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第二話 「今すぐ金が欲しいのか?ならいい話がある。」

「魔物討伐の任務ってありますか?」

「そうですねぇ、、湖畔村ミナールで一件調査依頼がありますが、、、」

「ミナール?それは遠い」


変なところに連れてこられた。こういうのをギルドというのだろうか。

でも他の人を見るに市役所的なものか。

着いて早々ヘルメスが受け付けと話をしている。

「そうですねぇ、、一週間くらいまてば近いところの依頼が入ってくるかもしれないですけど、、、」

「ミナールまでニ、三週間かかるでしょう?」

ヘルメスが俺を見た。




ギルドから出て噴水の縁に腰掛けた。

「困りましたね。普通は五個くらい近くの依頼があるはずなんですよ。」

「なんでこんなに少ないんだ?」

ヘルメスは首を傾げた。

「わかりません、、」

わかんないなら仕方ないな。野垂れ死ぬ以外に道はない。

「隣町のギルドに行ってみましょうか。ここから歩くと二時間ほどです」

ちょっと遠いな、、

「隣町のギルドなら依頼があるのか?」

「通常近いギルドでは依頼が共有されている場合がほとんどですが隣町には民間ギルドがあります。もしかしたらそこなら」

ヘルメスは立ち上がり伸びをした。

「ぐずぐずしてたら死にますよ。この世界ではね。」

歩き始めるヘルメス。俺も立ち上がりついていく。



この街の東側には川があり、橋で渡ると一気に建物がなくなる。街から出たようだ。

草が禿げている道がある。そこを通り歩いて行く。

のどかな草原だ。



遠くに山が見えるな。こんなに動ける体なんだ。登ってみたい。




「まてぇーーい!!」

変な奴が現れた!

「我が名はシェーン。道行く旅人よ!吾輩と決闘をしろ!」

「間に合ってます」

シェーンはファイティングポーズだ。だからやらないって。

「仮面の男よ!お前は相当な実力者だな!?さあ!出てこい!」

俺は笑う。まさか、俺が戦うとでも?こんなゴリゴリの脳筋野郎と?

「ふん、俺を倒したいならまずはこいつとたたかえ!」

俺はヘルメスの背中を押した。

「うぇ!?」

すごい顔で俺を見つめるヘルメス。ファイト!

「さあ、こないならこちらから行くぞ!」

男が身構える。

「まったく、、」

ヘルメスが腰を落として地面に両手をつける。

「フロスト•プレイス!」

ヘルメスの手を中心として辺りの地面が凍る。

「魔術師か!」

「アイス•ランパート!」

凍った地面から氷の岩が出てきて男を囲む。

「おりゃあ!」

その氷を拳で割る男。

ヘルメスさん?

「グラシアル•バースト!」


地面の氷が爆発して男の体に当たる。

「なっ!?」

「ディープ•チル!」

男の体が凍り始める。

「このっ!」

体を引き抜こうとする男の努力も虚しく拘束される。

「終わりだ!アイシクル•ランス!」

細長く尖った氷が男に向かって放たれる。

「降参だ!」

氷の槍は男の顔の前で寸止めされてからすぐに溶けてなくなる。

それにつられるように全ての氷が溶け始め、男も拘束が解かれた。



「まさかこれほどまでの強いとは、、、言い訳はない。吾輩は負けたのだ。煮るなり焼くなり好きにしろ。」

目を閉じて座る男。

ヘルメスが口を開く。

「実は今お金に困っています。何か仕事はありませんか?」

男がニヤリと口角をあげる。

「今すぐ金が欲しいのか?ならいい話がある。」




俺ら二人は男に連れられ森に来た。

「最近のこの森でよく火事が起こるんだ。原因を突き止めたら5万。原因を排除したら10万だ。」

なるほどそれはいい。

「ヘルメス。この国の通貨は日本円でいくらくらいだ?」

「同じくらいですよ」

「ニホン?」

「こちらの話です」

男の問いにヘルメスが冷めた対応をする。

男は少し顔をしかめたがまあいいかと切り替えた。

「さて、そこの男はヘルメスと言ったな。で、仮面の男よ。お前の名前はなんだ?」

俺は悩む。現代日本の名前を言ったらなんて言われるだろうか。ていうか俺の名前は赤松吉房だ。かっこいいとは思ってるがマジで古臭い。どこの武将だよって感じだ。


ヘルメスがこちらを見た。

「彼の名前は、、ゼノ、そう!ゼノです!」

ゼノか。かっこいいな。

「ゼノか。じゃあ今後ともよろしく」

今後?




森に入った。

歩きながらヘルメスと話をする。

「なあ、ゼノってどういう意味だ?」

「まあ異質というか異国の人的な意味です。これからはその名でいきますか?」

俺はうなづいた。

思えばこの世界にきてから一日も立っていない。本当にうまく行きすぎている。

それもヘルメスのおかげだろう。彼の手際はかなりいい。

俺を見つけるとすぐに金集めにはいった。ギルドに行って仕事がないとわかると隣町の民営ギルドに行ける対応力もある。ズバリ、”慣れた手つき”だ。

「お前、転生者のサポートとか慣れてるのか?」

「いえ、ていうか異世界転生自体事例がない初めての試みなんですよ。あ、、でも三年前までこの世界で暮らしてました。四年だけですが。」

なるほど、だからギルドの場所がわかるのか。

「まあでも、ここまではしっかり頭にいれてましたからね。」

頭に入れる?どういうことだ?

