亜人わんこそば
<翌日・・・>
「─── アスカ! また出た!!」
「またですか・・・。」
私は短弓に矢を番えると、視界に飛び込んで来た『獣』へと反射的に放った。
「─── ギャッ!!」
矢に心臓を貫かれた『獣』─── 亜人が、騎乗していた野犬の上から転げ落ちる。
あれは即死だろう。
今私達が相手にしているのは、どこかパタスモンキーに似た駿猿という長身の亜人だった。
長身といっても その身長は130cm(小学3~4年生くらい)しかない。
前世のパタスモンキーと違うのは、明確に二足歩行の骨格をしていることと、原始的な加工を施した動物の毛皮や骨の装備を身に付けていることだろう。
ホモサピエンスの原始人とは違い、豊かな獣毛が全身に生え揃っているので手の甲や頭部など装備は部分的ではあるが、それだけでも前世の猿とは明確に知性の差があることが分かる。
「・・・!」
「─── っ!」
背後から飛んできた投げ槍を、私はすんでのところで躱した。
この亜人の厄介なところは、動きが組織的な上に行動がイチイチ静かなところだ。
猿というと五月蝿いイメージがあるかもしれないが、この亜人は見た目に反して理的で明確な殺意がある。
こういうことをされると、やはり亜人は単純な獣と片付けるには厄介過ぎる相手だと再認識する。
文明的にはともかく、殺し合うなら相手が賢い人間だと思って掛からないと普通に罠に掛かって全滅しかねない危うさがあった。
「─── アスカ!
貴方の言う通り、先行させた部隊から前方に大規模な罠があるとの報告が!!」
「─── ほらね!!?」
危っぶねぇ・・・このまま行ったら馬車隊ごと死地に誘い込まれるところだった。
これだから亜人は油断ならない。
「よっしゃ、付いて来て下さい【拳獣】!
二人で罠に奇襲して亜人共を殲滅しますよ!!
【動く要塞】と【イカレ修道女】は本隊の指揮を!!」
テンションのままに指示を飛ばし、グリムヴェイルの腹に両脚で圧を加えた。
それだけで こちらの意図を察したグリムヴェイルは、隊列の先へと急加速する。
「・・・呼ばれてますよ?」
「・・・む?」
騎馬戦に夢中で指示を聞いていなかったらしいルガーが姉貴分のシスターに注意されている声が聞こえた気がしたが、彼の名誉の為に聞かなかったことにした。




