隠し道
<聖都 郊外にある小教会の裏手>
「うわっ、結構ボロボロですね・・・。」
「仕方ないでしょう?
元々、裏口なんて滅多に使うものでもないのですから。」
私達は いつもの冒険者としての鎧の上から如何にも怪しい黒いフード付きの外套を着た状態で、聖都の外れにある教会・・・その裏手にある風化しかけの扉を開けた。
暫く外気に触れていなかったであろう大聖堂の裏口へと続く道の奥から、扉を開けた瞬間 気圧差の影響か埃臭い一陣の風が吹き抜けた。
一切 明かりの灯っていない暗い通路の奥をランタンで照らすと、いつから在るのかは知らないが未だ通れそうな しっかりとした石造りの通路が浮かび上がった。
軽く石畳を叩いてみると、しっかりした手ごたえと音が返ってくる。
「よしっ、何とか通れそうですね。」
「ふむ・・・私達は確かに何とかなるかもしれないが・・・。」
・・・まぁ、そうだよなぁ。
私達は後ろを仰ぎ見た。
そこには身長2メートルを超える巨漢である副長、【動く要塞】が立っていた。
「・・・行けます、ルーク?」
「・・・試す。」
万一の保険ではあるが、もし聖剣が用意してきた道具で取り出せなかった場合はリビング・ルークの怪力で何とかすることも視野に入れてるので、出来れば連れて行きたい。
リビング・ルークが屈んで通路に入る。
・・・。
かなり窮屈そうだが、何とか通れそうだった。
「うしっ、ルークは一度 外に出て下さい。
斥候の役は私がするので、遠距離攻撃が出来る【歩く災害】が私の後に付いて、その後ろに【動く要塞】、殿に【イカレ修道女】が立って下さい。」
「分かりました。」「いいだろう。」「分かった。」
三者三様の了解の言葉を聞きつつ、私は先頭として大聖堂の裏口へと続く通路に一番に足を踏み入れた。
・黒いフード付きの外套:
かなり怪しく見えるが顔は見えなくなる装備。
遠目に見ると某魔法の指輪の映画に出てくる、9人の幽鬼に雰囲気似てるように見えなくもない。
・斥候:
敵情・地形・状況を先行して調べ、味方に情報を持ち帰る偵察専門の兵のこと。今回の場合は、先に罠が無いかや敵が待ち伏せをしていないかを調べる役のことを表している。
別にアスカは斥候専門というワケではないが、その筋の人間から見ても十分一人前だと思えるような基本技能は身に付けている。
・殿:
隊列のいちばん後ろに位置し、退却する味方を守る最後尾の守護役のこと。
本来であれば【動く要塞】が適任だが、流石に通路が狭すぎて十分に動けないので、次点で【イカレ修道女】が選ばれた。




