第三十一話 秋の舞踏会
狩猟大会が幕を閉じると、生徒たちはそれぞれ寮へ戻り、夜の舞踏会へ向けて支度を始めた。
夕暮れに染まる学園は、昼間の熱気が嘘のように静まり返っている。
西の空を茜色に染めていた陽はゆっくりと山の向こうへ沈み、やがて夜の帳が学園を包み始めた。
学園大講堂では、使用人や教師たちが慌ただしく最後の準備を進めていた。
天井には幾つもの魔法灯が吊るされ、淡い金色の光が磨き上げられた床へ降り注ぐ。
壁には秋色の花々と金木犀の枝が飾られ、甘く優しい香りが会場いっぱいに漂っている。
狩猟大会の勝者とクイーンを祝福する、一年で最も華やかな夜。
その幕が、まもなく上がろうとしていた。
◇◇◇
アルクスレイブンの寮室。
静かな室内には、衣擦れの音と、わずかな金具の触れ合う音だけが響いていた。
ライルは軽く頷き、指先で襟元の角度を整えた。
「これでよろしいかと」
全体を見渡し、満足そうに一歩下がる。
「改めまして――狩猟大会優勝、おめでとうございます、殿下」
「ありがとう」
「殿下なら上位に入られるとは思っておりましたが、白虎まで討伐されるとは予想しておりませんでした」
「運が良かっただけだ」
「運だけで白虎は仕留められません」
ライルは小さく笑う。
「学園中、大騒ぎでしたよ」
「少々、目立ちすぎたな」
アルクスレイブンが肩をすくめると、ライルは苦笑した。
「その結果、今夜は舞踏会の主役です」
「優勝者だからな」
「ええ。クイーンをエスコートし、最初の一曲を踊るのも優勝者の務めです」
アルクスレイブンは鏡越しにライルを見る。
「お前はどうだ」
「私ですか?」
「準備は済んだのか」
「もちろんです」
ライルは自分の礼装へ視線を落とし、小さく襟元を整える。
「護衛ですから、派手にはできませんが」
「似合っている」
短い一言に、ライルは少し照れたように笑った。
「ありがとうございます」
そう言ってもう一度アルクスレイブンを見渡す。
「これで完璧です、殿下」
アルクスレイブンは軽く息を吐き、部屋の隅へ目を向けた。
レグロナグラがゆっくりと片目を開く。
『行くのか』
「ああ」
短く答えると、ライルは静かに一礼した。
「それでは私は先に会場周辺の警戒へ向かいます。後ほどお迎えに参ります」
「頼む」
「はい」
ライルは静かに部屋を後にした。
◇◇◇
学園大講堂には、すでに多くの生徒たちが集まっていた。
色鮮やかな礼装や舞踏会用ドレスに身を包み、普段とは違う姿に互いの装いを褒め合う声が響く。
「メリンダ様、そのお姿も素敵です」
男装姿のメリンダは、小さく微笑みながら礼を返す。
「ありがとう」
隣ではガルシアがグラスを片手に肩を竦めた。
「お前は何を着ても様になるな」
「ガルシアも、少しは背筋を伸ばしたらどうだ?」
「はは、堅苦しいのは性に合わなくてね」
二人のやり取りに、周囲から小さな笑い声が上がる。
会場の反対側では、カインとエミリーの姿もあった。
正装姿のカインは落ち着かない様子で入口へ何度も視線を向ける。
「カイン様?」
「……いや」
エミリーの呼びかけにも短く返すだけだった。
昼間の出来事が、まだ胸に燻っている。
そんな中、大講堂入口の外。
クレイスは静かに立つアルクスレイブンへ向き直った。
その隣には、黄金色の舞踏会用ドレスを纏ったルルシルが静かに佇んでいる。
「ゼイン殿」
クレイスは穏やかに一礼した。
「妹を、よろしく頼みます」
アルクスレイブンも静かに頷く。
「もちろんだ」
