第十四話 六人の、、、、
「……あれ?」
リカたちが帰っていった方向を眺めながら、俺は首を傾げた。
さっきのリカ。
最後、顔が赤くなってなかったか?
もちろん、顔が赤かっただけなら、それだけで判断するのは早い。
怖かったのかもしれない。
恥ずかしかったのかもしれない。
泣いた後だからかもしれない。
でも。
俺は今日の出来事を、もう一度思い返してみる。
俺とリカは幼馴染。
俺は三歳で、リカは五歳。
俺は規格外の魔力を持っている。
リカは辺境伯令嬢。
そして今日、災害級魔獣に襲われたリカを、俺が助けた。
命まで救った。
最後には顔を赤くして、
「……ありがとう」
と言われた。
…………。
(いや、これ好きだろ)
俺は確信した。
というか、これだけ条件が揃っていて好きにならないほうが難しい。
異世界。
幼馴染。
チート。
命の恩人。
しかも俺は主人公。
(うん)
(リカは俺のことが好きだ)
たぶん間違いない。
まあ、今すぐどうこうする話じゃない。
俺は三歳。
リカは五歳。
恋愛について考えるには、まだ早すぎる。
でも。
将来のことは分からない。
(……一人目だな)
俺が目指しているハーレム。
その一人目は、たぶんリカだ。
そうなると――。
(ハーレムって、何人なんだ?)
前世では、何人もの女性を侍らせている主人公を見てきた。
二人。
三人。
四人。
五人。
作品によってバラバラだ。
じゃあ、俺は何人にしよう。
(……六人だな)
なぜか、六人がしっくりきた。
理由は簡単だ。
一週間は七日。
月曜日。
火曜日。
水曜日。
木曜日。
金曜日。
土曜日。
六日ある。
日曜日は、みんなで過ごす。
(完璧だ)
六人の奥さん。
月曜日から土曜日まで、一人ずつ。
日曜日は全員集合。
(これが俺の理想のハーレムだ)
うん。
やっぱり六人だ。
(目標、六人)
一人目はリカ。
残り五人。
……まあ、三歳の俺が考えることじゃない気もするけど。
でも、せっかく異世界に転生したんだ。
夢くらい大きくていいだろう。
そこで、俺は前世で読んでいた異世界ものを思い返した。
ハーレム主人公。
たくさんの女性に囲まれている。
それ自体はいい。
俺だって、それを目指している。
だが。
(あいつらは駄目だ)
俺には、どうしても気になるところがある。
(女性の価値を、胸の大きさで測りすぎなんだよ)
大きい。
小さい。
大きければ喜ぶ。
小さければ残念がる。
何なんだ、あれは。
女性の魅力は、そんなところだけじゃない。
顔。
性格。
頭の良さ。
優しさ。
一緒にいて楽しいか。
料理が上手いか。
魔法が得意か。
歌が上手いか。
それぞれに違う魅力がある。
(俺は、あいつらとは違う)
俺は胸の大きさなんかで、女性を選んだりしない。
一人一人をちゃんと見る。
その人にしかない魅力を大切にする。
そして――。
(いろんな人と、いろんな楽しみ方をするんだ)
一人に決めつける必要なんてない。
それぞれ違う魅力を持った人たちと、一緒に過ごせばいい。
そうすれば、きっと毎日楽しい。
(うん)
(俺は、あいつらとは違う)
俺は満足して頷いた。
自分なりのハーレムの形が、はっきりした気がする。
六人。
それぞれ違った魅力を持つ女性と、一緒に楽しく暮らす。
(……よし)
これでいこう。
*
はるか天上。
神は、下界を見下ろしていた。
「…………」
しばらくして、小さく息を吐く。
「……やはり、アホだのぅ」




