※風上に座らないと、火の粉で紙はボロボロになります。
<半日後・・・>
「─── と、いうわけで試しに書かせてみました。 レポート。」
「・・・すみません、今の話の流れで どうしてレポートが出てくるのですか?」
こんなこともあろうかと のノリで私が引っ張り出してきた紙束を見て、【イカレ修道女】は眉を歪めた。
・・・友よ、こんなときにだけマトモになるな。
休憩時間にグレイブと調査対象の遺跡について議論した その日の夜。
私はシスターと同じ焚火に当たりながら、グレイブと何を話したかについてシスターに語って聞かせていた。
かなり端折って話したと思うのだが、心無しかシスターの目が死んでいるのは気のせいだろうか。
背凭れ代わりにしているグリムヴェイルに至ってはイビキを立てて爆睡を かましている。 [1]
五月蠅いので軽く肘打ちをして起こした。
「いや・・・学者ギルドには出しませんけど文書にして残すのは大切かな、と・・・。」
「何故そんな『当たり前のことを言っている』ような顔を出来るのか分かりませんが、記録を残すのが大切という話には同意しましょう。」
シスターは私からグレイブが書いたレポートを受け取ると、焚火の光を頼りに文字に目を走らせ始めた。
「・・・ほう、図表も入っているのですか。
それに考古学のレポートでありながら、地理・地質学の見地からのデータも入っている・・・。
多才なグレイブらしい文書ですね。」
読み飛ばすようにしてページをペラペラと捲りながらシスターがコメントする。
適当に読んでいるようで その実 細部まで しっかりと目を通しているのだから、シスターの速読スキルには驚かされる。
「そうですよね。
それで この文書の内容について、神学者としての意見を聞きたいのですが。」
「・・・それが本題ですか。
最初から そう言って頂けます?」
「前置きが大事なんですよ、こういうのは。」
私が そう言うと、シスターは深く溜息をついた。
「はぁ・・・まぁいいです。
それで神学的見地から見た 彼の古代遺跡についてですが ───」
「─── あぁ、すみません。
ちょっと待って下さい。」
「はい? ・・・あぁ。」
私がシスターの言葉を止め、それを受けてシスターが何かに気付いた様子を見せた直後、暗闇から何かが飛んできた。
私は それを掴んで受け止める。
─── それは作りの粗い、原始的な矢だった。
[1] グリムヴェイル:
アスカの愛馬。
知能が極めて高い分、性格が悪い上に気性も荒い。