クレイスは安心したように微笑むと、一歩後ろへ下がった。
アルクスレイブンはルルシルへ向き直る。
「ヴェリテ嬢」
「はい」
「そのドレス、とても美しいですね。よくお似合いです」
飾らない口調で告げられた一言。
ルルシルは少し驚いたように目を瞬かせるが、すぐに微笑みを浮かべる。
「ありがとうございます」
短い言葉を交わすと、アルクスレイブンは右腕を差し出した。
ルルシルは一瞬だけその腕を見つめ、静かに手を添える。
それを見届けた係が、大講堂の扉の前へ進み出た。
「アルクスレイブン・ゼイン公子、ルルシル・ヴァン・ヴェリテ公爵令嬢、ご入場です」
高らかな声が響き渡る。
ゆっくりと扉が開かれた。
談笑していた会場が、一瞬にして静まり返る。
並んで姿を現した二人へ、無数の視線が集まった。
大階段をゆっくりと降りるルルシルが身に纏うのは、黄金色を基調とした舞踏会用ドレス。
魔法灯の柔らかな光を浴びるたび、黄金色のドレスはまるで金木犀の花びらが舞うように淡く煌めいた。
秋風に揺れる金木犀を思わせる柔らかな色彩は、魔法灯の光を受けるたび繊細に輝き、幾重にも重ねられた薄布が花弁のように揺れる。
胸元から裾へ流れる金糸の刺繍は、咲き誇る金木犀の枝葉を思わせる意匠で統一され、華美になりすぎない気品を湛えていた。
銀色の長い髪はゆるやかに結い上げられ、金木犀を模した小さなガラス細工の髪飾りが淡く煌めいている。
その隣を歩くアルクスレイブンは、黒を基調としたアッシェン王国の伝統礼装を纏っていた。
深紅の刺繍が施された前合わせの長衣。
歩みに合わせて覗く赤い裏地。
襟元や袖口には繊細な金細工が施され、腰には装飾帯、足元には磨き上げられた黒のロングブーツ。
西洋の礼装とはまったく異なるその姿は、異国ならではの威厳と気品を漂わせていた。
「……綺麗」
「まるで物語の一場面みたい……」
「あれがアッシェン王国の礼装……」
静まり返っていた会場に、感嘆の囁きがゆっくりと広がっていった。
やがて、大講堂正面の扉が開かれた。
国王エドワードと王妃マクベリアが姿を現す。
華やかな談笑に包まれていた会場は、瞬く間に静寂へと変わり、生徒たちは一斉に頭を垂れた。
「面を上げよ」
穏やかな声が響く。
エドワードは集まった生徒たちをゆっくりと見渡し、小さく頷いた。
「本日は狩猟大会、誠に大儀であった。皆の健闘を心から称えたい」
その言葉に、生徒たちの表情がわずかに和らぐ。
「そして今宵は、その健闘を讃える舞踏会である。身分や学年を越え、このひとときを存分に楽しんでほしい」
温かな拍手が会場を包み込む。
エドワードは隣の生徒会長リヒトへ目を向けた。
リヒトは一礼すると、一歩前へ進み出る。
「それでは皆様、狩猟大会優勝者ならびにクイーンによる最初の一曲をご覧ください」
静かに告げられたその声を合図に、楽団がゆるやかな前奏を奏ではじめる。
アルクスレイブンはルルシルへ向き直り、自然な所作で左手を差し出した。
「参りましょう」
「はい」
ルルシルはそっとその手を取る。
二人はゆっくりと舞踏会の中央へ歩み出た。
磨き上げられた大理石の床へ、魔法灯の柔らかな光が降り注ぐ。
黄金色のドレスは光を受けるたび、秋の陽だまりのような温もりを宿し、歩みに合わせて幾重もの裾が静かに揺れた。
隣を歩く黒と深紅の礼装は、その鮮やかな黄金色をより一層引き立てている。
異なる国の装い。
それでいて不思議なほど調和した二人の姿に、誰もが目を奪われていた。
演奏が始まる。
