第13話 −鏡の神父−
特にないですね。
「───なにか、御用ですか?先程の方々。」
「あんたに、聞きたいことがあって来た..神父サン。」
パーカーを着た"悪魔"は、荒々しくドアを開けると、一拍おいてそう聞いてくる。
「聞きたいこと、ですか。」
「最近この街で起きている失踪事件についてだ。」
「あぁ、それですか。物騒ですよねぇ、本当に。」
何も知らないとでも言うかのように振る舞う。
「...アンタ、何か知ってんだろ。」
「どこでそんな情報を手に入れたかは解りませんが、私は何も知りませんよ。本当です。」
「余達だってあんたのことはあまり疑いたくはない。けど、人が居なくないっているのは事実だ。」
「じゃあなぜわざわざ兵士まで連れてきているんでしょうね?護衛ですか?」
そう問いかけると、驚いたような顔をする。
「なんでそれを...」
「気配でわかりますよ。私からは見えない位置に4人。ですよね?ダネスさん。」
椅子から立ち上がり、教卓の前へと歩く。
「あんたやっぱり人間じゃ───」
そう言いかけた瞬間、神父は銃を構え、ダネスに銃口を向け、引き金を引く。
「っ!?」
ダネスはギリギリで弾を避ける。
「やっぱりか...」
銃声を聞き、兵士たちが槍を構え、出てくる。白も武器を構える。
「実を言うと、私もあなた方に会いに行く予定だったんですよね。それが、わざわざそちらから会いに来てくださるとは...」
「神父の姿に化けて我々を騙していたとは...ゆるさん!この街の平和を守るために、貴様を捕らえる!!」
「騙される方が悪いのだと思うのですが。まぁ、しょうがないですよね。はっきり言って貴方達馬鹿ですしね。」
神父は嘲笑する。
「なっ...貴様ぁ!」
兵士たちは怒りをあらわにし、神父へと向かって走りだす。
「待って!」
そう兵士たちに向かって叫ぶが、誰も止まらない。
「本当に、あなた達はいつ見ても滑稽だ。」
神父はそう言うと、再び銃の引き金を引く。暴発音と共に、先頭にいた兵士が後方に倒れる。
「な...ど、どういうことだ!!?この鎧は弾丸をも防ぐと言われているのに...!」
「それは普通の銃の場合ですね。私の銃は威力が少し高めなので。あとは、弾に魔力を少々...」
「くそ!よくも仲間を──」
不意に銃声が聞こえる。
「あなた方、邪魔です。どいてください。」
前方にいた兵士が倒れる。
「ひぃっ...!に、逃げろぉ!」
そう言って残りの兵士たちは走り去っていってしまった。
「情けないですねぇ。あれでも本当に兵士なんでしょうか。」
神父は銃を下ろし、笑いながらそう言う。
「リオ、どこかに隠れてて。」
「わかった。」
「優しいですね。まぁ、居ても居なくても変わりませんが。」
「失踪事件の犯人はあんただったのか。」
「まだその話を続けるつもりですか?まぁ、犯人であることに間違いはないですが。」
「誘拐した人たちはどこだ。」
「さぁ、どこでしょうね。少なくとも、生きてはないんじゃないでしょうか。」
神父は悪戯に笑う。
「...お前の目的は何だ。」
ダネスは神父を睨めつける。
「そうですねぇ...その辺の下級悪魔と同じとでも言っておきますか。」
「狙いは白か...」
「惜しいですね。あなたもですよ、ダネスさん。」
「あぁ、それは前からだから知ってるけど。」
「何したんだよ...」
「奴隷を助けたら捕まって、そこから逃げ出しただけだけど。」
ダネスは、それがどうしたのかというような顔でそう言う。
「いや、そんな真面目な顔で言われても...」
「しかも、奴隷に味方して、挙げ句には他の四天王と対立して争いを始めるしで、大変だったらしいですよ。」
「まぁ、いい奴らなんだけど、その辺に関してはウマが合わなかった...ってなんでそれ知ってんの?」
「さぁ?なぜでしょうねぇ。」
「まぁいいや。とりあえず、ここでお前を倒す。」
「できると良いですね...」
神父がそう言った瞬間、空気が変わる。
「少し本気で行かせてもらいますよ。」
神父は左手を顔の高さまで上げると、パチンと指を鳴らす。すると、頭上に一枚の大きな鏡が現れる。鏡をよく見ると、教会とは別の空間が映っている。
「ダネスさんにとっては思い出のある場所ですね。」
「思い出?そんな場所あったかな...」
「魔界です。」
「え?」
「直通です。」
「直通?」
「はい。実はこの鏡、映った場所に移動することができるんですよ。」
「へぇ、すごい。」
「いや、関心してる場合か。」
白は素早くツッコミを入れる。
「なるほど、つまりあんたの能力はその鏡か。」
「そう、私の能力は『鏡を出現させ、その鏡に映った場所に移動することができる』もの。」
「戦いには向いてなくない?その能力。」
「えぇ、向いてませんね。」
神父は、さも当然のことかのように言う。
「ですが、意外と便利なんですよ?この能力。」
神父はさらに鏡を出現させる。
「"捕まらないように"、がんばってくださいね。」
神父はそう言うと、再び銃を構え、引き金を引く。ダネスはそれをひらりと躱し、フードから一本の剣を取り出す。
「行くぞ、白。」
「あぁ。」
神父さんの使ってる銃はリボルバーです。




