第三十七話 尋問
俺たちは、ザコーニ伯爵家の外へ出た。
少し離れたところまで移動する。
俺は魔法の映像装置に向かって手を振った。
「いやー、いい潜入でしたねー」
父さんとハボリムを見る。
「よかったらチャンネル登録お願いしまーす」
「……」
「……」
二人とも無言だった。
「それじゃ、またねー!」
俺は手を振った。
そして、魔法を解除する。
「ふぅ」
配信終了。
「じゃあ、捕まえた人たちのところに行こう」
「……切り替えが早いな」
父さんが呟いた。
*
少し離れた場所。
先ほど眠らせた男たちは、拘束されていた。
俺は、そのうちの一人の前に座る。
「じゃあ、質問するね」
「……」
男は黙っている。
「ギザは、この街にいる?」
答えはない。
「東側?」
「……」
「南側?」
「……」
「この辺?」
俺が地図を指差す。
「……」
「もう少し南」
指をずらす。
「ここ?」
「……」
「この辺だね」
俺は地図に印をつけた。
「三階建て?」
「……」
「大きな通りの近く?」
「……」
「なるほど」
俺は次々と質問していく。
「ギザは一人?」
「……」
「何人か一緒?」
「……」
「十人くらい?」
「……」
「二十人?」
「……」
「分かった」
俺は頷いた。
男は、一言も喋っていない。
それでも、俺は質問を続ける。
「来週の作戦は水曜日?」
「……」
「工場を狙う?」
「……」
「火を使う?」
「……」
「魔法も使う?」
「……」
「なるほど」
俺は立ち上がった。
「だいたい分かった」
男の顔が引きつる。
俺は後ろを振り返った。
「父さん、ここ」
地図を見せる。
「ギザがいる場所」
「……」
父さんが地図を見る。
そして俺を見る。
「レン」
「なに?」
「お前……」
父さんが言葉を失う。
ハボリムも同じだった。
「どうやって分かったのですかな?」
「魔力を見れば分かるよ」
「…………」
二人とも固まった。
「そんなに驚くこと?」
俺は首を傾げる。
「じゃあ、ギザを捕まえに行こう」
「いまからか?!」
父さんが驚いた。
「うん」
「いやいや、レン」
父さんが慌てる。
「ザコーニ伯爵は泳がせるんだろう?」
「そうだよ」
「だったら、ギザも――」
「ギザは捕まえるなって言われてないよ?」
「……」
父さんが黙る。
「それに」
俺は地図を見る。
「俺たちが何とかできるって思って、何もしなかったら」
少し考える。
「もし工場を燃やされたら、嫌じゃん」
「……」
「できることは、やっとこうよ」
父さんが俺を見る。
ハボリムも俺を見る。
しばらくして。
「……ふっ」
父さんが笑った。
「確かにな」
ハボリムも口元を緩める。
「まったく、その通りですな」
「でしょ?」
俺も笑う。
「じゃあ、行こう」
「今からな」
「うん」
三人で歩き出した。




