二十話 納得の外
怪務局へ行き、ナズナさんに報告をした。クチナシに会ったこと、害はないと思われること。
私がクチナシについて、思うこと考えることを全部言った。
それで思ったのが、やっぱり、人に話すと、自分の考えも整理される。うまく説明しようとするほど、理解が深まる気がした。
そういえば、クチナシの説明をした後に、ナズナさんからは通常業務は続けるという、怪異事務管理所の方針を伝えられた。
そして引き続き、七告関連と思われる、怪異の情報は全国から掻き集め、定期的な会議を開くということも同じように伝えられた。
それにしても、怪異事務管理所は七告に対して本気なんだろうか。
怪異専門の管理所となれば、もっとなにか、色々と対策や対処の方法があるんじゃないか。
────いやそもそも、プログラム内のキャラクターというのが、深層部に干渉することなんて不可能なのか……。
それでいったら、怪異という現象に対して干渉できているのはなぜなんだろう?
しかも、怪異って外国ではあまり聞かないような気もするし。
「ふ~む……」
「どうしたのセイカちゃん」
「ナズナさん。いや……なんで怪異って見たり触ったりできて、出現は大体日本なのかなぁと」
「ああ~それかい。あの~日本はさ、八百万の神々とか付喪神というのがあるでしょ?まぁこの場合は八百万の神々だけど……その、なんにでも神が宿るという信仰が、日本は結構あるから怪異として実体化するっぽいんだよね。あくまでも怪異事務管理所としての見解で、一つの説だけどさ。しっくりくるでしょ?」
「確かに、そういわれると納得しますね」
ただ、一つだけ引っかかる。
『クチナシ』もそういう存在だったんだろうか?
というか、七告が世界規模の話で、怪異が日本の話というのは、おかしな話な気もする。
「すみません、副所長。ちょっといいですか」
「んん……ああ君か、どうしたんだい?」
「例の案件の話……おっと……お取込み中でしたか」
「いいよ、今解決したし、ね?」
このタイミングで会話のターンが回ってくると思わなかった私は、肺の空気がほぼない状態で「はい」と枯れた、なけなしの声を出した。
「じゃあ、ちょっとついてきてもらってもいいですか?」
「ああ、セイカちゃんもう要件はない?」
「はい……特には、大丈夫です」
「ではこちらへ」
本当に、大丈夫なのだろうか。
何が───とは言えないけれど。
もう、疑問はない?
自分でも分からない。自分では分からないことだらけだ。
「すみませんナズナさん……わざわざ僕のデスクまで来ていただいて……」
「いいんだ、で要件は?」
「ええとですね、境原町で、天使の目撃情報が」
「それは、黙示録の?」
「いいえ、違います。確実な情報はつかめていませんが、そういう系統の話ではありません」
「わかってるよ、一応確認しただけ。セイカちゃんの話ね」
「はい、そうです」
「今回はどういう感じ?」
「はい、天使は2体いる可能性が出てきました」
「え……は?2体?ホントのホントに新情報じゃん」
「ええ、今まででこういった報告は一度もされていません」
「これってセイカちゃんに言ったらだめだよね~」
「うーん、そうですね……なるべくやめていただきたい」
「まぁ分かった。こっちでも対処しておくよ」
「ありがとうございます」
セイカちゃんの周辺情報は、本当にどうなっているんだろう?
すごく、要素が沢山すぎる。
普通の人間の周囲として、異常な要素が。
何がどうなったらこんな怪異的な人間が生まれるのだろう。
いや、人間の形をしている、別の何かしらなだけかもしれない。
それは、考えたくもない。




