作戦の話し合い
聖書の確認を終えた私と【イカレ修道女】は、食後の運動がてら街中をブラブラと歩いていた。
「─── それで?
聖剣の件は解決?・・・しましたが、聖都の件は どう片付けるんです?」
あまり大っぴらに話すようなことでもない為、隠語めいた抽象的な表現で聖剣を聖都から盗み出す依頼の話をする。
「そうですね・・・選定の書の件は気になりますが、聖都に湖があるという話は聞いたことがありませんし、やはり私の記憶通り大岩の頂に刺さっているのでは?」
まだ言うか、コイツ。
・・・しかし一理あるのも事実。
「まぁ・・・聖書の件はともかく それが普通ですよね。
聖都の地下に湖があるというなら話は別ですが・・・───」
「それなら毎年 水不足で悩んでませんね。」
そうだよね。
聖都いっつも水不足で悩んでるもんね。
何なら何代か前の教皇が脱水症状で死んだくらいだもんね。
それくらいなら幾ら聖なる湖の水でも使うよね。
「じゃあ百歩・・・いえ万歩 譲って聖剣は貴方の記憶通り大岩の上にあるとして、その場合どうやって例のブツを持ち出すんですか?」
「さぁ・・・?」
「さぁ?」
なんだこいつ。
「伝説では選ばれし者でないと抜けませんし、普通に考えれば持ち出すのは不可能としか。」
「私が選ばれし者であるという可能性は?」
転生者だし、ワンチャンあると思います。
「・・・ハッ。」
「・・・なんだぁ・・・テメェ?」
鼻で嗤われた。
とても悲しい。
悲しいのでシスターの鳩尾に肘で一撃を叩き込む。
「うっ・・・!」
「!
今ので良いアイデアを思いつきましたよ。」
「・・・私に手を上げることで良いアイデアが出たのですか?」
人聞きの悪いことを言うなよ。
私達の仲じゃないか。
「そんなことよりですね。
今 私は大岩の天辺から例のブツを引っこ抜く方法を思いついたんですよ。」
「そんなことより私にダメージが入ったことの方が重要では───」
面倒臭いので もう一回 鳩尾に一撃を食らわせて黙らせる。
「ウッ・・・これは後で響きますよ・・・。」
「どうでもいいです。
それよりも今すぐ宿屋に行きましょうよ。」
「・・・何故でしょう?」
シスターが鳩尾を摩りながら首を傾げる。
「─── いやなに、あのカスの力を借りようかと思いまして。」
・聖都の水不足:
元々 雨の少ない土地柄だが、酷い時には川も干上がって大勢の死人が出るような干害も発生する。
・選ばれし者:
聖剣に選ばれし勇者という意味。
少なくとも【イカレ修道女】からすれば、アスカはワンチャン無いようだ。
・鳩尾:
胸と腹の境界の真ん中のこと。
ここに強い衝撃を加えられると隔膜まわりに強烈に響き、痛いというより内側から崩れるような感覚を味わうことになる。
また内臓の揺れなどによる遅延痛もあるので、ここを じゃれ合いで攻撃するのは割とカスの所業。