アルクスレイブンは迷いのない手つきでルルシルを導き、一歩、また一歩と軽やかにステップを踏む。
ルルシルもその動きへ静かに合わせ、ドレスの裾が円を描くようにふわりと広がった。
「その髪飾り……」
踊りながら、アルクスレイブンが小さく口を開く。
「見覚えがあります」
ルルシルは少しだけ目を丸くした。
「お気付きになられましたか」
「ええ」
金木犀を模した繊細なガラス細工。
光を受けるたび淡く煌めくその細工は、アッシェン王国でも限られた職人しか作ることのできない品であり、王都の装飾店でしか手に入らない希少なものだった。
アルクスレイブンの視線がわずかに細められる。
その記憶は、ある装飾店へと静かに繋がっていく。
――夏の王都、賑わう装飾店の店内。
「お嬢様、こちらはいかがでしょう?」
サラが楽しげに髪飾りを差し出す。
「こちらも素敵ですね。あちらの金細工もお似合いになりそうです」
次々と品を手に取り、目を輝かせるサラ。
ルルシルはその傍らで、落ち着いたまま静かに頷き、選ばれる品を見守っていた。
やがて一つの髪飾りが選ばれ、丁寧に包まれていく。
「あの夏、殿下方とご一緒した装飾店で購入いたしました」
記憶が現在へと戻る。
「やはり、あの店でしたか」
アルクスレイブンはそれだけを静かに告げた。
その様子を、会場中の生徒たちが見つめていた。
「息がぴったり……」
「まるで昔から踊り慣れているみたい」
「二人とも、本当に綺麗……」
男装姿のメリンダは腕を組み、静かに頷く。
「見事なものだ」
隣でガルシアが感心したように口笛を吹く。
「絵になるな」
一方、会場の反対側では、カインが食い入るように二人を見つめていた。
無意識のうちに拳へ力が入る。
(……本来なら)
あの場所に立つのは、自分だった。
優勝し、クイーンへ手を差し伸べるのも。
あの音楽に合わせて踊るのも。
すべて、自分のはずだった。
胸の奥に渦巻く悔しさが、静かに膨らんでいく。
その隣でエミリーも、二人から目を離せずにいた。
その時だった。
一羽の小鳥が、大講堂の高い窓辺へ舞い降りる。
続いて、もう一羽。
さらに一羽。
小さな鳥の精霊たちは窓辺へ並び、中央で踊るルルシルを見つめていた。
ルルシルはその気配に気付き、ほんの少しだけ視線を上げる。
『ルルシル!』
嬉しそうな声が響く。
『ルルシルだ!』
その声を合図にしたように、小鳥たちは一斉に羽ばたいた。
音楽へ溶け込むように大講堂を舞い、くるくると二人の周囲を飛び回る。
花の妖精たちも笑い声を上げながら加わり、小さな光の粒が幾重にも重なっていく。
精霊の姿が見えない者には、無数の光が舞っているようにしか見えない。
それでも、その光景はあまりにも幻想的だった。
黄金色の光が舞い、音楽とともに輝きを変える。
まるで二人だけが柔らかな光へ包まれているかのようだった。
アルクスレイブンは小さく目を細める。
(また彼女のもとへ集まってきたか)
不思議でも何でもない。
彼女の周りでは、いつもこうして精霊たちが楽しそうに集う。
その姿を知っているからこそ、彼は静かに微笑むだけだった。
「……綺麗」
エミリーがぽつりと呟く。
目に映るのは、光に包まれながら踊る二人の姿。
もし、狩猟大会でカインが優勝していたなら。
もし、自分がクイーンに選ばれていたなら。
今、あの場所で踊っているのは自分だったのだろうか。
そんな想いが胸をよぎった瞬間――。
景色がふっと揺らぐ。
柔らかな音楽が流れる中、カインが優しく手を差し伸べていた。
「エミリー」
