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怪異事務管理所  作者: ちゃね
第零告
5/26

五話 虚構廃線(2)

薄暗く錆びた地下鉄のホームは少し肌寒く、多少の呼吸をしただけでも、その音が反響した。

澪が鉄道表札を見る。


「んー読めない」


文字は年季が入っているのか、かなりかすんでいた。

するとセイカはホームに声を響かせた。

澪はセイカのもとへ行くと、そこには上の階へ続く階段。

その階段の前には大きめの台に乗ったノートパソコンが置いてあった。

挿絵(By みてみん)

パソコンの画面は砂嵐だった。


「うわぁ…なんか画面から出てきそう」

「なんでこんなものが…?」


その瞬間パソコンがパッと光った。

──────

1:名無しさん


誰だこいつら?



2:名無しさん


セイカってやつと澪っていうやつらしい。


3:名無しさん


こいつら職員なんか?だとしたらやばいんじゃない?


4:名無しさん


大丈夫やろ、最悪逃げるんやで。


   ・

   ・

   ・

──────

などと匿名掲示板のスレッドのような会話がそこにはあった。


「多分これがコアと呼べる存在だと思うんだけど」


澪はセイカに目をやる。


「いったん刀でやっちゃおうか」

「えぇ…危なくないですか」

「んー…逃げるとか言ってるし大丈夫じゃない?」

「逃げて見失ったら大丈夫じゃないですよ…」


セイカはため息をつく。


「責任は先輩がとってくださいよ。私どうなっても知りませんからね」

「うん、分かった」


セイカは鞘から刀を取り出す。


───グサッ!


次の瞬間パソコン肉片のようになり、ドロドロに溶け、消えた。

あのパソコンの肉片は消えたものの、強烈的な異臭が二人を襲った。

セイカは明らかに気分を害している様子だった。


「んー逃げたってことでいいのかな?」


澪がブツブツと独り言を言っていると電光掲示板が光る。

──────

10:名無しさん


いい気味でワロタw


11:名無しさん


逃げるっていったのに…


   ・

   ・

   ・


──────

さっきのおそらく同じスレッドのレスがそこには書かれていた。


「さっきのパソコンを壊したからか…?形態変化…すごいな…」

「これどうするんですか、このまま駅全体がこんな感じになる可能性ありますよ」

「そうだね…まだパソコンはないかな」

「あるとしたら改札のほうとかですね」

「じゃあ上に行こう」


二人は電光掲示板にはもう見向きもせず、一直線に階段のもとへ向かう。

そして階段を上る。

階段はホームより音が響く。


───コツコツ

 ────コツコツ


二人の足音が重なって聞こえる。


────コツコツ

 ────コツコツ

   ────コツコツ


「あれ?」


セイカが後ろを振り向く。しかし誰もいない。


「気のせいかな…」

「どうしたの?」

「いや、足音が三重に聞こえた気がして」

「音、ねぇ…」


そうしているうちに改札口へたどり着いた。


「あ、あれ」


澪が指をさす。

パソコンがあると思ったがそこには空間のゆがみのようなものがあった。


憶境界(おくきょうかい)だ」

「おくきょうかい?なんですかそれ」

「現実と記憶の境界。間違った記憶が空間にゆがみを発生させてるんだ」

「んー?」

「場所的怪異が媒体にした場所の間違った記憶がここに染み付いてるってこと」

「なるほど…?」


澪は困ったような顔を見せる。


「本来だったら正しい情報、記憶を埋め込んで安定化させないとなんだけど…」

「だけど?」

「この場所どこ媒体にしたかわからないしどうしようもないね」

「安定化しないとどうなるんですか」

「コアを壊したときに怪異があふれたり、同じような場所的怪異が発生しやすくなる」

「結構やばくないですかそれ…」

「まぁ、とりあえずパソコン探そうよ」


そう言って澪は改札を通り抜けた。

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