表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/76

大魔女と大魔女の訃報

岩柱で形作られた大天幕のド真ん中を ちゃっかり陣取って配下の亜人達に布の小天幕(テント)(それにしたって直径20~30mはある)を張らせた【老猿の大魔女(エルダー・エイプ)】は、小天幕の奥に玉座と言わんばかりに敷かれている絨毯の上に腰を下ろした。

・・・あの絨毯にも《時止めの秘術》が仕掛けられているのだろうか?


「よし、それじゃあ早速 詳しい仕事の話をしようじゃないか。」


「猿婆・・・その話は先日しただろう?」


「・・・そうだったかい?

全く年は取るもんじゃないねぇ・・・。

最近は ちょっと前のことも容易に思い出せなくなってきたよ。」


「大変なんですね。」


私は自分には関係ないと言わんばかりに団員に用意させたハーブ茶を呷る。

老獪な大魔女(クソババア)のことだから、ここで下手に同情を見せると具体的な『お情け』を強要されそうだったからだ。

そもそも今の一連の流れで見せた認知症の症状だって演技でやっているのかもしれない。


「ま、アンタらが覚えていようが覚えていまいが関係ない。

アタシが忘れてるんだから、それはノーカウントの事象というものさね。」


「「え~・・・。」」


私と【歩く災害(ルイン・ウォーカー)】が同時に抗議の呻きを上げるが、大魔女(クソババア)は知ったこっちゃないと言わんばかりに話を始める。


「良いかいアンタ達。

ここから見たと思うけど あの古代遺跡は私の古い同胞が管理していたものでね。

それが先日くたばっちまったから仕方なくアタシが遺品整理に来てやったというワケだよ。」


「前も言いましたけど・・・要するに遺産泥棒ですよね?」


「バカ言うんじゃないよ。

そもそもアイツがちゃんと終活していればアタシが出向くまでも無かったんだ。

面倒臭い遺品整理を引き受けてやったんだから全く感謝して欲しいくらいさ。」


「・・・。」


数日前に聞いた話では、亡くなったのは【老蜘蛛の大魔女(エルダー・アラクニド)】という目の前の大猿の古くからの同胞らしい。

何でも大猿以上の体躯を持つ大蜘蛛だったらしいが、先日 教会直属である(くだん)の『聖堂騎士団』の手に掛かって討伐されてしまったようだ。


「それにしても、驚いたね。

まさか あの『蜘蛛婆』が死んじゃうなんて。

あの人には嫌な思い出しかないけど・・・まぁ、葬儀くらいは出てやっても良いかな。」


「大分 耄碌してたからねぇ・・・。

とはいえ腐っても同胞だし、遺産の額次第では葬式代くらいは出してやろうか。」


こんなことを言っているが数日前その訃報を聞いたとき、ルインは数日間ショックで寝込んだ。

そして立ち直った今、悪態をつきながらも真っ先に葬式の話が出る辺り大分慕われていた部類の大魔女だったようだ。


恐らく、故人のことを悪し様に好き勝手言うのが、彼女達 ─── 魔女なりの弔いというものなのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