに出現させ、中へと消えていった。他の悪魔たちは、教会の外にある鏡中へと帰って行く。リオはだれも居なくなった教会の中で、一人ぽつんと、下を向いて立ちすくんでいた。


何もできなかった...


何もできず、逃げてばかりの自分に悔しさが立ち込める。それと同時に、これからどうすればいいのか、路頭に迷っていた。


「おい!こっちだ!」


そんなことを考えていると、教会の外から誰かの声がする。顔を上げると、人影が見えた。


「中に誰かいるぞ!」


その人影は、大きな声で誰かに呼びかけている。すると、複数の人影が現れる。


「悪魔か?」


「油断するなよ。」


影たちは、言葉を掛け合いながら教会の中へと入ってくる。


「...子供か?」


中へ入り、こちらの存在を確認すると、そう言う。


(兵士の人たち...?)


中へと入ってきたことで、影の正体が何なのかを確認することができた。


「隊長!こっちです!」


教会の外からは、さらに複数の声が聞こえてくる。一人の兵士が、こちらに向かって歩いてくる。


「...嬢ちゃん?」


目の前に来たのは、見たことのある人物だった。


「そうだよな...なぁ、嬢ちゃん。」


「おじさん...」


「やっぱり!大丈夫だったか?あの二人は?」


ヨウは、口早くちばやに質問をしていく。


「二人は...連れてかれちゃったよ...」


悔しさからか声が震え、しっかりと喋ることができない。


「そうか...」


ヨウは、そう言うとリオを抱きしめる。


「嬢ちゃん、良く無事だったな。」


リオは、突然の抱擁ほうように驚きを隠せずにいた。


「二人は、“生きている”。そう考えるんだ。」


ヨウの優しい声に、リオの張り詰めた感情がほだされていくのを感じた。


「よし、とりあえず安全な場所まで行くか。」


ヨウは腕を離すと、立ち上がり、後ろにいた兵士たちに指示を出していく。


「これで大丈夫だろ。よし、じゃあ行こうか。」


おじさんはこちらに顔を向ける。


「...うん。」


ヨウの問いかけに、リオは返事をする。

キャラ紹介


名前:ヨウ 身長:175前後 年齢:40代くらい

好きなもの:酒 嫌いなもの:虫


ここだけの話...

実はヨウおじさんは最初モブで出そうと思ってたけどなんか結構登場してくるから紹介することにした。


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