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異世界で使える、35歳営業マンのいい人戦略 ~せっかく生まれ変わったから、ハーレムくらい目指します~  作者: kammy


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第三十三話 異世界プレゼン

翌日。


 俺は父さんの前に、昨日作ったポテトチップスを置いた。


「父さん、これ食べてみて」


「これは?」


「昨日作ったやつ」


「じゃがいもか?」


「うん」


 父さんが一枚つまむ。


 そして、口に入れた。


「……」


 パリッ。


 父さんがもう一枚つまむ。


「……うまいな」


「でしょ?」


「ああ。塩加減もちょうどいい」


 さらに一枚。


 俺は少し笑った。


「それを売ろうと思う」


「……これを?」


「うん」


 父さんの手が止まった。


「詳しく聞こうか」


「まず、このポテトチップスの作り方を特許にする」


「特許?」


「うん。ハボリムさんの名前で取る」


「ハボリムの?」


「俺は五歳だからね。俺の名前で登録するより、そのほうがいいと思う」


 父さんが少し考える。


「なるほどな」


「それと、もう一つ作るものがある」


「何だ?」


「じゃがいもを薄く切るための道具」


「スライサーか」


「そう。俺なら魔法で切れるけど、他の人はそうはいかないから」


「それも特許にするのか?」


「うん。これもハボリムさんの名前で」


 父さんはポテトチップスをもう一枚食べた。


「それで、どうやって売る?」


「お店に卸す」


「店に?」


「食堂とか宿とか。たくさん作って、まとめて買ってもらう」


「なるほどな」


「道端で一枚ずつ売るより、そのほうがいいと思う」


「確かに」


 父さんは頷いた。


「作る人は?」


「スラムの人たちにお願いする」


「……スラムの?」


「うん」


 俺は続けた。


「ユナさんとミオーリに会社を作ってもらうんだ」


「会社を?」


「二人でやってもらう」


「お前は?」


「俺は知恵を出す」


「経営はしないのか?」


「しないよ」


 父さんが少し驚いた顔をした。


「俺はまだ五歳だからね」


「……それはそうだな」


「ユナさんたちが会社を動かして、スラムの人たちを雇う」


「何人くらいだ?」


「最初は二十人くらいかな」


「二十人……」


「作る人と、売る人に分かれてもらう」


「なるほど」


「うまくいったら、人も増やす」


 俺は少し考えてから続けた。


「それから、ポテトチップスだけじゃなくて、別の商品も扱いたい」


「別の商品?」


「うん。まずはこれをちゃんと軌道に乗せてからだけど」


「……」


 父さんはしばらく黙っていた。


 そして、ポテトチップスを一枚食べる。


「それで、会社はどうやって利益を出すんだ?」


「ポテトチップスを作って、お店に売る」


「それだけか?」


「最初はね」


「特許は?」


「他の店が自分たちで作りたいって言ったら、特許を使う料金をもらう」


「なるほどな」


 父さんが腕を組む。


「お前、本当に五歳か?」


「五歳だよ」


「そうだったな」


 父さんが苦笑した。


「それで、俺に何をしてほしい?」


「……お金を貸してほしい」


「金か」


「うん」


 俺は頷いた。


「会社を作るためのお金と、最初の材料を買うお金。それからスライサーを作ってもらうお金も必要だから」


「いくら必要なんだ?」


「まだ正確には分からないけど、最初に必要な分だけ」


「返すつもりはあるのか?」


「もちろん」


 俺は即答した。


「会社が儲かったら、その中から返すよ」


「もし、儲からなかったら?」


「そのときは、別でお金を稼ぐから」


「別で?」


「うん」


 父さんが俺を見る。


「それでも返すのか?」


「借りたものだからね」


 父さんはしばらく俺を見ていた。


 やがて、小さく笑う。


「分かった」


「貸してくれる?」


「ああ」


「ありがとう、父さん」


「ただし」


「うん?」


「無理はするな」


「分かってる」


「それから、困ったことがあったら必ず相談しろ」


「うん」


 父さんは皿の上に残っていたポテトチップスを見る。


「……これは、もう一枚食べてもいいか?」


「もちろん」


 父さんがポテトチップスをつまむ。


 パリッ。


「やっぱりうまいな」


「じゃあ、会社が成功したらもっと食べられるね」


「それは楽しみだ」


 俺は笑った。


 こうして。


 異世界での俺の最初の事業が、動き始めることになった。

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