魔族間論争
『むぅん!!』
『くっ・・・!』
───── ドゴォンッッッ
・・・何か部屋の外に出たら、巨漢の魔族 二人が打ち合ってる・・・。
面倒臭いなぁ・・・これ助太刀しないとダメかなぁ・・・。
『何故だ・・・何故 聖剣など求める・・・!
あんなもの、我らの悲願には何の関係もないではないか!!』
『そうだとも!
あんなものだからこそ、我らが手中に収めねばならんのだ!!』
───── ガンッッ
【動く要塞】の閉所用の得物である、ボーディングアックス [1] の刃が相手の腹部に命中する。
しかし どうにも強度の高い金属で出来た鎧を黒装束の下に着込んでいるらしく、金属同士が衝突した硬質な音を響かせただけで終わった。
『むしろ貴様こそ何故 我らの邪魔をする!
聖剣を魔族が守ったところで、何の意味もないぞ!!』
『それを言うならば聖剣を魔族が奪ったところで、何の意味もないではないか!』
『意味ならばある!!!』
───── ドゴォンッッッ
対する魔族は長身の両手剣だが、体躯に優れた魔族特有の怪力で大聖堂の壁や天井という障害物を破壊し、閉所という不利を完全に有って無いものとしていた。
・・・凄いな。
シンプルな筋力だけならリビング・ルークより上じゃないか?
『貴様ならば分かるだろう!
我らは遂に希望を見出したのだ!!
天の頂に輝く北極星の如き、魔族の不動の希望を!!!』
『・・・!!?
馬鹿をいうな!!
そんなものに今更縋って何になる!!!
我らの悲願を忘れたとでも言うのか!!!』
『そんなものは妥協だ!
貴様も本心では願っているはずだ!!
魔王国の再興を!!
我らの失われた祖国の復活を!!!』
『最初から失われてなどいない!
例え どれだけ偉大な大義名分があろうと、それに縋ること自体が恥であると何故分からん!!』
『なにを!!?』
・・・なんかルークの知り合いっぽいし、このまま放置して聖剣 盗ってきちゃダメかな。
「【イカレ修道女】は どう思います?」
「・・・?
何を尋ねられているのかハッキリしませんが、とりあえず目の前の邪魔者を殴ってから考えてみては?」
そうだ、こいつ脳筋だった。
まぁ、しかし、本質を突いた言葉であることも確かか・・・。
「そうですよね・・・。
はぁ・・・面倒ですが、やりますか。」
私は目の前の、明らかに全身鎧 [2] を着込んでいるであろう防御力高めの魔族をどうにかする為に、一歩前に踏み込んだ。
[1] ボーディングアックス:
ピッケルと斧が一体になったような武器。
閉所での取り回しの良さと威力のバランスに優れた武器だが、今回は少々相手が悪い。
[2] 全身鎧:
全身を板金で覆うタイプの鎧。
一言 "鎧" と聞いて、最初に思い浮かべるのは このタイプだろう。
如何にも中世ヨーロッパの鎧代表みたいな顔をしているが、このタイプの鎧が登場したのは中世後期頃で全盛期はルネサンス期なので、どっちかというとルネサンス期の子である。