その手を恐る恐る取る。
「私……ダンスなんてあまり上手じゃありません」
不安そうに視線を落とすと、カインは困ったように笑った。
「心配するな」
そっと手を握り返す。
「俺がちゃんとリードする」
「でも、足を踏んでしまうかもしれません……」
「その時は笑えばいい」
優しい声に、自然と肩の力が抜けていく。
「俺を信じろ」
「……はい」
音楽に合わせて一歩踏み出す。
最初はぎこちなかった足取りも、カインに導かれるまま少しずつ揃っていく。
「ほら、上手じゃないか」
「ふふっ……カイン様のおかげです」
二人は顔を見合わせ、小さく笑い合った。
ゆっくりと礼を交わした瞬間、大講堂は大きな拍手に包まれた。
最初に拍手を送っていたのは、王妃マクベリアだった。
「とても素敵でしたよ、エミリーさん」
王妃は穏やかな笑みを浮かべる。
「お茶会では、ごめんなさいね。少しあなたを誤解していたみたい」
「王妃様……」
「とても可愛らしく、心の優しいお嬢さんね」
その言葉に胸が熱くなる。
隣ではカインも嬉しそうに微笑んでいる。
(もし……)
(いつか王妃様にも認めていただけたなら)
(本当にカイン様のお隣に立てる日が来るのかな……)
――その瞬間。
幻想は音もなく消え去った。
目の前では、黄金色のドレスを揺らしながら踊るルルシルとアルクスレイブン。
光に包まれた二人の姿は、現実だった。
胸の奥が少しだけ締め付けられる。
(……羨ましい)
誰にも聞こえないほど小さな想いは、音楽とともに静かに胸の奥へ沈んでいった。
◇◇◇
曲が終わりへと向かうにつれ、演奏は次第に余韻を帯び、旋律はゆるやかに収束していく。
まるで夜の帳が静かに降りるように、会場全体が一つの終幕へと導かれていった。
二人は最後の一歩を揃え、互いに優雅な礼を交わした。
一拍の静寂。
次の瞬間、大講堂を割れんばかりの拍手が包み込む。
ルルシルは観客へ向け、柔らかく微笑んだ。
その笑顔は飾り気のない、心からの自然な微笑みだった。
エドワードは満足そうに頷き、一歩前へ出た。
「それでは皆、今宵は思い思いに楽しんでほしい」
その言葉を合図に、舞踏会は本当の始まりを迎えた。
エドワードの言葉を合図に、楽団は再び軽やかな旋律を奏ではじめた。
先ほどまで中央へ集まっていた生徒たちも、それぞれの相手を誘い、思い思いに踊り始める。
笑い声と音楽が重なり合い、大講堂は一層華やかな空気に包まれていった。
◇◇◇
「エミリー」
カインはそっと手を差し出した。
「次は、俺たちが踊ろう」
「はい!」
エミリーは嬉しそうにその手を取る。
彼女が身に纏うのは、美空色を基調とした舞踏会用ドレス。
幾重にも重ねられた白いフリルと、胸元や腰を飾る大きなリボンが愛らしく、動くたびに裾がふんわりと揺れる。
その一着は、狩猟大会の前にカインが贈ったものだった。
「そのドレス、よく似合っている」
少し照れくさそうに言われ、エミリーは頬を赤らめる。
「ありがとうございます」
嬉しそうに微笑みながら、二人はゆっくりと音楽へ歩み出した。
軽やかな旋律に合わせ、静かにステップを重ねる。
しばらく無言の時間が流れたあと、カインがぽつりと呟いた。
「……すまない」
エミリーはきょとんと顔を上げる。
「君をクイーンにしてあげられなかった」
視線を落とし、自嘲するように小さく笑う。
「約束したのに」
エミリーはゆっくりと首を横に振った。
「いいえ」
柔らかな笑みを浮かべる。
「私は、今こうしてカイン様と踊っていただけるだけで十分嬉しいです」
