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異世界で使える、35歳営業マンのいい人戦略 ~せっかく生まれ変わったから、ハーレムくらい目指します~  作者: kammy


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第二十四話 おれ、へんたい?

「母さん」


「なあに?」


「魔法って……消せるの?」


 王都に着いて、数日。


 俺たちは王都に用意された借家で生活していた。


 荷物の整理も一段落して、ようやく新しい生活にも慣れてきた頃。


 俺はふと、母さんに聞いてみた。


「魔法を消す?」


「うん」


 ミレーユは少し考える。


「そうねぇ……」


「宮廷魔術師の中には、そういう研究をしている人はいるかもしれないわね」


「研究してるんだ」


「ええ。魔法そのものに干渉する研究は、昔からあるから」


「じゃあ、消せるの?」


「研究としては、できる可能性を探している人がいる、というくらいね」


 母さんは少し考えてから続ける。


「私の知る限りでは――魔法そのものを消すというのは、原理的にはできないことになっているわ」


「…………」


 俺は黙った。


「魔法を防ぐことはできるわよ」


 母さんが指を一本立てる。


「土の壁を作ったり、風で逸らしたり、別の魔法をぶつけたり」


「うん」


「でも、それは魔法を消しているわけじゃないでしょう?」


「そうだね」


「魔法そのものに干渉して、存在している魔法を消してしまうとなると……」


 母さんは苦笑した。


「かなり難しいでしょうね」


「…………」


 昨日のことを思い出す。


 飛んできた魔法。


 俺のところまで届く直前。


 俺は、それを消した。


 別の魔法をぶつけたわけでもない。


 壁を作ったわけでもない。


 ただ、消した。


(……あれ?)


「でも、リカもできるよ」


「……リカちゃんも?」


「うん」


 俺は頷いた。


「研究してできるようになった」


「…………」


 母さんが黙る。


「そうなの……」


「うん」


「なるほど……」


 母さんはしばらく考えていた。


 そして。


「そういう普通ではないことをする人をね」


「うん」


「私たち宮廷魔術師は――」


 母さんは少しだけ笑った。


「『変態』って呼んでるのよ」


「…………」


 俺の思考が止まった。


(変態)


(…………)


(俺、変態!!?)


 いや。


 待て。


 俺だけじゃない。


 リカもだ。


(リカ……変態だったのか……)


 いやいや。


 そもそも俺も変態じゃん。


「…………」


 俺は自分の手を見る。


(やばす)


     *


「ハボリム」


「はい」


「魔法って消せないって知ってた?」


 庭で訓練していたハボリムに聞いてみた。


「……はい」


「知ってたの?」


「拙者は魔法について詳しいわけではありませんが」


 ハボリムは少し考える。


「魔法そのものを消すというのが、容易ではないことは知っておりました」


「じゃあ、なんで何も言わなかったの?」


「珍しい技術だとは思っておりました」


「うん」


「ですが」


 ハボリムは俺を見る。


「レン殿とリカ殿が、比較的簡単に行っておられましたので」


「…………」


「そういうものなのだと思っておりました」


「…………」


 俺は黙った。


(俺とリカが基準になってたのか……)


 なんだろう。


 ちょっと怖い。


 いや。


 それより。


(王女様の前で……)


 俺は昨日のことを思い出す。


 王女様に向かって飛んできた魔法。


 俺はそれを消した。


 思いっきり。


(…………)


(王女様の前で、やっちゃったじゃん)


「…………」


(やばす)


     *


 それから数日。


 王都での生活にも、だいぶ慣れてきた。


 ミカは俺の身の回りの世話をしている。


 ハボリムは相変わらず訓練。


 俺も魔法の練習を続けている。


 王都ということで、街を歩くだけでも新鮮だった。


 それでも、王都での暮らしが日常になり始めた頃。


「レン」


 父さんに呼ばれた。


「なに?」


「これを見てくれ」


 父さんが、一通の手紙を持っている。


「手紙?」


「ああ」


 封筒には、王家の紋章。


「王宮からだ」


「…………」


 俺は手紙を見る。


 父さんが封を開ける。


 中に入っていた紙を取り出した。


 書かれていたのは――。


 短い一文だけだった。


 ――レン・クロイツを王宮へ招く。


「…………」


 父さんと顔を見合わせる。


「俺だけ?」


「いや」


 父さんがもう一度、手紙を見る。


「私もだ」


「…………」


 理由は書かれていない。


 目的も書かれていない。


 ただ。


 王宮へ来い。


 それだけだった。


(…………)


(これ、やっぱり……)


 俺は昨日のことを思い出した。


(王女様の前で魔法消したから?)


 …………。


 考えても分からない。


 ただ一つだけ分かる。


(王宮からの呼び出しって)


(怖っ)

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