俺の顔(仮面をしているのだが)をみたヘルメスは説明を始めた。

「実はここまでスムーズに行ったのは適切なルートを選んでらを実行したからなんです。ゲームと同じですよ。いろんなルートがあって、それぞれで結末が違う。」

ルート?未来のことか?こいつは未来が見えるというのか?

「ルートはどうやって選ぶんだ?」

「天界に未来を予測する道具があるんです。その道具では様々な未来を見ることができちゃいます。例えば、あなたが町の噴水の縁に腰掛けずベンチに座る未来だってありました。その場合は貴方が裏路地の右側を歩かず、左側を歩いて広間に出れば最初に目に入るのはベンチなのでベンチに座ったでしょう」

ベンチに座るか噴水に座るかでも未来は変わるのだろう。バタフライ効果とか聞いたことがある。


小一時間歩き続けた。森に入ったあとでもヘルメスは迷うことなく道を歩んで行った。道なんてないけど。

「まだルートの最中か?」

「えぇ、この森であるものを手に入れるまではルートに沿って行きます。それ以降は分岐が多すぎたので覚えてません」

あるもの?調査して火事の原因突き止めるだけじゃないのか?

「あるものってなんだよ」

「炎の上位精霊です。」

上位精霊?精霊か!いるのかやっぱり!

「僕の予想では恐ろしい鬼のような見た目をしていて乱暴かつ凶悪な性格だと考えています。」

怖い怖い。

「ただ、あなたなら精霊を従えることができます。だから貴方を転生させたのです」




俺は精霊を従えることができるらしい。それもかなり上位の精霊を。

今から捕まえにいく精霊は炎の上位精霊。ワクワクが止まらない。


ん?なんか臭いな、、煙の匂い?

「なぁヘルメス、なんか臭、、、え?」

木が燃えていた。パチパチと音を立てて、

「ディープ•チル!」

木が凍る。いや、凍っていない。炎の方が強い。

「あれ?おかしいな、、!」

「おい!どうすんだよ!」

俺はヘルメスの肩を掴んだ。

「どうもこうもありませんよ!僕の魔法でどうにかしてみます!」



三十分後。ついに火が止まった。

その間に火は他の木にも燃え移り、半径10メートルほどの木は全て焦げて黒くなっている。

俺はヘルメスをみた。

焦げた木に寄りかかって休んでいる。

「ゼノさん、、まだ近くにいるはずです。僕は動けません、、探してください、、!炎の上位精霊を、、」

俺はうなづいて走り始める。

上位精霊だ。かなりでかいはず、、、

俺は地面に足跡を探しながら精霊を探す。

「どこだ、、、」

方向を変えようと右を見た瞬間、後ろを何かが横切った。

羽ばたくような音、おそらく鳥だろう。

後ろを振り向き、さらに鳥が飛んで行った方向をみる。


いた。

木の上に、サラマンダーのような、ドラゴンのような、、、猫くらいの大きさのやつが、、


こっそり近づいて後ろから掴んだ。

「ギャゥッ!」

くっそ!こいつ噛みやがった!

咄嗟に手を離すとチビドラゴンは飛び立つ。

「待てや!」

尻尾を掴む。

「ギャっ!?」

悲鳴に似た声をあげるチビドラゴンの首を抑える。蛇を捕まえる時みたいに。

「お前が放火犯か?」

「ギャルルル、、、」

睨みつけるチビドラゴン。

「そうかやっぱりお前がやったか。」

俺はそいつを拘束したままヘルメスのところに歩いてゆく。



「あ!ゼノさん!、、、その手に持っているものは?」

「チビドラゴン」

ヘルメスが顔をしかめた。

「貸してください。」

ヘルメスにチビドラゴンを渡す。

「痛った!」

あ、噛んだ。

「そいつ首掴まないと噛んでくるぞ」

「そうですか、、、できれば渡す前に行っていただけると助かります、、」




数分間、ヘルメスはドラゴンと睨めっこした。


「間違いありません、こいつが炎の上位精霊です。」

「随分小さくないか?」

「まあそういうこともあるんでしょう」

ヘルメスは適当な返事をしてまたドラゴンと睨めっこした。

「あ、ところでどうやってそいつを従えればいいんだ?」

ヘルメスがこちらをみる。

「どうって、そりゃ、一緒に暮らしてご飯をあげたり、遊んであげたり、でも無理に撫でたりするのは禁物ですよ。この子の嫌がることはしない、これ守ってくださいね。」


いや鬼のような見た目をしていて乱暴かつ凶悪な正確だったらどうするつもりだったんだよ。

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