「エミリー……」
「だから謝らないでください」
照れくさそうに笑い、カインを見上げる。
「今日は、とても幸せです」
その笑顔を見たカインの表情から、少しだけ力が抜けた。
「……ありがとう」
二人は再び音楽へ身を委ねる。
互いの歩幅を合わせながら踊る姿は、どこにでもいる恋人同士のように穏やかだった。
その様子を少し離れた場所から、エドワードとマクベリアが静かに見つめていた。
マクベリアはわずかに表情を曇らせる。
そして誰にも気付かれぬよう、そっとエドワードへ顔を寄せ、小さく耳打ちした。
エドワードは視線を二人へ向けたまま、静かに頷く。
それ以上、言葉は交わされない。
二人の様子に気付く者は誰もおらず、もちろんカインとエミリーも気付いてはいなかった。
エミリーはただ、夢のようなひとときを心から楽しむように笑顔を浮かべていた。
◇◇◇
ルルシルがダンスを終え、会場の端へ戻ると、イザベルが笑みを浮かべて歩み寄ってきた。
「お疲れ様でした、ルルシル」
「ありがとう」
穏やかに返事をしたルルシルの隣へ、ふわりと小さな鳥の精霊が舞い降りる。
ちょこんと肩に止まると、嬉しそうに羽を震わせた。
『ルルシル!』
『きれいだった!』
無邪気な声に、ルルシルはふっと表情を和らげる。
そっと指先で小鳥の頭を撫でると、精霊は気持ちよさそうに目を細めた。
その様子を見つめていたイザベルは、思わず目を瞬かせる。
(……笑ってる)
舞踏会が始まってから初めて見る、肩の力の抜けた自然な微笑み。
心から楽しかったのだろう。
そう思うと、イザベルの胸にも自然と安堵が広がった。
「とても素敵でしたよ」
「そうかしら」
「ええ。皆さん見惚れていましたもの」
ルルシルは少し照れたように微笑み、静かに視線を伏せる。
その周りでは、小鳥や妖精たちがまだ名残惜しそうに楽しげに飛び回っていた。
◇◇◇
「ゼイン公子」
「もしよろしければ、私と一曲お願いできますか?」
ダンスを終えたアルクスレイブンのもとへ、令嬢たちが次々と集まってくる。
突然の申し出にも、アルクスレイブンは礼儀正しく一礼した。
「喜んで」
誠実な受け答えに令嬢たちは嬉しそうに微笑み、順番を譲り合う。
異国の礼装を纏うその姿はひときわ目を引き、誘いが途切れることはなかった。
◇◇◇
「クレイス」
生徒会長リヒトが声を掛ける。
「悪いが、こちらを手伝ってくれるか」
「承知しました」
クレイスはルルシルへ穏やかな笑みを向ける。
「少し仕事へ行ってくる」
「はい、お兄様」
妹の返事を聞くと、クレイスは生徒会の仕事へ向かった。
一方その頃。
「メリンダ様!」
「私と一曲踊ってください!」
「ぜひ私とも!」
男装姿のメリンダは、あっという間に女子生徒たちに囲まれてしまう。
「ま、待ってくれ。一人ずつ頼む」
困ったように笑いながらも、一人ひとりへ丁寧に応じていく。
その様子を見ていたガルシアは苦笑した。
「……巻き込まれる前に退散するか」
誰にも気付かれないよう踵を返し、人混みの中へ姿を消す。
「……ガルシア」
メリンダが呼んだ時には、もうその姿は見えなくなっていた。
周囲から小さな笑い声が漏れる。
音楽は絶えることなく流れ続ける。
踊る者。
語り合う者。
笑い合う者。
精霊たちもまた、楽しげに会場を飛び回り、生徒たちを祝福するように光を散らしていた。
狩猟大会の熱気が嘘だったかのように。
その夜の学園は、穏やかな笑顔と優しい音楽に包まれながら、ゆっくりと更けていった。




